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2025年夏(令和7年6月)の国家公務員・地方公務員ボーナスについて、「支給月数は何ヶ月分なのか」「ボーナスはいくらもらえるのか」「支給日はいつなのか」「手取り額の計算方法」など気になるポイントをわかりやすく解説します。
人事院勧告や地方人事委員会勧告に基づく最新の支給月数や、国家公務員と地方公務員ボーナスの違い、年齢・職級別の支給額の目安、昨年との比較やボーナスの手取り額の目安まで、現役公務員の方に役立つ情報をまとめました。
期末手当と勤勉手当とは?
公務員のボーナス(賞与)は、期末手当と勤勉手当という2つの手当で構成されています。
期末手当は生活費の補填を目的に支給されるもので、職員の勤務成績に関係なく一律に支給される部分です。
一方、勤勉手当は職員の勤務成績への報償として支給される部分で、勤務成績に応じて支給額が変動します。
これら2つを合計したものがいわゆる「ボーナス(賞与)」となり、国家公務員の場合は法律(給与法)と人事院規則で支給が定められています。
ボーナスは毎年夏と冬の年2回、毎月の給与とは別枠で支給され、年間の収入を底上げする重要な収入源です。
2025年夏の公務員ボーナス支給月数は何ヶ月分?

年度 | 夏のボーナス (6月) |
冬のボーナス (12月) |
合計 |
---|---|---|---|
R6 | 期末1.225か月 勤勉1.025か月 合計2.25か月 |
期末1.275か月 勤勉1.075か月 合計2.35か月 |
期末2.50か月 勤勉2.10か月 合計4.60か月 |
R7* | 期末1.250か月 勤勉1.050か月 合計2.30か月 |
期末1.250か月 勤勉1.050か月 合計2.30か月 |
期末2.50か月 勤勉2.10か月 合計4.60か月 |
2025年夏の公務員ボーナス支給月数は「約2.30ヶ月分」とされています。
これは年間の支給月数4.60ヶ月分のうち半分に相当する額です。
2024年の人事院勧告に基づき、国家公務員の年間ボーナス支給月数は前年の4.50ヶ月分から0.10ヶ月分引き上げられて4.60ヶ月分となりました。
この増加分は期末手当・勤勉手当それぞれに均等に配分され、期末手当が年2.50ヶ月分、勤勉手当が年2.10ヶ月分(合計4.60ヶ月分)となります。
したがって令和7年夏のボーナス(6月期)は前年よりやや増えて基本給の約2.30ヶ月分(期末手当1.25ヶ月+勤勉手当1.05ヶ月)支給される見込みです。
地方公務員のボーナス支給月数も多くの場合、国家公務員の人事院勧告に準じて決定されます。
各自治体の人事委員会勧告がありますが、実際には国家公務員とほぼ同じ支給月数(年間約4.60ヶ月分)に揃えるケースがほとんどです。
そのため、2025年夏の地方公務員のボーナスも概ね2.30ヶ月分程度になると考えて良いでしょう。
国家公務員と地方公務員のボーナスの違い
公務員ボーナスの仕組み自体は国家公務員も地方公務員も大きな違いはなく、どちらも期末手当・勤勉手当の合計が年2回支給されます。
金額の算定も人事院勧告に基づき決定される点は共通しています。
多くの地方公務員のボーナスは、国家公務員の支給率や月数に準じて条例で定められるため、支給月数そのものは基本的に同じです。
つまり、「国家公務員だから支給月数が多い/少ない」「地方だから少ない」といった差異は原則ありません。
しかし、実際の支給額には職種や勤務地域による差が出ることがあります。
たとえば、国家公務員でも本府省勤務(中央省庁勤務)で都市部に勤める場合は地域手当(都市手当)が高く、基本給水準も高めです。
一方、地方公務員でも地域や自治体の規模によって扶養手当や地域手当の額が異なるため、同じ支給月数でもボーナスの額面は地域差や職務差で数万円程度変わることも珍しくありません。
また、人事評価制度の違いで勤勉手当の係数(評価による増減率)に差がある場合もあります。
総じて言えば、国家公務員と地方公務員のボーナスは制度上は似ていますが、給与水準(基本給や各種手当)の違いによって実際の支給額に違いが出る点に注意が必要です。
公務員ボーナス支給額の目安(年齢・職級別モデルケース)
実際に公務員がどれくらいのボーナスを受け取っているか、年齢や職級別のモデルケースで見てみましょう。
以下は国家公務員(行政職・本府省勤めのモデルケース)と地方公務員(地方自治体勤務のモデルケース)それぞれの年間ボーナス支給額の目安です。
支給月数は基本的に双方とも年間4.60ヶ月分ですが、初年度など一部例外もあります。
- 国家公務員(本省総合職)(22歳・大卒新規採用職員):年間約85.5万円(※支給月数約3.0ヶ月分。新卒職員は4月採用のため初年度は満額支給とならない)
- 国家公務員(本省総合職)(35歳・課長補佐級職員):年間約202.1万円(支給月数4.60ヶ月分)
- 国家公務員(本省総合職)(50歳・管理職クラス):年間約345.5万円(支給月数4.60ヶ月分)
- 国家公務員(地方勤務)(22歳・大卒新規採用職員):年間約66.0万円(※支給月数約3.0ヶ月分。初年度は満額支給とならない)
- 国家公務員(地方勤務)(35歳・係長級職員):年間約128.2万円(支給月数4.60ヶ月分)
- 国家公務員(地方勤務)(50歳・管理職クラス):年間約190.5万円(支給月数4.60ヶ月分)
※上記の金額は人事院が公表しているモデル給与例に支給月数(4.60ヶ月分)を掛け合わせて試算したモデルケースです。
実際のボーナス額は各人の職務や等級、評価(勤勉手当の成績率)や各種手当によって増減しますので、あくまで目安と考えてください。
例えば同じ35歳でも国家公務員(本省勤務)と国家公務員(地方機関勤務)では約80万円の差が出ていますが、これは地域手当や基本給水準の違いによるものです。
夏のボーナス支給日はいつ?
公務員の夏のボーナス支給日は毎年6月30日と法律で定められています (国家公務員の場合。地方公務員も多くはこれに合わせています)。
冬のボーナス支給日は12月10日と定められており、夏冬で日付が異なります。
この日付が土日など公休日に当たる場合は、その直前の平日に繰り上げて支給されます。
例えば前年の令和6年(2024年)は6月30日が日曜日だったため、6月28日(金)に前倒し支給されました。
2025年夏のボーナス支給日は6月30日(月)となります(令和7年6月30日は月曜日のためその日に支給)。
公務員のボーナス支給日は法律・条例で明確に決められているため、民間企業のように会社ごとにばらつきがなく、毎年必ず同じ時期(6月末)に夏のボーナスを受け取れるのが特徴です。
ボーナスの手取り額の目安と計算方法
公務員のボーナスも額面金額から税金や社会保険料(共済組合掛金など)が控除されるため、手取り額は支給額より少なくなります 。
では、実際どれくらい差し引かれるのか、その内訳と概算の考え方を説明します。
ボーナスから控除される主な項目は以下のとおりです。
なお、公務員の場合も基本的には民間の会社員と同様の項目が控除されます。
- 所得税(源泉徴収):ボーナスにも所得税がかかり、支給時に源泉徴収されます。計算時は「ボーナス額面 − 社会保険料」に対して所得税率(扶養家族の人数と前月給与に応じた率)を掛けて算出されます。扶養親族が多いほど税率が低くなり、手取り額が増える傾向にあります。
- 共済年金掛金(厚生年金保険料):国家公務員共済や地方公務員共済の年金保険料もボーナス時に控除されます。率は厚生年金と同じ18.3%(労使折半で本人負担約9.15%)で、ボーナス額面に対して計算されます。
- 共済短期掛金(健康保険料等):公務員の健康保険料もボーナスから控除されます。協会けんぽ等の場合、保険料率は加入先によって異なりますが、おおむね約10%前後(労使折半で本人負担約5%)です。40歳以上は介護保険料も加わり少し負担増となります。
- 住民税:住民税(市町村税)は前年の所得に基づき年間税額が決定し、通常は毎月の給与から12分割で差し引かれています。ボーナスからは特段控除されないケースが多いですが、人によってはボーナス月に追加徴収がある場合もあります。
では、控除後の手取り額の目安を具体的な数字で見てみましょう。たとえばボーナス額面が50万円の場合、社会保険料や税金で差し引かれる合計は約12万8千円程度となり、手取り額は約37万円(額面の約75%)になります。
一方、ボーナス額面30万円の場合は控除合計が約5万円ほどで、手取り額は約25万円(額面の約83%)です。
ボーナス額面が大きくなるほど所得税の税率が上がるため、支給額に対する手取り割合は下がる傾向があります。
目安として、公務員のボーナス手取り額は額面のだいたい75~85%程度と考えると良いでしょう(扶養家族の有無や健康保険料率によって前後します)。
昨年(2024年)との比較
最後に、昨年(2024年)との比較として、公務員ボーナス支給月数の改定内容と支給額の推移を確認します。
令和6年(2024年)の公務員ボーナス年間支給月数は4.50ヶ月分で、令和7年(2025年)は4.60ヶ月分へと0.10ヶ月分引き上げられました 。
この改定は、人事院が2024年度の民間賞与水準との較差を踏まえて行ったもので、民間平均(約4.60ヶ月)に公務員を合わせる形で支給月数が増やされています。
ボーナス支給月数の引き上げは近年では異例で、コロナ禍などの景気動向による抑制傾向から一転した形となりました。
実際、2024年夏の国家公務員平均支給額は約68万5,300円で、前年夏(2023年)より約3.5%増加しています。
増額の要因は、前述の支給月数アップ(昨年夏2.25ヶ月→今年夏2.30ヶ月)に加え、令和5年度・6年度に行われた月給自体の引上げ(俸給表改定)による基礎額アップなどが挙げられます。
一方、地方公務員のボーナスも多くの自治体で昨年の人事委員会勧告により国家公務員と同様の引上げが行われています。
自治体によっては財政状況等を考慮して若干調整が入る場合もありますが、概ね前年より手当月数0.10ヶ月分の増加となりました。
大半の自治体では国家公務員に準じて年間4.60ヶ月分へ改定されており、2025年夏の支給額は昨年より数%程度増える見込みです。
過去のボーナス支給状況は以下のとおりです。
年度 | 支給月数 |
---|---|
2023年度 | 4.50か月 |
2022年度 | 4.40か月 |
2021年度 | 4.30か月 |
2020年度 | 4.45か月 |
2019年度 | 4.50か月 |
2018年度 | 4.45か月 |
2017年度 | 4.40か月 |
2016年度 | 4.30か月 |
2015年度 | 4.20か月 |
2014年度 | 4.10か月 |
2013年度 | 3.95か月 |
2012年度 | 3.95か月 |
2011年度 | 3.95か月 |
2010年度 | 3.95か月 |
2009年度 | 4.15か月 |
2008年度 | 4.50か月 |
2007年度 | 4.50か月 |
2006年度 | 4.45か月 |
2005年度 | 4.45か月 |
2004年度 | 4.40か月 |
2003年度 | 4.40か月 |
2002年度 | 4.65か月 |
2001年度 | 4.70か月 |
2000年度 | 4.75か月 |
1999年度 | 4.95か月 |
1998年度 | 5.25か月 |
1997年度 | 5.25か月 |
1996年度 | 5.20か月 |
1995年度 | 5.20か月 |
1994年度 | 5.20か月 |
1993年度 | 5.30か月 |
1992年度 | 5.45か月 |
1991年度 | 5.45か月 |
1990年度 | 5.35か月 |
1989年度 | 5.10か月 |
1988年度 | 4.90か月 |
1987年度 | 4.90か月 |
1986年度 | 4.90か月 |
1985年度 | 4.90か月 |
1984年度 | 4.90か月 |
1983年度 | 4.90か月 |
1982年度 | 4.90か月 |
1981年度 | 4.90か月 |
1980年度 | 4.90か月 |
1979年度 | 4.90か月 |
1978年度 | 4.90か月 |
1977年度 | 5.00か月 |
1976年度 | 5.00か月 |
1975年度 | 5.20か月 |
1974年度 | 5.20か月 |
1973年度 | 4.80か月 |
1972年度 | 4.80か月 |
1971年度 | 4.80か月 |
1970年度 | 4.70か月 |
1969年度 | 4.50か月 |
1968年度 | 4.40か月 |
1967年度 | 4.40か月 |
1966年度 | 4.30か月 |
まとめ
以上、2025年夏の公務員ボーナスについて、支給月数から支給額の目安、手取り額、支給日、昨年との比較まで解説しました。
公務員のボーナスは民間に比べ安定した支給が見込まれる反面、人事院勧告等で毎年見直しが行われています。
現役公務員の皆さんは最新の支給月数や制度の変更点を把握し、将来の資金計画に役立ててください 。
今年の夏のボーナスもしっかり活用して、家計管理や貯蓄・資産形成に役立てましょう。