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【悲報】「国立大学職員は他の公務員より出世できない」という事実が東大の発表によって再度明らかになった件※続報あり

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以前から議論されてきた「国立大学の職員はどこまで出世できるのか問題」

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2004年に国立大学が法人化されるまで、国立大学は文部科学省の部局の一つでした。

そのため、大学職員は「文部科学省職員」という扱いであり、国家公務員の身分を有していました。

 

ところが、法人化によって状況は一変しました。国立大学の統合・再編が進むとともに、事務職員は国家公務員の身分を有しなくなり、各大学は運営費交付金だけに頼らない自律的な運営が促されるようになりました。

 

これによって、建前上は文部科学省の高等教育への干渉が限られるようになり、学長の権限が強められることとなったのです。

 

しかし法人化後も、「事務局長や部長、課長といった管理職に就けるのは文部科学省の官僚のみで、各大学に採用となったプロパー職員は管理職はおろか係長にすらなれるか怪しい」ということが言われてきました。

 

これは法人化以前の文部科学省の人事慣行が残っていると思われていたからです。

 

2006年に開設された「国立大学職員日記」様のブログでも、次のように述べられています。

 

 

国立大学事務職員はどこまで出世できるのか?

2009年 4月20日 

 

 部長まで出世できるのはわずかに6%。20人に1人あたりです。旧帝大や総合大学になってくるとこのあたりに本省職員や本省勤務経験者が降りてくると思うので、国立大学にずっといた人間がここまで行くのはかなり至難の業でしょう。

 自分の大学の場合、事務局長に自分の大学の職員がなることはまずありません。大体は本省キャリアがなり、極稀に準キャリアがなるくらいだそうです。事務局長は国立大学のポストでありながら、国立大学事務職員にはあまり関係のないポストなのかもしれませんね。

 

引用元:国立大学事務職員はどこまで出世できるのか? - 国立大学職員日記

 

また「国立大学職員の趣味日記」様のブログでもこのように述べられています。

 

国立大学法人職員の給与は国家公務員より少ない? ~目指せ国立大学事務職員シリーズ4~

2009年 11日10日

では、何故当時から他省庁等機関の給与との差がついているのでしょうか。実は、採用直後の段階では、国立大学職員と国家公務員との間では、ほとんど差がありません。

しかし、時間がたつにつれ、分かってくるのでした。国立大学職員は、かつて、昇進が異常に遅かったのです。結構年配なのに、主任だったり、係長だったり、課長補佐だったり、私の回りに沢山いました。

これは、どうしてかというと、課長以上の職、室長や次長、部長、局長などは、今まで、大学で採用になった職員(「プロパー職員」と呼びます)からは、昇進できなかったからです。プロパー職員は一番出世して、課長補佐や部局の事務長(課長相当)が最高到達点で、それ以上の役職については、文部科学省からの異動や全国異動課長(これはまたの機会に説明します)の指定席となっていたため、プロパー職員は級がなかなか上がらず、上げ幅の少ない号が年々積み重なる程度で、給与の上がり幅が少ないため、差がどんどん開いていったのです。

 

 引用元:国立大学職員の趣味日記 : 国立大学法人職員の給与は国家公務員より少ない? ~目指せ国立大学事務職員シリーズ4~

 

どちらも2009年の記事なので注意が必要ですが、少なくとも10年ほど前まではプロパー職員の管理職登用はかなりの狭き門だったことがうかがえます。

 

国立大学職員の昇進の遅さが(今さら)明らかになった

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国立大学法人化から約14年、果たして状況は変わったのでしょうか?

2018年4月、文部科学省が発表した「大学等における「教職協働」の先進的事例に係る調査」に詳細が記されています。

 

この調査は、文部科学省の委託を受けた株式会社リベルタス・コンサルティングが「教職協働」の取組を行っている大学を調査し、他大学へ参考として送付する事例集を作成することを目的として行われたものです。

 

調査では、東京大学の「教員の研究時間劣化の改善に向けた事務職員人事制度の再構築プラン」が紹介されています。

 

中でも目を引くのが「2-1-4事務職員の採用・育成について」という項目。

 

(1)事務職員のキャリアパス

 現在の事務職員のキャリアパスは,法人化前の国の人事慣行が残っている部分もある。例えば昇進については,旧国家II種試験で採用された国家公務員よりも遅いスピードとなっている。

 

引用元:「大学等における「教職協働」の先進的事例に係る調査」:文部科学省

 

「例えば昇進については,旧国家II種試験で採用された国家公務員よりも遅いスピードとなっている。」

 

ここまではっきりと言うのも珍しいですね。

 

国立大学法人化によってプロパー職員の処遇は改善されたとは言い難いでしょう。

 

これから処遇は改善されるのか?

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一方で、上記の調査報告には続きがあります。

例えば昇進については,旧国家II種試験で採用された国家公務員よりも遅いスピードとなっている。これを国家II種レベルの昇進スピードに引き上げることも今回の改革の目的の1つである。

 ①事務職員の複線型キャリアパスの形成これまで東京大学の事務職員のキャリアパスは,単線型のパスしか存在せず,基本的に役職に就かないと処遇が良くなることはなかった。そのため,専門的な業務に従事する事務職員にふさわしい処遇が与えられていなかった。そこで,キャリアパスについて,「事務総合職として従事するライン職」と,「事務専門業務に従事するスタッフ職」の複線型キャリアパスにすることにした。

 

引用元:「大学等における「教職協働」の先進的事例に係る調査」:文部科学省

 

少なくとも東京大学では、昇進スピードを引上げ、事務職員の処遇を改善する改革が行われているようです。東京大学が率先して改革に取り組めば、他の大学への波及効果も期待できるでしょう。

 

ただし、東京大学だからこそ成せる改革という見方もあります。というのも、東京大学では事務職員の独自採用を行っており、新規採用者の約3割が東大出身とのことです。

優秀な職員が集まっているからこそ「昇進スピードの引き上げ」などといった大胆な改革が実行できるのかもしれません。

 

独自試験による採用を行ったのは,人材の多様性を確保することがねらいであった。また,独自試験を開始してから,東京大学卒の学生の応募も増えた。現在は,採用者のうち毎年3割程度が東大出身者(学部・院卒含む)となっている。

 

引用元:「大学等における「教職協働」の先進的事例に係る調査」:文部科学省

 

年収はどう変化したか?

では、法人化によって事務職員の年収はどのように変化したのでしょうか?

主要な大学の平成16年度のデータと平成29年度のデータを比較してみました。

  平成16年度 平成29年度
北海道大学 595.2万円 556.6万円
東北大学 581.0万円 556.4万円
筑波大学 591.7万円 635.1万円
東京大学 620.5万円 677.3万円
東京医科歯科大学 652.3万円 600.1万円
東京外国語大学 604.3万円 648.3万円
東京藝術大学 658.1万円 617.9万円
東京工業大学 609.8万円 643.4万円
東京海洋大学 609.1万円*1 673.3万円
お茶の水女子大学 625.3万円 636.6万円
電気通信大学 602.6万円 641.0万円
一橋大学 676.6万円 624.0万円
名古屋大学 643.5万円 618.8万円
京都大学 614.2万円 623.2万円
大阪大学 638.3万円 621.4万円
神戸大学 586.5万円 612.1万円
九州大学 587.1万円 598.9万円

太字は平成16年度よりも年収が増加した大学を表します。

 

半数以上の大学で年収が増加しており、特に東京大学東京海洋大学筑波大学などではその上昇率が大きいことがわかります。

 

 一方、北海道大学名古屋大学、一橋大学など一部の大学は年収が減少しています。国立大学運営費交付金が減少する中で、事務職員の年収についても二極化が進んでいるようです。

 

国立大学の管理職のほとんどは文科省からの天下り?

冒頭でも述べましたが、法人化以前は、プロパー職員は係長級までしか出世できず、課長級以上は異動官職キャリア官僚が占めてたと言われています。

 

異動官職とは、各国立大学に採用された後、20代後半で文部科学省に転籍し、40代後半から管理職として全国の国立大学を転々と異動する職員のことを指します。

 

法人化以降、プロパー職員の管理職の内部登用も増えつつあるようですが、理事や部長などといった要職につくプロパー職員は未だにほとんどいないようです。

 

今後、理事出向が減る?!

2.国立大学法人との人事交流の改革

人事改革の一環として、国立大学法人との人事交流のあり方についても改革を進める。

①文部科学省からの出向について

国立大学法人への理事出向については、大学の自律性や国立大学法人と国との関係の観点から再構築を図ることとし、各学長の意向やこれまでの経緯も踏まえつつ理事出向のあり方を見直し、その一つの方策として、本年4月に交代となる大学の理事出向については半減を目指す。

…(中略)…

国立大学法人職員(課長級以上)への出向については、各学長の人事戦略や各国立大学法人が抱える課題の状況も踏まえ適切に実施しつつ、今後は、プロパー職員の登用にも配慮し、段階的に縮小する。

文部科学省人事の改革案について:文部科学省

柴山文部科学相は、2019年2月15日の閣議後の記者会見で、国立大学へ理事として出向する文部科学省幹部の数を減らすと発表しました。

 

以下毎日新聞より引用させていただきます。

 柴山昌彦文部科学相は15日の閣議後記者会見で、今年4月に国立大学法人へ理事として出向する文科省幹部を半減させる方針を明らかにした。文科省は運営費交付金を出すなど、大学に対して大きな権限を持つ。17年には文科省幹部の組織的な天下りのあっせんが問題化しており、柴山文科相は「(幹部の出向は)透明性に疑義を持たれかねないというデメリットがある」などと述べた。

 文科省によると、現時点で全国の86国立大に76人が理事として出向中4月に定年退職などで交代する見通しの20~30大学の理事の後任を置かない形で削減する。幹部以外に国立大法人の課長級以上として出向している職員についても、段階的に減らすという。

 文科省の組織的な天下りを巡っては17年3月、国立大などに計62件(10~16年)のあっせんがあったとの最終報告書がまとめられている。【水戸健一】

文科省幹部の国立大理事としての出向を半減へ 天下りあっせんが問題化(毎日新聞) - Yahoo!ニュース

 

今回の改革案で、大学職員のキャリアパスも大きく変化していくことが予想されます。ゆくゆくはプロパー職員が理事になることもあり得るでしょう。

 

国立大学法人のラスパイレス指数について

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最後に、「国立大学職員の趣味日記」様で紹介されているラスパイレス指数がどのように変化したのかを振り返って終わりにしようと思います。

 

ラスパイレス指数とは、国家公務員の全国平均を100として、国立大学職員の給与水準を相対的に数値で表したものです。数値が100を下回れば、国家公務員よりも少ない給与ということになります。

 

(平成20年度→平成29年度 東京都内の大学のラスパイレス指数)
 東京海洋大学     89.5→97.3
 電気通信大学     91.7→93.6
 東京農工大学     92.5→93.3
 東京芸術大学     93.0→92.2
 東京外国語大学    93.1→94.0
 東京学芸大学     93.2→91.4
 東京工業大学     93.3→94.0
 東京大学        94.5 →96.7
 お茶の水女子大学   94.8→94.3
 一橋大学        95.1→95.0
 東京医科歯科大学  96.6→95.9
国立大学法人等平均 86.7→87.6

赤字:ラスパイレス指数が増加した大学、青字:ラスパイレス指数が減少した大学

 

半分以上の大学でラスパイレス指数が増加しており、国立大学法人全体のラスパイレスもやや増加しているようです。

 

都道府県庁の一般行政職の平均年収:601.2万円(平均年齢:43.3歳)
東京都特別区の一般行政職の平均年収:640.6万円(平均年齢:41.6歳)
日本全国にある1741市区町村の一般行政職の平均年収:555.1万円(平均年齢:41.6歳)
独立行政法人の事務系職員の平均年収:697.3万円(平均年齢:42.5歳)
国立大学法人の事務系職員の平均年収:580.0万円(平均年齢:42.9歳)

 

*1:平成16年度のデータが見つからなかったため平成19年度のデータ