目次
国家公務員の給与は、民間の水準と均衡を図りつつ、全国一律の俸給表とこれを補完する諸手当から成る給与体系が法定されており、適正な水準を確保するように設計されています。
本府省業務調整手当は、霞が関に勤務する国家公務員に支給される特別な手当です。この記事では、本府省業務調整手当の概要について解説します。
- 本府省業務調整手当の概要
- 手当がが創設された背景や目的
- 支給対象となる職員や金額の詳細
本府省業務調整手当の背景
本府省業務調整手当とは、一般職の職員の給与に関する法律第十条の三の規定に基づき、本府省(霞が関)に勤務する国家公務員に支給される手当です。
本府省業務調整手当が導入された背景には、国家公務員の業務がますます複雑化・高度化し、特に霞が関で働く職員にとっては、長時間かつ不規則な勤務が常態化していることが挙げられます。
国会対応や予算編成、法案作成など、非常に重要で難易度の高い業務を担当する国家公務員は、他の公務員と比べても厳しい労働環境に置かれています。
こうした状況を受けて、本府省では課長補佐以下の職員に対して特別な手当を支給し、優秀な人材を確保し、彼らのモチベーションを維持するための対策が求められました。この手当は、職員の人材確保が難しいという課題に対処するためにも重要な役割を果たしています。
特別調整額と本府省業務調整手当の関係
本府省の課長補佐に対しては、1992年(平成4年)に特別調整額が設けられました。この特別調整額は、複雑で高度化する本府省業務に対応するため、長時間かつ不規則な勤務が強いられる職員の特殊な状況を考慮したもので、課長補佐に対して俸給の8%が支給されてきました。
その後、この特別調整額の枠組みを係長や係員にも拡大する形で導入されたのが本府省業務調整手当です。これにより、同様に困難な業務を担う若手の職員にも手当が支給され、本府省全体での人材確保と業務遂行能力の強化が図られています。
本府省業務調整手当の具体的な支給額
本府省業務調整手当の額は、課長補佐級で俸給の約9%、係長級で約6%、係員級で約4%が目安とされています。
具体的な金額は、人事院規則9-123によって定められており、行政職俸給表(一)に該当する職員の場合、その職務の級に応じて7,200円から41,800円の範囲で支給されます。
ただし、管理監督職員にはこの手当は支給されません。
行政職(一)俸給表 | 月額 |
1級 | 7,200円 |
2級 | 8,800円 |
3級 | 17,500円 |
4級 | 22,100円 |
5級 | 37,400円 |
6級 | 39,200円 |
7級以上 | 41,800円 |
まとめ
本府省業務調整手当は、国家公務員が担う複雑で高度な業務に対応するために創設された手当です。
手当の支給額は職務の級に基づき決定され、長時間勤務や不規則な勤務に対する適切な補償が行われています。これにより、職員の労働環境の改善と人材の定着が図られています。