昇格時号俸対応表

行政職俸給表(二)が4級から5級へ昇格したら号俸はどうなる?昇格時の基本給の変化をわかりやすく解説

国家公務員として働く中で、多くの職員が目指す「級の昇格」。特に4級から5級への昇格は、気になる方が多いのではないでしょうか。

この記事では、昇格時にどのように号俸(基本給)が変動するのか、その仕組みや注意点を具体的に解説します。

職務の級と号俸の違いとは?

国家公務員の月々の基本給は、「俸給表」という一覧表によって定められています。

この俸給表は、いわば国家公務員の給与の設計図です。そして、その設計図には、給与額を決めるために重要な2つの柱があります。それが、「職務の級」と「号俸」です。

まず、「職務の級」は、職員が担当する職務の複雑さ、困難さ、責任の度合いに応じて定められる区分です。

イメージとしては、役職や職責のレベルに近いもので、例えば同じ俸給表でも、係員→係長→課長や看護師→看護師長→看護部長、助教→准教授→教授などといった職務の段階に対応しています。昇進すると、通常はこの「職務の級」が上がります。

では、「号俸」とは何でしょうか? 号俸は、同じ「職務の級」の中でも、さらに細分化された区分です。

俸給表を見ると、「級」ごとに縦に番号が並んでいます。この番号が「号俸」です。

同じ級の中でも、号俸が一つ上がるごとに俸給(基本給)の月額が増える仕組みになっています。

かつては勤続年数が長くなるにつれて自動的に号俸が上がる、いわゆる「年功序列」の要素が強かったですが、近年は勤務成績も号俸の上昇(昇給)に影響を与えるようになっています。

例えば、一定の年齢(55歳)を超えると、標準的な勤務成績では昇給が停止する制度もあります。

また、令和6年度の改定では、管理職について、昇進(昇格)による給与上昇を基本としつつも、成績優秀者は昇給(号俸上昇)でも大きな給与上昇が得られる制度が導入されました。

つまり、号俸とは、

  1. 同じ職務の級の中での給与段階を示す区分です。
  2. 勤務年数や勤務成績によって上昇(昇給)していきます。
  3. 号俸が上がると、基本給(俸給月額)が増加します。

「職務の級」が担当する仕事のレベルや責任の重さを表すのに対し、「号俸」は同じレベルの仕事をする中で、どれだけ経験を積み、あるいは貢献しているか(成績)を反映して給与を調整する仕組みと言えるでしょう。

4級→5級 昇格時の号俸対応表の見方

昇格時には、人事院が示す「昇格時号俸対応表」に基づき、前級の号俸に対応する号俸が新たに割り当てられます。

一例として以下のような対応になります。

4級(昇格前) 5級(昇格後)
4級15号俸 5級1号俸
4級49号俸 5級17号俸
4級83号俸 5級29号俸

このように、号俸は減っているように見える場合でも、級が上がることで基本給は原則として維持または増加するように設計されています。

見かけの号俸の数字が小さくなっても減給ではありません。

級ごとに給与テーブルが異なり、上位級の同号俸は下位級の高い号俸と同等以上の水準になるよう調整されています。

これは、昇格により職責が重くなる分、報酬水準も上がるという制度設計によるものです。

出典:人事院規則九―八

4級→5級 昇格時の号俸対応表

以下に、行政職俸給表(二) 適用の国家公務員が 4級 から 5級 に昇格した際の、対応する号俸の一覧表を掲載します。

下記の表は人事院の昇格時号俸対応表に基づいており、該当する 5級 の欄を確認することで、昇格後に適用される号俸が一目で分かります。

昇格前 昇格後
4級1号俸
291,600円
5級1号俸
319,000円
(+27,400円)
4級2号俸
292,300円
5級1号俸
319,000円
(+26,700円)
4級3号俸
293,000円
5級1号俸
319,000円
(+26,000円)
4級4号俸
293,500円
5級1号俸
319,000円
(+25,500円)
4級5号俸
294,100円
5級1号俸
319,000円
(+24,900円)
4級6号俸
294,700円
5級1号俸
319,000円
(+24,300円)
4級7号俸
295,300円
5級1号俸
319,000円
(+23,700円)
4級8号俸
295,800円
5級1号俸
319,000円
(+23,200円)
4級9号俸
296,300円
5級1号俸
319,000円
(+22,700円)
4級10号俸
296,900円
5級1号俸
319,000円
(+22,100円)
4級11号俸
297,500円
5級1号俸
319,000円
(+21,500円)
4級12号俸
297,900円
5級1号俸
319,000円
(+21,100円)
4級13号俸
298,300円
5級1号俸
319,000円
(+20,700円)
4級14号俸
298,800円
5級1号俸
319,000円
(+20,200円)
4級15号俸
299,200円
5級1号俸
319,000円
(+19,800円)
4級16号俸
299,500円
5級1号俸
319,000円
(+19,500円)
4級17号俸
299,900円
5級1号俸
319,000円
(+19,100円)
4級18号俸
300,300円
5級1号俸
319,000円
(+18,700円)
4級19号俸
300,700円
5級1号俸
319,000円
(+18,300円)
4級20号俸
301,000円
5級1号俸
319,000円
(+18,000円)
4級21号俸
301,300円
5級1号俸
319,000円
(+17,700円)
4級22号俸
301,700円
5級1号俸
319,000円
(+17,300円)
4級23号俸
302,100円
5級2号俸
320,300円
(+18,200円)
4級24号俸
302,400円
5級2号俸
320,300円
(+17,900円)
4級25号俸
302,700円
5級3号俸
321,600円
(+18,900円)
4級26号俸
303,100円
5級3号俸
321,600円
(+18,500円)
4級27号俸
303,400円
5級4号俸
322,800円
(+19,400円)
4級28号俸
303,800円
5級4号俸
322,800円
(+19,000円)
4級29号俸
304,100円
5級5号俸
323,700円
(+19,600円)
4級30号俸
304,600円
5級6号俸
324,900円
(+20,300円)
4級31号俸
305,000円
5級7号俸
326,100円
(+21,100円)
4級32号俸
305,500円
5級8号俸
327,200円
(+21,700円)
4級33号俸
306,000円
5級9号俸
328,200円
(+22,200円)
4級34号俸
306,400円
5級9号俸
328,200円
(+21,800円)
4級35号俸
306,900円
5級10号俸
329,200円
(+22,300円)
4級36号俸
307,400円
5級10号俸
329,200円
(+21,800円)
4級37号俸
307,900円
5級11号俸
330,300円
(+22,400円)
4級38号俸
308,500円
5級11号俸
330,300円
(+21,800円)
4級39号俸
309,100円
5級12号俸
331,400円
(+22,300円)
4級40号俸
309,800円
5級12号俸
331,400円
(+21,600円)
4級41号俸
310,300円
5級13号俸
332,400円
(+22,100円)
4級42号俸
310,800円
5級13号俸
332,400円
(+21,600円)
4級43号俸
311,400円
5級14号俸
333,400円
(+22,000円)
4級44号俸
311,900円
5級14号俸
333,400円
(+21,500円)
4級45号俸
312,400円
5級15号俸
334,500円
(+22,100円)
4級46号俸
312,900円
5級15号俸
334,500円
(+21,600円)
4級47号俸
313,500円
5級16号俸
335,600円
(+22,100円)
4級48号俸
314,100円
5級16号俸
335,600円
(+21,500円)
4級49号俸
314,700円
5級17号俸
336,600円
(+21,900円)
4級50号俸
315,400円
5級17号俸
336,600円
(+21,200円)
4級51号俸
316,100円
5級18号俸
337,700円
(+21,600円)
4級52号俸
316,800円
5級18号俸
337,700円
(+20,900円)
4級53号俸
317,400円
5級19号俸
338,800円
(+21,400円)
4級54号俸
318,100円
5級19号俸
338,800円
(+20,700円)
4級55号俸
318,700円
5級20号俸
339,800円
(+21,100円)
4級56号俸
319,300円
5級20号俸
339,800円
(+20,500円)
4級57号俸
319,900円
5級21号俸
340,800円
(+20,900円)
4級58号俸
320,600円
5級21号俸
340,800円
(+20,200円)
4級59号俸
321,300円
5級22号俸
341,800円
(+20,500円)
4級60号俸
321,900円
5級22号俸
341,800円
(+19,900円)
4級61号俸
322,400円
5級23号俸
342,700円
(+20,300円)
4級62号俸
322,900円
5級23号俸
342,700円
(+19,800円)
4級63号俸
323,500円
5級24号俸
343,700円
(+20,200円)
4級64号俸
324,100円
5級24号俸
343,700円
(+19,600円)
4級65号俸
324,700円
5級25号俸
344,700円
(+20,000円)
4級66号俸
325,100円
5級25号俸
344,700円
(+19,600円)
4級67号俸
325,500円
5級25号俸
344,700円
(+19,200円)
4級68号俸
326,000円
5級25号俸
344,700円
(+18,700円)
4級69号俸
326,300円
5級26号俸
345,600円
(+19,300円)
4級70号俸
326,800円
5級26号俸
345,600円
(+18,800円)
4級71号俸
327,300円
5級26号俸
345,600円
(+18,300円)
4級72号俸
327,700円
5級26号俸
345,600円
(+17,900円)
4級73号俸
327,900円
5級27号俸
346,600円
(+18,700円)
4級74号俸
328,200円
5級27号俸
346,600円
(+18,400円)
4級75号俸
328,400円
5級27号俸
346,600円
(+18,200円)
4級76号俸
328,700円
5級27号俸
346,600円
(+17,900円)
4級77号俸
329,000円
5級28号俸
347,600円
(+18,600円)
4級78号俸
329,300円
5級28号俸
347,600円
(+18,300円)
4級79号俸
329,600円
5級28号俸
347,600円
(+18,000円)
4級80号俸
329,800円
5級28号俸
347,600円
(+17,800円)
4級81号俸
330,000円
5級28号俸
347,600円
(+17,600円)
4級82号俸
330,300円
5級28号俸
347,600円
(+17,300円)
4級83号俸
330,600円
5級29号俸
348,600円
(+18,000円)
4級84号俸
330,800円
5級29号俸
348,600円
(+17,800円)
4級85号俸
331,000円
5級29号俸
348,600円
(+17,600円)
4級86号俸
331,200円
5級29号俸
348,600円
(+17,400円)
4級87号俸
331,500円
5級29号俸
348,600円
(+17,100円)
4級88号俸
331,800円
5級29号俸
348,600円
(+16,800円)
4級89号俸
332,000円
5級30号俸
349,600円
(+17,600円)
4級90号俸
332,300円
5級30号俸
349,600円
(+17,300円)
4級91号俸
332,600円
5級30号俸
349,600円
(+17,000円)
4級92号俸
332,800円
5級30号俸
349,600円
(+16,800円)
4級93号俸
333,000円
5級30号俸
349,600円
(+16,600円)
4級94号俸
333,300円
5級30号俸
349,600円
(+16,300円)
4級95号俸
333,600円
5級31号俸
350,600円
(+17,000円)
4級96号俸
333,800円
5級31号俸
350,600円
(+16,800円)
4級97号俸
334,000円
5級31号俸
350,600円
(+16,600円)

昇格メリットは一律じゃない?

国家公務員が昇格する際には、級が替わるため、号俸の数字が下がることがあっても基本給は原則として増加します。

これが「昇格メリット」であり、その増加額は一律ではなく、号俸の位置によって差がある点に注意が必要です。

4級33号俸(306,000円)から5級9号俸(328,200円)への昇格では、差額は+22,200円。

4級69号俸(326,300円)から5級26号俸(345,600円)への昇格では、差額は+19,300円。

4級97号俸(334,000円)から5級31号俸(350,600円)への昇格では、差額は+16,600円。

号俸が中間層までは昇格メリットが大きくなり、上位層では差額がやや抑制される傾向があります。 つまり「昇格=大幅昇給」とは限らず、昇格メリットは号俸の位置により変動するという点を理解しておくことが重要です。

【FAQ】国家公務員の昇格と号俸に関するよくある質問

Q1. 国家公務員が4級→5級に昇格すると、号俸は下がるのですか?

A. 見かけ上、号俸の数字が小さくなることがありますが、5級のほうが給与表の水準が高いため、基本給が下がることはありません。制度上、同等以上の給与水準が確保されるよう設計されています。

Q2. 昇格時の号俸はどうやって決まるのですか?

A. 人事院が定める「昇格時号俸対応表」に基づいて、昇格前の号俸に応じた号俸が新しい級で割り当てられます。これにより、公平で一貫した処遇が確保されます。

Q3. 号俸が下がるのは不利益変更にならないのですか?

A. 号俸の「数字」が下がるだけで、支給される基本給は昇格前と同等かそれ以上です。そのため、法律上の不利益変更には該当しません。むしろ、級が上がることで将来的な昇給や昇任の余地が広がります。

Q4. 昇格の判断は誰が、どのように行っているのですか?

A. 各府省庁が、職員の勤務成績、職務経験などを総合的に判断し、人事院規則に基づいて昇格を決定します。近年は業績評価制度も導入されており、能力や実績が重視されつつあります。