国家一般職とは、定型的な事務を職務とする職員のことを言います。
国家総合職が法律や政策の企画・立案を行うのに対し、国家一般職は専門分野のスペシャリストとして、法律や政策を実行する上での事務作業を行います。
例えばあなたが教育行政に興味があるとします。
地方公務員の場合、人事異動が2~3年おきに行われるため、教育庁に配属されたとしても数年で他の部署に異動になってしまいます。
一方で、国家一般職として文部科学省に入省した場合、退職するまで文部科学行政に携わり続けることができます。
ゼネラリストとしての側面が大きい地方公務員に対し、国家一般職はスペシャリストとしての側面が非常に大きいといえます。
倍率は例年3~5倍と高倍率で、多くの受験生が志望しています。
受験資格
大卒程度試験 21歳以上30歳未満の方
高卒者試験 高校卒業見込み、あるいは卒業後2年以内の方
社会人試験 40歳未満の方
試験区分
大卒程度試験 行政、電気・電子・情報、機械、土木、建築、物理、化学、農学、農業農村工学、林学の中から一つ選択
高卒者試験・社会人試験 事務、技術、農業、農業土木、林業の中から一つ選択
試験日程
試験の流れは以下のようになっています。

※平成31年度
申し込み期間 4月5日(金)~4月17日(水)
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第一次試験日 6月16日(日)
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第一次試験合格発表日 7月10日(水)午前9時
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官庁訪問 7月11日(木)~8月20日(火)
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第二次試験日 7月17日(水)~8月2日(金)のいずれかから指定される一日
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最終合格発表日 8月20日(火)
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内々定解禁 8月20日(火)
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内定 10月1日以降
試験種目
大卒程度試験(行政区分)の場合、第一次試験と第二次試験が課されます。
第二次試験は、第一次試験合格者のみが受験することができます。
第一次試験
基礎能力試験(択一式)
問題数 40問
解答数 40問
試験時間 2時間20分
基礎能力試験は教養試験とも呼ばれ、全問必答となっています。
文章理解から11問、数的処理から16問(うち資料解釈3問)、人文科学・自然科学・社会科学(時事含む)から計13問出題されます。
なお、11点以下を取ってしまった場合、ほかの試験の成績に関わらず不合格となってしまいます。
専門試験(択一式)
問題数 80問
解答数 40問
試験時間 3時間
選択問題 以下の16科目80題(各科目5題)から任意の8科目40題を解答
- 政治学
- 行政学
- 憲法
- 行政法
- 民法(総則及び物権)
- 民法(債権、親族及び相続)
- ミクロ経済学
- マクロ経済学
- 財政学・経済事情
- 経営学
- 国際関係
- 社会学
- 心理学
- 教育学
- 英語(基礎)
- 英語(一般)
なお、11点以下を取ってしまった場合、ほかの試験の成績に関わらず不合格となります。
一般論文試験
試験時間 1時間
字数 900字程度
社会問題や環境、防災など様々なテーマから一つ出題される傾向にあります。
平成30年度のテーマは「生産年齢人口の減少に伴う課題と具体的な取組」でした。
問題は二問構成で、
(1)では生産年齢人口が減少する中で我が国が経済成長していくための課題を2つ問われ、
(2)では(1)で挙げた課題を解決するための具体的な取組について問われました。
問題文ではグラフやデータが載せられている場合が多く、与えられたグラフやデータを参考に述するのがベターです。
第二次試験
人物試験(個別面接)
第二次試験は人物試験(個別面接)のみが行われます。
人物試験は人事院面接とも呼ばれ3:1の個別面接です。時間は15~20分程度です。
質問内容は主に面接カードから問われますので、面接カードに書いた内容のことはすべて自信をもって答えられるように準備しておきましょう。
志望動機やゼミナール・研究の内容、学生時代力を入れたこと、最近関心のある話題、趣味・特技、自己PR
などを記入します。
主に聞かれる典型的な質問は以下の通りです。
なぜ地方公務員ではなく、国家公務員を志望しているんですか
国家公務員になったら、どんな仕事をやってみたいですか
1分間で自己PRをしてください
学生時代、力を入れたことを教えてください
ゼミナールでのあなたの役割を教えてください
今興味のあるニュースは何ですか
など、様々です。また典型的なコンピテンシー面接で、深堀りされます。
POINT
コンピテンシー面接とは、
「なぜその行動をとったか」
「なぜその考えに至ったのか」
「その結果どのような力が身についたか」など、
過去の経験を徹底的に深く掘り下げて質問を繰り返す面接のことです。
これによって、受験者のアピールに再現性があるかどうかを判断されます。
ここでは、「大会で優勝した」「売上○○万を達成した」など結果よりも、
「優勝できたのは何故か」「どうやって売り上げ○○万を達成できたか」など、結果に至るまでの過程が重要視されます。
ちなみに評価の割合ですが、
A評価3%
B評価17%
C評価60%
D評価17%
E評価3%
と言われております。
配点比率
試験全体を9とした場合、
基礎能力試験 2/9
専門試験 4/9
一般論文試験 1/9
人物試験 2/9
第一試験の合格は基礎能力試験および専門試験の結果によって決定します。
一般論文試験は一次試験合格者を対象として評定した上で、最終合格者の決定に反映されます。
一次合格ラインボーダー
年度や地域によりますが、一般に、基礎能力試験と専門試験でそれぞれ5割取れれば合格することができます。
2018年度の一次合格ラインボーダーは40~41点だったと予想されます。
最終合格ボーダー
教養試験と専門試験の得点によりますが、 合計47~48点だった場合4C(論文4点、人事院面接C)で合格することができます。
合計54~55点だった場合、3D(論文3点、人事院面接D)で合格することができます。
試験の倍率
関東甲信越地域における2018年度の倍率(行政区分)は、6.8倍でした。
他の地域や過去の年度の倍率は以下の記事からご覧いただけます。

最終合格=採用ではない?!
最終合格(二次試験合格)した場合、官庁訪問と呼ばれる各府省庁の採用面接を経て内定者を決めるという仕組みになっています。
この官庁訪問では、各府省庁の人事担当者と15分~30分程度の面接を複数回行い、採用の可否が決まります。省庁によっては一日がかりとなる場合があります。
説明会に参加してこまめに情報収集を行い、入念な準備を行いましょう。
なお、例年採用漏れが一定数存在しますが、その数はごくわずかのようです。