久喜市は2026年7月23日、2027年4月1日付で採用する予定だった行政事務職について、募集を取り止めると発表しました。
対象となるのは、上級・中級・初級に加え、障がい者対象と民間企業等経験者対象です。ただし、久喜市の職員採用がすべて中止されたわけではありません。2026年10月採用の民間企業等経験者や、2027年4月採用の専門職については、引き続き採用試験が実施されます。
今回、特に問題視されているのは、単に行政事務職を募集しないことだけではありません。5月には「新卒を含む幅広い採用の要項は夏くらいに公開する」と案内されていたにもかかわらず、その夏に募集取り止めが発表されたこと、そして具体的な判断理由が明らかにされていないことです。
久喜市を受験候補にしていた人は、まず自分の区分が取り止め対象に含まれるのかを確認し、残っている採用区分や他自治体の募集へ対策を振り分ける必要があります。
この記事のポイント
久喜市が取り止めたのは「2027年4月採用の行政事務職」
久喜市の公式発表によると、募集取り止めの対象は、2027年4月1日付採用の行政事務職です。上級・中級・初級だけでなく、障がい者対象と民間企業等経験者対象も含まれています。
一方で、2026年10月1日付採用の民間企業等経験者や、2027年4月1日付採用の専門職は実施されます。そのため、「久喜市が2027年度の職員採用を全面的に中止した」と理解するのは正確ではありません。
取り止め対象と実施対象を整理すると、次のようになります。
| 区分 | 採用時期 | 対象職種・試験区分 | 状況 |
|---|---|---|---|
| 行政事務 | 2027年4月1日 | 上級・中級・初級・障がい者対象・民間企業等経験者対象 | 募集取り止め |
| 民間企業等経験者 | 2026年10月1日 | 行政事務・土木・建築・幼稚園教諭・保育士 | 実施 |
| 専門職 | 2027年4月1日 | 土木・建築・幼稚園教諭・保育士・保健師・社会福祉士 | 実施 |
| 建築有資格者 | 募集案内による | 建築 | 通年募集 |
特に注意したいのが、民間企業等経験者の扱いです。2027年4月採用の行政事務に設けられる予定だった民間企業等経験者区分は取り止め対象ですが、2026年10月採用の民間企業等経験者は別の採用として実施されます。
同じ「民間企業等経験者」という名称でも、採用日や職種によって状況が異なります。社会人受験者は、対象となる採用日、職種、職務経験年数などの応募資格を分けて確認する必要があります。
「夏ごろ要項公開」の案内後、募集取り止めが発表された
今回の発表を考えるうえでは、募集を取り止めたという結果だけでなく、受験生がいつまで採用実施を前提に準備していた可能性があるかを見る必要があります。
2026年5月に公開された市長出演の採用PR動画を紹介する投稿では、「新卒を含む幅広い採用の要項は夏くらいに公開します」と案内されていました。その後、久喜市は7月23日に行政事務職の募集取り止めを発表し、翌7月24日には専門職を対象とする第2回職員採用試験の申込みを開始しています。
発表までの流れを整理すると、次のとおりです。
| 時期 | 案内・動き | 受験生への意味 |
|---|---|---|
| 2026年5月 | 市長出演の採用PR動画を紹介する投稿で、新卒を含む採用要項を夏ごろ公開すると案内 | 行政事務を含む採用情報の公開を待ちながら準備する時期 |
| 2026年7月23日 | 2027年4月採用の行政事務職について募集取り止めを発表 | 対象区分では久喜市を受験できないことが明らかになる |
| 2026年7月24日 | 第2回職員採用試験の申込みを開始 | 専門職など、実施される採用もあることが分かる |
5月の案内は、久喜市ホームページの正式な受験案内ではなく、採用PR動画を紹介するSNS投稿で確認できるものです。ただし、要項が夏に公開されるとの案内を見て、募集実施を前提に準備を続けた受験生がいた可能性はあります。
久喜市自身も、発表文の中で、受験に向けて準備を進めてきた人に「多大なるご迷惑」をかけたとして謝罪しています。
「試験直前の中止」ではなく「募集取り止め」
今回の件を「公務員試験が直前で中止された」と表現すると、正式な申込受付後や一次試験の直前に中止されたような印象を与えます。
しかし、確認できる公式情報では、2027年4月採用の行政事務について正式な申込受付が始まっていたとは示されていません。したがって、より正確なのは「要項公開を待っていた段階で、募集を実施しないことが発表された」という整理です。
正式な試験開始後の中止とは性質が異なる一方、受験生がその自治体を候補に入れて準備していた場合の影響まで小さいとは限りません。
久喜市が示した理由は「市政運営全般を総合的に勘案」
久喜市は、市政運営に係る方針を踏まえて検討した結果、行政事務職の募集を取り止めたと説明しています。
さらに、今回の決定について「市政運営全般を総合的に勘案したうえで判断した」とし、久喜市への受験に向けて準備してきた人に謝罪しています。
一方、公式発表だけでは、採用方針を変更した具体的な背景までは分かりません。確認できることと、現時点では確認できないことを分けると、次のようになります。
| 公式発表で分かること | 現時点では分からないこと |
|---|---|
| 取り止め対象となる職種・区分 | 採用方針を変更した具体的な理由 |
| 募集取り止めの発表日 | 方針変更を決定した時期 |
| 継続して実施される採用 | 財政事情や人件費削減との関係 |
| 受験準備者への謝罪 | 組織再編や定員削減との関係 |
| 市政運営を踏まえた判断であること | 2028年4月以降の行政事務採用計画 |
| 専門職などは予定どおり実施すること | 退職予定者数や欠員状況との関係 |
このため、「久喜市が財政難だから採用を中止した」「人件費削減のために新卒採用をやめた」と断定することはできません。また、取り止め対象には民間企業等経験者や障がい者対象も含まれるため、「新卒採用だけをやめた」という説明も正確ではありません。
財政、定員管理、組織再編などが自治体の採用計画に影響することはありますが、一般論と久喜市の今回の判断理由は分けて考える必要があります。市議会や記者会見などで追加説明がない限り、具体的な背景は未確定です。
なぜ発表時期が受験生にとって大きな問題になるのか
公務員試験の準備には、複数の自治体で共通して使えるものと、特定の自治体に合わせて準備するものがあります。
教養試験やSPI、論文試験などの基礎対策は、試験方式が近い他自治体にも転用できます。一方、志望動機、面接カード、自治体研究、政策課題の整理などは、久喜市向けに個別対応する部分が大きくなります。
| 準備内容 | 他自治体へ転用しやすいか | 募集取り止めによる影響 |
|---|---|---|
| 教養試験・SPIなどの基礎対策 | 比較的転用しやすい | 試験方式が近い自治体で活用できる |
| 論文・作文の基本対策 | 一部転用できる | 自治体固有の課題は修正が必要 |
| 久喜市の政策・課題研究 | 転用しにくい | 別の自治体向けに調べ直す必要がある |
| 久喜市への志望動機 | 転用しにくい | 併願先に合わせて作り直す必要がある |
| 試験日程・併願計画 | 組み直しが必要 | 申込期限が過ぎた自治体には応募できない |
「これまでの勉強がすべて無駄になった」とまではいえません。しかし、第一志望として久喜市固有の準備に時間を使っていた人ほど、方針変更の影響は大きくなります。
モデルケース1:久喜市を第一志望にしていた大学4年生
例えば、2027年卒業予定の大学4年生が、春から久喜市の政策や総合振興計画を調べ、夏の要項公開を待っていたとします。
7月下旬の時点では、すでに他自治体の主要な試験や申込受付が進んでいる可能性があります。教養試験の勉強は別の自治体にも生かせますが、志望動機や自治体研究、面接対策は新しい併願先に合わせて組み直さなければなりません。
民間企業から内定を得ている場合は、その内定を維持するのか、公務員試験を続けるのかという判断にも影響します。
モデルケース2:2027年4月採用を想定していた社会人
民間企業等経験者の場合、年齢や職務経験年数、採用時期、退職時期などを踏まえて受験計画を立てていることがあります。
2027年4月採用の行政事務経験者区分は取り止め対象ですが、2026年10月採用の民間企業等経験者は実施されます。応募資格を満たし、現職の退職時期などを調整できる場合には、別枠への応募を検討できる可能性があります。
ただし、採用日が半年早くなるため、同じ行政事務の経験者採用であっても、すべての人が代替できるわけではありません。
モデルケース3:土木・建築などの専門職志望者
SNSで「久喜市が職員採用を中止」とだけ見た専門職志望者は、自分の試験もなくなったと誤解する可能性があります。
実際には、2027年4月採用の土木、建築、幼稚園教諭・保育士、保健師、社会福祉士は第2回採用試験として募集されています。申込期間は2026年7月24日から8月11日までです。
募集取り止めのニュースを見た場合も、職種、採用日、試験区分まで公式受験案内で確認することが必要です。
正式な募集開始前なら問題はないのか
自治体の採用予定は、組織体制、退職者数、業務量、財政状況などによって変更されることがあります。そのため、一度採用情報が示されたからといって、必ず当初の想定どおり募集されるとは限りません。
また、正式な受験案内や申込受付が始まる前の方針変更であれば、申込者が存在する試験を途中で中止する場合とは性質が異なります。
一方、受験生は正式な受付開始前から準備を進めます。特に後日の要項公開が案内されていた場合、その情報を前提に勉強や併願調整を進めるのは自然です。
今回の論点は、「久喜市に採用計画を変更する権限があるか」だけではありません。変更をいつ公表したのか、受験生が判断できる具体的な理由が示されたのかという、採用広報と説明のあり方も問われています。
| 久喜市側から考えられる見方 | 受験生側から考えられる見方 |
|---|---|
| 行政運営上の事情に応じて採用計画を変更する必要がある | 要項公開を前提に準備していた可能性がある |
| 正式な申込受付後の試験中止とは異なる | 第一志望の場合は自治体研究や面接対策への影響が大きい |
| 必要な専門職などの採用は継続している | 7月下旬では他自治体の申込みが進んでいる場合がある |
| 市政運営全般を踏まえた判断である | 具体的な理由が分からず、進路を判断する材料が少ない |
「正式募集前だから問題はない」とも、「受験生をだました」とも、一律に断定するべきではありません。採用方針の変更自体と、発表時期や説明の十分性を分けて考える必要があります。
行政事務を1年間採用しない場合に考えられる影響
2027年4月に行政事務職の新規採用が行われなければ、その年度に入庁する行政事務職員が少なくなり、将来的な年齢構成に影響する可能性があります。
自治体では、毎年度一定数を継続的に採用することで、職員の年齢構成を保ち、業務を次の世代へ引き継いでいます。特定年度の採用が少ないと、将来的にその年代の職員が少ない「谷」が生じることがあります。
一般的には、次のような影響が考えられます。
- 若手職員への業務継承が進みにくくなる
- 配属できる新規職員が減り、既存職員の配置調整が必要になる
- 翌年度以降に採用人数を増やす必要が生じる
- 採用情報への信頼や、今後の応募者数に影響する
- 特定年代の職員が少なくなり、将来の係長・管理職候補にも影響する
ただし、これらは今回の募集取り止めから考えられる一般的な可能性です。久喜市で実際に人手不足や業務負担の増加が起こると決まったわけではありません。
実際の影響は職員数や退職予定者数によって変わる
影響を判断するには、少なくとも次の情報が必要です。
- 現在の行政事務職員数
- 年代別の職員構成
- 2026年度と2027年度の退職予定者数
- 現在の欠員数
- 2026年10月採用の人数
- 組織再編や業務見直しの内容
- 翌年度以降の行政事務採用計画
例えば、退職者が少なく、組織再編によって必要人数も減るのであれば、単年度の採用見送りによる影響は限定的かもしれません。
反対に、退職者や欠員が多い状況で新規採用を抑えれば、配置や業務継承への影響が大きくなる可能性があります。現時点では必要な人数が公表されていないため、人件費の削減額や現場の負担を具体的に数値化することはできません。
久喜市を受験予定だった人が今から確認すべきこと
久喜市の行政事務職を志望していた人は、募集取り止めのニュースを確認するだけでなく、これまでの準備をどこへ転用できるかを早めに整理することが大切です。
確認項目は次のとおりです。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 採用日 | 2026年10月採用か、2027年4月採用か |
| 職種 | 行政事務か、土木・建築などの専門職か |
| 試験区分 | 上級・中級・初級・障がい者・民間企業等経験者のどれか |
| 受験資格 | 年齢、学歴、資格、職務経験年数を満たすか |
| 申込期限 | 現在も応募できるか |
| 試験方式 | SPI、教養試験、専門試験、論文、面接など |
| 対策の転用 | これまでの勉強や面接準備を他自治体で使えるか |
1.自分の区分が取り止め対象か確認する
行政事務を志望していても、採用日によって状況が異なります。特に民間企業等経験者は、2027年4月採用と2026年10月採用を混同しないようにしてください。
2.他自治体の追加募集・秋試験・通年募集を探す
自治体によっては、夏以降に追加募集、秋試験、経験者採用、通年募集を実施する場合があります。埼玉県内だけでなく、通勤可能な近隣自治体まで対象を広げて確認する方法もあります。
採用日程は随時更新されます。SNSの一覧だけで判断せず、自治体公式サイトの受験案内で申込期限と受験資格を確認してください。
3.これまでの試験対策を生かせる自治体を優先する
教養試験を中心に勉強してきた人は教養型の自治体、SPI対策を進めてきた人はSPI型の自治体を優先すると、短期間でも準備を転用しやすくなります。
面接についても、公務員を志望する理由やこれまでの経験は共通して使えます。一方、志望自治体を選んだ理由や取り組みたい政策は、応募先ごとに作り直す必要があります。
4.久喜市の今後の情報も継続して確認する
今回の発表は、2027年4月採用の行政事務に関するものです。翌年度以降に採用が再開される可能性や、追加説明が示される可能性はあります。
久喜市を引き続き志望する場合は、正規職員募集ページ、受験案内、市議会での説明などを定期的に確認する必要があります。
今後は「理由の追加説明」と「次年度の採用計画」に注目
今回の発表について判断する際は、「採用を取り止めたことがよいか悪いか」だけを見るのでは不十分です。
自治体には、必要な職員数や行政運営の方針に合わせて採用計画を見直す必要があります。一方、受験生が事前の案内を前提に準備していた場合は、方針変更の時期や理由をできる限り具体的に説明することも重要です。
今後、確認したいのは次の点です。
- 市議会や記者会見で、募集取り止めの具体的な理由が説明されるか
- 行政事務職の採用をいつ再開する予定なのか
- 2027年度に必要な人員をどのように確保するのか
- 2026年10月採用で行政事務を何人採用するのか
- 翌年度以降に採用人数を増やす予定があるのか
- 当初の案内から方針変更までの経緯が示されるか
現時点で確定しているのは、2027年4月採用の行政事務5区分が募集されず、2026年10月採用や専門職採用は実施されるということです。
そのうえで、事前案内後の方針変更について、受験生が進路を判断できるだけの説明が今後示されるかが、重要な確認ポイントになります。
FAQ
久喜市は2027年の職員採用をすべて中止したのですか
民間企業等経験者は久喜市を受験できないのですか
土木職や保健師も募集されないのですか
久喜市はなぜ行政事務の募集を取り止めたのですか
これは採用試験の直前中止なのですか
久喜市を第一志望にしていた場合、どうすればよいですか
2028年4月採用では行政事務の募集が再開されますか
出典・作成方針
2026年7月26日時点で確認できる久喜市の公式情報を中心に作成しています。募集取り止めの具体的な背景、行政事務職の当初採用予定人数、削減される人件費、2028年以降の採用予定については、公式に確認できないため断定していません。募集状況や申込期限は変更される可能性があるため、受験時は最新の受験案内をご確認ください。



