まとめ

【悲報】東京大学「国立大学職員の出世は遅い」←これ悲しすぎるだろ……

かつては「公務員の墓場」とまで揶揄された国立大学職員。

その原因は出世の遅さと給料の低さにありました。

しかし法人化から16年経った現在、確実に状況は変わってきているようです。

この記事ではエビデンスを示しながらどのサイトよりも正確な情報をお伝えします。

国立大学職員の悲惨な実情

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平成31年国家公務員給与等実態調査の結果概要(人事院)より

国立大学の職員は、2004年に法人化されるまで、国家公務員の身分を有していました。

一口に国家公務員と言っても、総合職と一般職で大きな違いがあるのは皆さんよくご存知と思います。

また一般職の中でも、超激務・不夜城といわれる霞が関の本府省で働く人と、

比較的まったりとした出先機関(ハローワークや入管、法務局など)で働く人で待遇に差があることは想像に難くないでしょう。

つまり、こんな感じです。

本府省

──(超えられない壁)──

管区機関(農政局など)

府県単位機関(法務局など)

その他の地方支分部局

──(超えられない壁)──

施設等機関

上にいけばいくほど、権力があり、仕事がハードで、出世が早く、異動範囲が広い傾向があります。

逆に下にいけばいくほど、権力がなく、仕事がまったりで、出世が遅く、異動範囲が狭い傾向があります。

民間企業でいうところの親会社⇔子会社の関係とほぼ同じと考えてもらえればわかりやすいです。

では、本題の法人化前の国立大学職員は上記のどれだったのか?

聡明な読者の皆様ならお分かりと思いますが、施設等機関(言い換えれば文部科学省の末端子会社)です。

権力がなく、親分(文科省)のいいなりで、昇進が遅いと言われてもしょうがなかったんです。なぜなら文科省の100%子会社だから。

旧社会保険庁(現在の日本年金機構)と合わせて国Ⅱの墓場なんて揶揄された時代もあったとか、なかったとか。

こんな背景もあってか、

事務局長や部長、課長といった管理職に就けるのは文部科学省の官僚のみで、各大学に採用となったプロパー職員は管理職はおろか係長にすらなれるか怪しい

という噂が広まっていたようです。

このことについては、2006年に開設されたブログ「国立大学職員日記」様でも、次のように述べられています。

国立大学事務職員はどこまで出世できるのか?

2009年 4月20日 

 部長まで出世できるのはわずかに6%。20人に1人あたりです。旧帝大や総合大学になってくるとこのあたりに本省職員や本省勤務経験者が降りてくると思うので、国立大学にずっといた人間がここまで行くのはかなり至難の業でしょう。

 自分の大学の場合、事務局長に自分の大学の職員がなることはまずありません。大体は本省キャリアがなり、極稀に準キャリアがなるくらいだそうです。事務局長は国立大学のポストでありながら、国立大学事務職員にはあまり関係のないポストなのかもしれませんね。

引用元:国立大学事務職員はどこまで出世できるのか? – 国立大学職員日記

国立大学職員の中で、部長まで出世できるのはわずか20人に1人。

国立大学職員の人事についてかなり悲観的に述べられています。

また2009年に書かれたブログ「国立大学職員の趣味日記」様でも次のように述べられています。

国立大学法人職員の給与は国家公務員より少ない? ~目指せ国立大学事務職員シリーズ4~

2009年 11日10日

では、何故当時から他省庁等機関の給与との差がついているのでしょうか。実は、採用直後の段階では、国立大学職員と国家公務員との間では、ほとんど差がありません。

しかし、時間がたつにつれ、分かってくるのでした。国立大学職員は、かつて、昇進が異常に遅かったのです。結構年配なのに、主任だったり、係長だったり、課長補佐だったり、私の回りに沢山いました。

これは、どうしてかというと、課長以上の職、室長や次長、部長、局長などは、今まで、大学で採用になった職員(「プロパー職員」と呼びます)からは、昇進できなかったからです。プロパー職員は一番出世して、課長補佐や部局の事務長(課長相当)が最高到達点で、それ以上の役職については、文部科学省からの異動や全国異動課長(これはまたの機会に説明します)の指定席となっていたため、プロパー職員は級がなかなか上がらず、上げ幅の少ない号が年々積み重なる程度で、給与の上がり幅が少ないため、差がどんどん開いていったのです。

 

 引用元:国立大学職員の趣味日記 : 国立大学法人職員の給与は国家公務員より少ない? ~目指せ国立大学事務職員シリーズ4~

 国立大学職員は、かつて、昇進が異常に遅かったのです。

どちらも2009年の記事なので注意が必要ですが、少なくとも10年ほど前まではプロパー職員の管理職登用はかなりの狭き門だったことがうかがえます。

昇進の遅さが公式に言及されてしまうwww

国立大学法人化から約14年、果たして状況は変わったのでしょうか?

2018年4月、文部科学省が発表した「大学等における「教職協働」の先進的事例に係る調査」に表題の件が記されています。

この調査は、文部科学省の委託を受けた株式会社リベルタス・コンサルティングが「教職協働」の取組を行っている大学を調査し、

他大学へ参考として送付する事例集を作成することを目的として行われたものです。

調査結果の一つに、東京大学の「教員の研究時間劣化の改善に向けた事務職員人事制度

の再構築プラン」が紹介されています。

今回注目したいのが「2-1-4事務職員の採用・育成について」という項目です。

(1)事務職員のキャリアパス

 現在の事務職員のキャリアパスは,法人化前の国の人事慣行が残っている部分もある。例えば昇進については,旧国家II種試験で採用された国家公務員よりも遅いスピードとなっている。

引用元:「大学等における「教職協働」の先進的事例に係る調査」:文部科学省

「例えば昇進については,旧国家II種試験で採用された国家公務員よりも遅いスピードとなっている。」

ここまではっきりと言及のも珍しいですね。

文科省の100%子会社から50%子会社くらいにはなったくらいでしょうか。

議決権が握られていることに変わりはなさそうです。

東大職員の3割は東大出身

一方で、上記の調査報告には続きがあります。

例えば昇進については,旧国家II種試験で採用された国家公務員よりも遅いスピードとなっている。これを国家II種レベルの昇進スピードに引き上げることも今回の改革の目的の1つである。

 ①事務職員の複線型キャリアパスの形成これまで東京大学の事務職員のキャリアパスは,単線型のパスしか存在せず,基本的に役職に就かないと処遇が良くなることはなかった。そのため,専門的な業務に従事する事務職員にふさわしい処遇が与えられていなかった。そこで,キャリアパスについて,「事務総合職として従事するライン職」と,「事務専門業務に従事するスタッフ職」の複線型キャリアパスにすることにした。

引用元:「大学等における「教職協働」の先進的事例に係る調査」:文部科学省

東京大学において、昇進スピードを引上げ、事務職員の処遇を改善する改革が行われているようです。

新規採用者の約3割が東大出身で、優秀な職員が集まっているからこそ「昇進スピードの引き上げ」などといった大胆な改革が実行できるのかもしれません。

独自試験による採用を行ったのは,人材の多様性を確保することがねらいであった。また,独自試験を開始してから,東京大学卒の学生の応募も増えた。現在は,採用者のうち毎年3割程度が東大出身者(学部・院卒含む)となっている。

引用元:「大学等における「教職協働」の先進的事例に係る調査」:文部科学省

管理職のほとんどは文科省からの天下り?

大学マネジメント研究会が発行している会誌「大学マネジメント」2019年10月号によると、法人化後は、キャリア官僚が管理職を占めることは少なく、ノンキャリアの異動官職が要職を占めているようです。

異動官職とは、各国立大学に採用された後、20代後半で文部科学省に転籍し、40代後半から管理職として全国の国立大学を転々と異動するノンキャリア職員のことを指します。総合職を異動官職とは呼びません。

国立大学に採用された職員の中で意欲のある方や優秀な方が文部科学省に移籍し、本省で厳しい修行を積んだのちに国立大学へ戻る、というルートが多いということですね。

…(前略)…

しかし、法人化から16年目に入った今日でも、事務局長(あるいは総務、労務、財務などの管理運営の総括責任者)は文科省の役員出向によってほぼ全員が占められている。

そして彼らの大半は、いわゆるノン・キャリアと呼ばれる、国家公務員初級・中級試験合格者で、国立大学職員→文科省移籍、30代で係長→38歳で国立大学課長→40代前半で文科省課長補佐→48歳で国立大学部長→50代後半で国立大学事務局長というコースを歩んでいる。

大学マネジメント OCT 2019 Vol.15,No.7 7ページ

会誌「大学マネジメント」 | 大学マネジメント研究会

文科省 国立大「天下り」@東京新聞

2014年9月1日付けの東京新聞によると、2014年4月1日現在、各大学の課長級以上の管理職は2435人おり、その内1割弱の239人が文部科学省出身者とのことです。

法人化前の2003年は、文科省出身管理職が計668人いたとのことですので、それに比べるとかなり減少しているようです。

文科省は一般職を採用しない時期があった

国立教育政策研究所 教育政策・評価研究部長の渡辺恵子部長によると、文部科学省は1973年から1995年までの22年間、総合職(旧:国家Ⅰ種)以外の職員について、本省直接採用は行わず、その代わりに各国立大学に採用された者の中から人手を確保してきたとのことです。

職員育成のコストを各大学に転嫁し、有能な人材だけを引き抜いていたようです。

その後文科省への転任希望者が減少したことなどから本省直接採用を再開しました。

文部科学省国立大学法人等幹部職員名鑑

株式会社官庁通信社が毎年発行している文部科学省国立大学法人等幹部職員名鑑には、

文部科学省の係長級以上の職員と、各国立大学および文科省所管独立行政法人の課長級以上の職員の氏名、経歴、顔写真などが詳細に掲載されています。(国立国会図書館などで見ることができます)

平成30年度版の同名鑑によると、全国にある86の国立大学法人のうち

文科省出身者(=キャリア、国家総合職)が事務局長の大学は28大学

異動官職が事務局長の大学は58大学と、

約7割の大学で異動官職が事務局長に就いていることがわかりました。

一方で旧帝大学においては、

北海道大学・東京大学・名古屋大学・京都大学・大阪大学は文科省出身者が、

東北大学・九州大学は異動官職が事務局長に就いており、

上記の比率と逆になっていました。

旧帝大学の事務局長には文科省出身者が就くという慣行があるのかもしれませんね。

同名鑑によれば、旧帝大学の部長級の4~5割がプロパー、4割が異動官職、1割弱が文科省出身者でした。

課長級になると9割以上がプロパー、1割弱が異動官職となっていました。

今後はむしろプロパー職員のほうが出世しやすくなるのか?

法人化前から現在にかけての国立大学職員のキャリアパスの変化についてみてきましたが、今後はどう変化していくのでしょうか?

上述の「国立大学職員の人事システム」によると、

いわゆる国立大学への天下り批判についても、本研究から得られた知見からは異なる解釈ができる。

(中略)

学内登用者の増加も生じており、法人化前のように文部省が文部大臣の任命権をもとに、ある程度権力的に事務局幹部職員の人事異動を行っていた状況とは異なる状況が生まれてきていると思われる。

引用元:国立大学職員の人事システム―管理職への昇進と能力開発 渡辺恵子(2018)

また、

法人化前は、採用大学での勤務を中心にしている者は昇進してもほぼ課長級の事務長止まりで、本省転任者が最低でもほぼ保障された課長職と同等だったが、法人化後は採用大学での勤務を中心にしていても、部長まで昇進する事例が多数みられるようになり、場合によっては逆転する可能性も生じてきた。このことは本省転任へのモチベーションを下げる方向に働くであろう。

引用元:国立大学職員の人事システム―管理職への昇進と能力開発 渡辺恵子(2018)

法人化後は採用大学での勤務を中心にしていても、部長まで昇進する事例が多数みられるようになり、場合によっては逆転する可能性も生じてきた。

かつて「公務員の墓場」とまで揶揄された国立大学職員。法人化から16年経った現在、状況は確実に変わってきているようです。

出世だけが大事ではありませんが、受験生の皆さんは参考にしていただければ幸いです。

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