公務員の60歳以降はどうなる?定年延長・役職定年・給与7割・再任用をまとめて解説

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シニア公務員制度

公務員の60歳以降はどうなる?定年延長・役職定年・給与7割・再任用をまとめて解説

公務員の60歳以降は、定年延長によって「60歳で一律退職」ではなくなりました。一方で、管理職は原則として60歳で役職定年となり、給与も60歳前の7割水準を基本に見直されます。

つまり、60歳以降の公務員制度は「定年が延びる」「役職は変わる」「給与は下がる」「短時間勤務を選べる場合がある」という4つを分けて見る必要があります。

この記事のポイント

  • 公務員の定年は、60歳から65歳へ段階的に引き上げられている。
  • 管理職は原則60歳で役職定年となり、管理監督職以外の職へ異動する。
  • 60歳以降の給与は、当分の間、60歳前の7割水準を基本に設計されている。
  • 60歳以降に一度退職し、短時間勤務で働く「定年前再任用短時間勤務」もある。
  • 退職金、年金、手当、働き方は制度ごとに分けて確認する必要がある。

公務員の60歳以降はどう変わるのか

公務員の60歳以降を理解するときは、まず「退職」「役職」「給与」「勤務形態」を分けて見るのが大切です。

かつては60歳定年が基本でしたが、現在は定年が段階的に65歳へ引き上げられています。そのため、60歳を過ぎても常勤職員として働き続けることが制度上可能になっています。

ただし、60歳以降もすべてがそのまま続くわけではありません。管理職は原則として役職定年の対象になり、給与も60歳前の7割水準を基本に見直されます。

60歳以降に変わる主なポイント

定年
60歳から65歳へ段階的に引上げ
役職
管理職は原則60歳で役職定年
給与
60歳前の7割水準を基本に見直し
働き方
常勤で働き続けるほか、定年前再任用短時間勤務を選ぶ場合がある
退職金
60歳以降の定年前退職について、定年退職と同様に扱う措置がある

シンプルに言えば、60歳以降は「定年までは働けるが、役職と給与は見直される」期間です。公務員本人だけでなく、配偶者や家族にとっても、家計や働き方を考えるうえで重要な節目になります。

60歳以降の制度を一覧で見る

60歳以降の公務員制度は、複数の制度が組み合わさっています。ひとつの制度だけを見ると分かりにくいため、まずは全体像を表で整理します。

制度・論点 主な内容 見るべきポイント
定年延長 定年を60歳から65歳へ段階的に引き上げる 自分の定年が何歳になるか
役職定年 管理監督職は原則60歳で管理職ポストを外れる 役職・配置・管理職手当への影響
給与7割 60歳以降の基本給は60歳前の7割水準が基本 月収・ボーナス・手当の変化
定年前再任用短時間勤務 60歳以降に一度退職し、短時間勤務で採用される制度 フルタイム継続か短時間勤務か
退職手当 60歳以降の定年前退職は、定年退職と同様に扱う措置がある いつ退職するかによる違い
年金 公務員も原則として厚生年金を中心に老後所得を考える 支給開始年齢までの収入設計

公務員の定年は65歳へ段階的に引き上げ

公務員の定年は、令和5年度から2年に1歳ずつ引き上げられ、最終的に65歳になります。定年年齢は、年度ごとに段階的に変わります。

そのため、同じ60歳前後の職員でも、生年月日や年度によって「何歳で定年になるか」が異なります。まずは、自分の定年年齢を確認することが出発点です。

年度 定年年齢 見方
令和5年度・令和6年度 61歳 定年引上げの開始期
令和7年度・令和8年度 62歳 段階的に1歳引上げ
令和9年度・令和10年度 63歳 60歳以降の勤務期間がさらに長くなる
令和11年度・令和12年度 64歳 65歳定年への移行期間
令和13年度以降 65歳 65歳定年が基本となる

定年年齢は「年度」で確認する

定年延長は、単純に「何年生まれなら何歳」と覚えるより、自分が定年を迎える年度の定年年齢を確認する方が分かりやすいです。国家公務員と地方公務員で大枠は同じですが、地方公務員は各自治体の条例も確認してください。

管理職は原則60歳で役職定年

定年が65歳へ延びても、管理職ポストにそのまま残り続けるわけではありません。管理監督職に就いている職員は、原則として60歳に達した日後の最初の4月1日までに、管理監督職以外の職へ異動します。

この仕組みが、いわゆる役職定年です。正式には「管理監督職勤務上限年齢制」と呼ばれます。

役職定年の基本

正式名称
管理監督職勤務上限年齢制
一般的な呼び方
役職定年制
基本年齢
原則60歳
対象
管理監督職に就いている職員
異動後
管理監督職以外の職に就く

役職定年は、60歳で退職する制度ではありません。定年まで勤務を続けることはできますが、管理職としての職責や処遇は見直されます。

一般職員全員が対象ではない

役職定年の対象は、管理監督職に就いている職員です。係員、主任、係長級など、制度上の管理監督職に該当しない職員が一律に役職定年となるわけではありません。

60歳以降の給与は7割水準が基本

60歳以降の公務員制度で最も家計に影響しやすいのが給与です。国家公務員では、当分の間、60歳を超える職員の給与を60歳前の7割水準とする措置が取られています。

正確には、60歳に達した日後の最初の4月1日以降、俸給月額が7割水準になります。地方公務員でも、国家公務員との均衡を踏まえ、同様の考え方で給与制度が整備されています。

給与項目 60歳以降の見方
基本給 60歳前の7割水準が基本
地域手当 基本給に連動するため影響を受ける
期末手当・勤勉手当 基本給等を基礎に算定されるため影響を受ける
管理職手当 役職定年で管理職を外れる場合、支給対象から外れる可能性がある
扶養手当・住居手当・通勤手当 支給要件に該当するかどうかで変わる

注意したいのは、「給料が単純に全部7割になる」とは限らないことです。基本給の7割措置、役職定年による管理職手当の変化、地域手当やボーナスへの影響、個別の手当の有無が組み合わさります。

手取りは7割とは限らない

制度上の7割水準は、主に基本給の扱いです。実際の手取りは、税金、社会保険料、扶養、住居、通勤、ボーナス、管理職手当の有無によって変わります。家計を考える場合は、月給だけでなく年収ベースで確認することが大切です。

60歳以降の年収はどう考えるか

60歳以降の年収は、単純な月給だけでは判断できません。公務員の年収は、基本給、地域手当、管理職手当、扶養手当、住居手当、通勤手当、期末手当・勤勉手当などで構成されます。

特に管理職だった職員は、役職定年によって管理職手当がなくなる可能性があり、基本給の7割措置と合わせて年収への影響が大きくなります。

60歳以降の年収を見る順番

1. 基本給
60歳前の7割水準になる部分を確認する
2. 役職の変化
役職定年により管理職手当がどう変わるかを見る
3. ボーナス
期末手当・勤勉手当の算定基礎がどう変わるかを見る
4. 個別手当
扶養、住居、通勤などの支給要件を確認する
5. 手取り
税金・社会保険料を差し引いた実際の収入を確認する

定年前再任用短時間勤務という選択肢

60歳以降は、定年まで常勤職員として働き続けるだけでなく、定年前再任用短時間勤務を選ぶ場合もあります。

定年前再任用短時間勤務は、60歳以降に一度退職した職員を、本人の希望により短時間勤務の職に採用する制度です。定年退職後の再任用とは異なり、定年前に退職して短時間勤務に移る点が特徴です。

働き方 概要 向いているケース
常勤で勤務継続 定年までフルタイムで働き続ける 収入を維持したい、引き続きフルタイムで働きたい
定年前再任用短時間勤務 60歳以降に一度退職し、短時間勤務で採用される 勤務時間を減らしたい、生活や健康とのバランスを取りたい
60歳以降に定年前退職 定年前に退職する 別の仕事、家庭、健康、生活設計を優先したい

短時間勤務は本人の希望が前提

定年前再任用短時間勤務は、職員本人の希望を前提とする制度です。フルタイムで働き続けるか、短時間勤務に移るかは、給与だけでなく健康、家族、通勤、退職後の生活設計も含めて考える必要があります。

退職金はどうなるのか

60歳以降の大きな関心のひとつが退職金です。役職定年になっただけでは退職ではないため、その時点で退職金が支給されるわけではありません。

退職手当は、実際に退職したときに、退職理由や勤続期間などに基づいて算定されます。60歳以降に定年前退職を選んだ場合については、当分の間、定年退職と同様に退職手当を算定する措置が設けられています。

ケース 退職金の見方
役職定年になった 退職ではないため、通常は退職金支給のタイミングではない
60歳以降に定年前退職した 定年退職と同様に扱う措置がある
引き上げ後の定年まで勤務した 定年退職として退職手当が算定される
短時間勤務に移った 一度退職するため、退職手当や再任用後の給与を分けて確認する

退職金は、60歳以降の給与7割だけで単純に決まるものではありません。退職手当の算定には制度上の経過措置があるため、所属機関の説明資料で個別に確認することが重要です。

年金はいつから考えるべきか

公務員も、現在は厚生年金を中心に老後の収入を考える必要があります。60歳で退職するか、定年まで働くか、短時間勤務に移るかによって、年金支給開始までの収入設計が変わります。

特に、60歳以降の給与が7割水準になることを前提に、住宅ローン、教育費、親の介護、自分の医療費、配偶者の働き方などを合わせて見ておく必要があります。

60歳前後で確認したいお金

給与
60歳以降の月収・年収がどれくらい下がるか
退職金
いつ退職すると、どのように算定されるか
年金
支給開始年齢、見込額、配偶者の年金を確認する
社会保険
勤務形態を変えた場合の保険料や加入関係を確認する
生活費
住宅費、医療費、介護費、教育費、車の維持費などを見直す

国家公務員と地方公務員の違い

国家公務員と地方公務員では、定年引上げや役職定年の大枠は似ています。ただし、地方公務員は各自治体の条例や規則に基づいて具体的な制度が定められます。

そのため、地方公務員の場合は、国の制度を参考にしつつ、自分の自治体の給与条例、職員の定年等に関する条例、人事委員会資料などを確認する必要があります。

区分 国家公務員 地方公務員
制度の根拠 国家公務員法、人事院規則など 地方公務員法、各自治体の条例など
定年引上げ 65歳へ段階的に引上げ 国との均衡を踏まえて段階的に引上げ
役職定年 管理監督職勤務上限年齢制 条例で対象職や上限年齢を定める
給与 60歳以降は7割水準が基本 国の制度との均衡を踏まえて条例で整備
確認先 人事院、内閣人事局、所属府省 自治体の条例、人事委員会、職員向け資料

55歳から確認したいチェックリスト

60歳以降の制度は、60歳になってから初めて確認するより、50代半ばから少しずつ把握しておく方が安心です。特に給与、退職金、年金、勤務形態は、家計や生活設計に直結します。

確認しておきたい順番

  1. 自分の定年年齢
    何年度に何歳で定年になるかを確認します。
  2. 役職定年の対象かどうか
    管理監督職に該当するか、役職定年後の配置がどうなるかを確認します。
  3. 60歳以降の給与見込
    基本給、手当、ボーナス、手取りの変化を確認します。
  4. 退職金の見込
    60歳以降に退職した場合と定年まで勤務した場合の違いを確認します。
  5. 年金の見込
    ねんきん定期便などで支給開始年齢と見込額を確認します。
  6. 短時間勤務の選択肢
    定年前再任用短時間勤務を希望するかどうかを考えます。
  7. 家計の見直し
    住宅ローン、保険、教育費、親の介護、自分の医療費を整理します。

60歳で辞めるか、定年まで働くか

60歳以降の働き方は、単純に損得だけでは決めにくい問題です。給与は下がりますが、働き続ければ毎月の収入があり、厚生年金や社会保険の面でも影響があります。

一方で、健康、家族、親の介護、配偶者の生活、地域活動、再就職、趣味などを重視して、短時間勤務や退職を選ぶ人もいます。

選択肢 メリット 注意点
定年まで常勤で働く 収入が安定し、職場とのつながりも続く 給与は7割水準となり、役職も変わる可能性がある
短時間勤務に移る 勤務負担を減らしながら働ける 収入は常勤より下がる
60歳以降に退職する 自由な時間を確保しやすい 年金支給までの生活費を準備する必要がある
別の仕事に移る 経験を活かして新しい働き方を選べる 再就職規制や届出、収入の不安定さに注意が必要

大事なのは、60歳以降の制度を「給料が下がる話」だけで終わらせないことです。収入、時間、健康、家族、やりがいを並べて、自分に合う働き方を選ぶ必要があります。

よくある質問

公務員は60歳で退職するのですか?

現在は、60歳で一律退職する制度ではありません。定年は65歳へ段階的に引き上げられており、60歳以降も定年まで勤務を続けることができます。

60歳以降の給料は本当に7割になるのですか?

基本給は、当分の間、60歳前の7割水準を基本に設計されています。ただし、実際の手取りや年収は、手当、ボーナス、税金、社会保険料、役職定年の影響によって変わります。

役職定年になると退職金は出ますか?

役職定年は退職ではないため、それだけで退職金が支給されるわけではありません。退職手当は、実際に退職したときに、退職理由や勤続期間などに基づいて算定されます。

管理職でなければ役職定年は関係ありませんか?

役職定年の直接の対象は管理監督職です。ただし、管理職でない職員でも、60歳以降の給与7割措置や定年延長、短時間勤務制度は関係します。

地方公務員も同じ制度ですか?

大枠は国家公務員と同様ですが、地方公務員は各自治体の条例や規則で具体的な内容が定められます。対象職、給与、手当、短時間勤務の扱いは自治体ごとに確認が必要です。

60歳以降に短時間勤務を選べますか?

本人の希望により、定年前再任用短時間勤務を選べる場合があります。制度上は、一度退職したうえで短時間勤務の職に採用される仕組みです。

60歳で辞めるのと65歳まで働くのはどちらが得ですか?

給与、退職金、年金、健康、家族、住宅ローン、再就職の有無によって変わります。単純な損得ではなく、年収見込、退職金見込、年金開始までの生活費を並べて判断する必要があります。

まとめ

公務員の60歳以降は、定年延長によって「働き続けること」が前提になりつつあります。一方で、管理職は原則として役職定年となり、給与も60歳前の7割水準を基本に見直されます。

そのため、60歳以降の制度は、定年延長だけでなく、役職定年、給与7割、定年前再任用短時間勤務、退職金、年金をセットで見る必要があります。

特に50代後半の職員は、自分の定年年齢、役職定年の対象、60歳以降の給与見込、退職金、年金、短時間勤務の選択肢を早めに確認しておくと、家計と働き方の見通しを立てやすくなります。

出典・作成方針

  • 人事院「定年・役職定年・再任用」
  • 内閣官房内閣人事局「国家公務員の60歳以降の働き方について」
  • 総務省「地方公務員の定年引上げに関する資料」
  • 国家公務員法、地方公務員法、関係する人事院規則・条例の考え方

本記事は、公的機関が公表している資料をもとに、公務員の60歳以降の働き方を整理したものです。個別の給与額、退職手当、年金、勤務形態は、所属機関、自治体、職種、役職、手当、条例、本人の選択によって異なります。

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