昇格時号俸対応表

公安職俸給表(一)が7級から8級へ昇格したら号俸はどうなる?昇格時の基本給の変化をわかりやすく解説

国家公務員として働く中で、多くの職員が目指す「級の昇格」。特に7級から8級への昇格は、気になる方が多いのではないでしょうか。

この記事では、昇格時にどのように号俸(基本給)が変動するのか、その仕組みや注意点を具体的に解説します。

職務の級と号俸の違いとは?

国家公務員の月々の基本給は、「俸給表」という一覧表によって定められています。

この俸給表は、いわば国家公務員の給与の設計図です。そして、その設計図には、給与額を決めるために重要な2つの柱があります。それが、「職務の級」と「号俸」です。

まず、「職務の級」は、職員が担当する職務の複雑さ、困難さ、責任の度合いに応じて定められる区分です。

イメージとしては、役職や職責のレベルに近いもので、例えば同じ俸給表でも、係員→係長→課長や看護師→看護師長→看護部長、助教→准教授→教授などといった職務の段階に対応しています。昇進すると、通常はこの「職務の級」が上がります。

では、「号俸」とは何でしょうか? 号俸は、同じ「職務の級」の中でも、さらに細分化された区分です。

俸給表を見ると、「級」ごとに縦に番号が並んでいます。この番号が「号俸」です。

同じ級の中でも、号俸が一つ上がるごとに俸給(基本給)の月額が増える仕組みになっています。

かつては勤続年数が長くなるにつれて自動的に号俸が上がる、いわゆる「年功序列」の要素が強かったですが、近年は勤務成績も号俸の上昇(昇給)に影響を与えるようになっています。

例えば、一定の年齢(55歳)を超えると、標準的な勤務成績では昇給が停止する制度もあります。

また、令和6年度の改定では、管理職について、昇進(昇格)による給与上昇を基本としつつも、成績優秀者は昇給(号俸上昇)でも大きな給与上昇が得られる制度が導入されました。

つまり、号俸とは、

  1. 同じ職務の級の中での給与段階を示す区分です。
  2. 勤務年数や勤務成績によって上昇(昇給)していきます。
  3. 号俸が上がると、基本給(俸給月額)が増加します。

「職務の級」が担当する仕事のレベルや責任の重さを表すのに対し、「号俸」は同じレベルの仕事をする中で、どれだけ経験を積み、あるいは貢献しているか(成績)を反映して給与を調整する仕組みと言えるでしょう。

7級→8級 昇格時の号俸対応表の見方

昇格時には、人事院が示す「昇格時号俸対応表」に基づき、前級の号俸に対応する号俸が新たに割り当てられます。

一例として以下のような対応になります。

7級(昇格前) 8級(昇格後)
7級11号俸 8級1号俸
7級37号俸 8級25号俸
7級63号俸 8級44号俸

このように、号俸は減っているように見える場合でも、級が上がることで基本給は原則として維持または増加するように設計されています。

見かけの号俸の数字が小さくなっても減給ではありません。

級ごとに給与テーブルが異なり、上位級の同号俸は下位級の高い号俸と同等以上の水準になるよう調整されています。

これは、昇格により職責が重くなる分、報酬水準も上がるという制度設計によるものです。

出典:人事院規則九―八

7級→8級 昇格時の号俸対応表

以下に、公安職俸給表(一) 適用の国家公務員が 7級 から 8級 に昇格した際の、対応する号俸の一覧表を掲載します。

下記の表は人事院の昇格時号俸対応表に基づいており、該当する 8級 の欄を確認することで、昇格後に適用される号俸が一目で分かります。

昇格前 昇格後
7級1号俸
396,700円
8級1号俸
433,100円
(+36,400円)
7級2号俸
398,400円
8級1号俸
433,100円
(+34,700円)
7級3号俸
400,000円
8級1号俸
433,100円
(+33,100円)
7級4号俸
401,700円
8級1号俸
433,100円
(+31,400円)
7級5号俸
403,200円
8級1号俸
433,100円
(+29,900円)
7級6号俸
404,800円
8級1号俸
433,100円
(+28,300円)
7級7号俸
406,400円
8級1号俸
433,100円
(+26,700円)
7級8号俸
408,000円
8級1号俸
433,100円
(+25,100円)
7級9号俸
409,500円
8級1号俸
433,100円
(+23,600円)
7級10号俸
411,100円
8級1号俸
433,100円
(+22,000円)
7級11号俸
412,700円
8級1号俸
433,100円
(+20,400円)
7級12号俸
414,300円
8級1号俸
433,100円
(+18,800円)
7級13号俸
415,800円
8級1号俸
433,100円
(+17,300円)
7級14号俸
417,800円
8級2号俸
434,700円
(+16,900円)
7級15号俸
419,800円
8級3号俸
436,200円
(+16,400円)
7級16号俸
421,800円
8級4号俸
437,700円
(+15,900円)
7級17号俸
423,300円
8級5号俸
439,200円
(+15,900円)
7級18号俸
425,000円
8級6号俸
440,800円
(+15,800円)
7級19号俸
426,600円
8級7号俸
442,200円
(+15,600円)
7級20号俸
428,300円
8級8号俸
443,600円
(+15,300円)
7級21号俸
429,900円
8級9号俸
444,700円
(+14,800円)
7級22号俸
431,400円
8級10号俸
446,100円
(+14,700円)
7級23号俸
432,900円
8級11号俸
447,600円
(+14,700円)
7級24号俸
434,300円
8級12号俸
449,100円
(+14,800円)
7級25号俸
435,500円
8級13号俸
450,400円
(+14,900円)
7級26号俸
437,000円
8級14号俸
452,100円
(+15,100円)
7級27号俸
438,500円
8級15号俸
453,700円
(+15,200円)
7級28号俸
439,900円
8級16号俸
455,300円
(+15,400円)
7級29号俸
441,400円
8級17号俸
456,700円
(+15,300円)
7級30号俸
442,700円
8級18号俸
458,400円
(+15,700円)
7級31号俸
443,900円
8級19号俸
460,100円
(+16,200円)
7級32号俸
445,100円
8級20号俸
461,700円
(+16,600円)
7級33号俸
446,100円
8級21号俸
463,100円
(+17,000円)
7級34号俸
446,800円
8級22号俸
463,800円
(+17,000円)
7級35号俸
447,500円
8級23号俸
464,500円
(+17,000円)
7級36号俸
448,200円
8級24号俸
465,200円
(+17,000円)
7級37号俸
448,700円
8級25号俸
465,600円
(+16,900円)
7級38号俸
449,100円
8級26号俸
466,100円
(+17,000円)
7級39号俸
449,500円
8級27号俸
466,700円
(+17,200円)
7級40号俸
449,800円
8級28号俸
467,300円
(+17,500円)
7級41号俸
450,100円
8級29号俸
467,900円
(+17,800円)
7級42号俸
450,400円
8級30号俸
468,600円
(+18,200円)
7級43号俸
450,700円
8級31号俸
469,100円
(+18,400円)
7級44号俸
451,000円
8級32号俸
469,600円
(+18,600円)
7級45号俸
451,200円
8級33号俸
470,100円
(+18,900円)
7級46号俸
451,500円
8級34号俸
470,400円
(+18,900円)
7級47号俸
451,800円
8級35号俸
470,700円
(+18,900円)
7級48号俸
452,000円
8級36号俸
471,100円
(+19,100円)
7級49号俸
452,300円
8級37号俸
471,400円
(+19,100円)
7級50号俸
452,600円
8級38号俸
471,600円
(+19,000円)
7級51号俸
452,900円
8級39号俸
471,900円
(+19,000円)
7級52号俸
453,200円
8級40号俸
472,100円
(+18,900円)
7級53号俸
453,400円
8級41号俸
472,400円
(+19,000円)
7級54号俸
453,700円
8級41号俸
472,400円
(+18,700円)
7級55号俸
453,900円
8級42号俸
472,600円
(+18,700円)
7級56号俸
454,200円
8級42号俸
472,600円
(+18,400円)
7級57号俸
454,400円
8級43号俸
472,800円
(+18,400円)
7級58号俸
454,700円
8級43号俸
472,800円
(+18,100円)
7級59号俸
455,000円
8級44号俸
473,000円
(+18,000円)
7級60号俸
455,200円
8級44号俸
473,000円
(+17,800円)
7級61号俸
455,400円
8級44号俸
473,000円
(+17,600円)
7級62号俸
455,700円
8級44号俸
473,000円
(+17,300円)
7級63号俸
456,000円
8級44号俸
473,000円
(+17,000円)
7級64号俸
456,300円
8級44号俸
473,000円
(+16,700円)
7級65号俸
456,500円
8級44号俸
473,000円
(+16,500円)
7級66号俸
456,800円
8級44号俸
473,000円
(+16,200円)
7級67号俸
457,100円
8級44号俸
473,000円
(+15,900円)
7級68号俸
457,400円
8級44号俸
473,000円
(+15,600円)
7級69号俸
457,600円
8級45号俸
473,400円
(+15,800円)
7級70号俸
457,900円
8級45号俸
473,400円
(+15,500円)
7級71号俸
458,200円
8級45号俸
473,400円
(+15,200円)
7級72号俸
458,500円
8級45号俸
473,400円
(+14,900円)
7級73号俸
458,700円
8級45号俸
473,400円
(+14,700円)

昇格メリットは一律じゃない?

国家公務員が昇格する際には、級が替わるため、号俸の数字が下がることがあっても基本給は原則として増加します。

これが「昇格メリット」であり、その増加額は一律ではなく、号俸の位置によって差がある点に注意が必要です。

7級33号俸(446,100円)から8級21号俸(463,100円)への昇格では、差額は+17,000円。

7級69号俸(457,600円)から8級45号俸(473,400円)への昇格では、差額は+15,800円。

7級73号俸(458,700円)から8級45号俸(473,400円)への昇格では、差額は+14,700円。

上位号俸帯で差額がやや大きくなる傾向も見られます。 つまり「昇格=大幅昇給」とは限らず、昇格メリットは号俸の位置により変動するという点を理解しておくことが重要です。

【FAQ】国家公務員の昇格と号俸に関するよくある質問

Q1. 国家公務員が7級→8級に昇格すると、号俸は下がるのですか?

A. 見かけ上、号俸の数字が小さくなることがありますが、8級のほうが給与表の水準が高いため、基本給が下がることはありません。制度上、同等以上の給与水準が確保されるよう設計されています。

Q2. 昇格時の号俸はどうやって決まるのですか?

A. 人事院が定める「昇格時号俸対応表」に基づいて、昇格前の号俸に応じた号俸が新しい級で割り当てられます。これにより、公平で一貫した処遇が確保されます。

Q3. 号俸が下がるのは不利益変更にならないのですか?

A. 号俸の「数字」が下がるだけで、支給される基本給は昇格前と同等かそれ以上です。そのため、法律上の不利益変更には該当しません。むしろ、級が上がることで将来的な昇給や昇任の余地が広がります。

Q4. 昇格の判断は誰が、どのように行っているのですか?

A. 各府省庁が、職員の勤務成績、職務経験などを総合的に判断し、人事院規則に基づいて昇格を決定します。近年は業績評価制度も導入されており、能力や実績が重視されつつあります。