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今回は公務員の休暇制度についてまとめてみました。
公務員といえば民間企業と比べてワークライフバランスが充実している印象がありますが、年次休暇や特別休暇はどのような運用がなされているのでしょうか?
年次有給休暇について
国家公務員や多くの地方公務員、独立行政法人職員、国立大学法人職員は、1月1日に20日の年次休暇が付与されます。
その年に余った年休は、20日までを限度に翌年に繰り越すことができます。
たとえば2019年1月1日に20日付与され、1日も使わず2019年12月31日を迎えた場合、2020年は合計40日の年次有給休暇を使用することができます。
2020年も1日も休まなかった場合は、繰越限度が20日のため、2021年は合計40日の年次有給休暇を取得できます。
使わなかった20日分は消失してしまいます!
年休の付与日数は採用月によって異なります。
採用月 | 付与日数 |
1月 | 20日 |
2月 | 18日 |
3月 | 17日 |
4月 | 15日 |
5月 | 13日 |
6月 | 12日 |
7月 | 10日 |
8月 | 8日 |
9月 | 7日 |
10月 | 5日 |
11月 | 3日 |
12月 | 2日 |
上表のとおり、大学を卒業後新卒で公務員になった場合、4月1日に15日付与され、9か月後の1月1日に20日付与されます。
ちなみに年次有給休暇を取得する際に理由は不要です。
時間単位で取得することもできますが、分はすべて切り上げられます。
たとえ1分だけ年次休暇を申請したくても、1時間分としてしか申請できません。
朝寝坊して、8:00~8:05の5分だけ年次休暇を申請するよりも、8:00~9:00の1時間分申請した方がお得です。
申請方法について
国家公務員の場合は、紙の「休暇簿」を使用して申請します。
休暇簿には休暇を取得する日と本人の確認印を押印し、上長に提出します。
地方公務員や独立行政法人職員、国立大学法人職員については、各自治体・機関によってやり方が異なります。勤怠管理システムを使用している自治体・機関もあれば、紙の休暇簿を使用してる自治体・機関もあります。
年次有給休暇の平均取得日数について
人事院によると、平成30年の国家公務員の年次有給休暇平均使用日数は、全体平均で14.8日で、前回調査(平成29年)と比べると0.4日増加しているそうです。
年次有給休暇の5日の取得義務について
働き方改革関連法案の成立により労働基準法が改正され、2019年4月から、使用者は労働者(年間10日以上の年次有給休暇を付与されている者に限る。)に年間5日以上の年次有給休暇を取得させることが義務付けられましたが、国家公務員や地方公務員については適用除外となっています。
ただし、「計画表の活用による年次休暇及び夏季休暇の使用の促進について」(平成30年12月7日職職―252)(人事院事務総局職員福祉局長発)において、「一の年の年次休暇の日数(前年からの繰越し日数は含まない。)が10日以上である職員の計画表の作成及び変更に当たっては、当該年に5日以上の年次休暇を使用することができるよう配慮すること」と示されており、年次休暇の取得促進に努めることとされています。
一方で、一部の独立行政法人職員と国立大学法人職員は労働基準法が適用されるため、年次休暇を5日以上取得する義務があります。もし年に5日取得できなかった場合は使用者に罰則が与えられる可能性があります。
ちなみにこの一の年とは、1月1日から12月31日までを指します。
特別休暇について
要件を満たした場合は特別休暇を取得することができます。特別休暇にはいくつかの種類があります。以下では代表的な特別休暇を挙げます。
夏季休暇
夏季における心身の健康の維持・増進等を目的として、7月から9月までの連続する3日間に休暇を取得することができます。原則として分割することはできません。
結婚休暇
結婚する場合は、結婚の日の5日前の日から結婚の日後1か月までの連続する5日に休暇を取得することができます。
「結婚の日」とは、社会的に結婚したと認められる日であり、「婚姻届の日」、「結婚式の日」等が該当します。「結婚の日」とできる日が複数ある場合、どの日を「結婚の日」とするかは、本人が決められます。
出勤困難
災害・交通機関の事故等により出勤が困難な場合は、必要な時間について休暇を取得することができます。
例えば人身事故で電車が1時間遅延した場合は、1時間分の出勤困難の特別休暇を取得できます。
申請する際は遅延証明書等の提出が必要となります。
病気休暇について
負傷又は疾病があり、その療養のために勤務しないことがやむを得ない場合は、最大90日まで病気休暇を取得することができます。
90日を超えた分については休職となります。
病気休暇を取得する際は診断書の提出が必要となります。
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