公務員の不祥事・炎上

財務省総括審議官が電車内で乗客への暴行容疑で逮捕(2022)

財務省の現役の幹部職員が、走行中の電車内で乗客を殴ったなどとして現行犯逮捕された事件。

経過

2022年5月20日未明

走行中の電車内で乗客を殴ったとして、警視庁玉川署は財務省総括審議官のA(56)を暴行容疑で現行犯逮捕した。

Aは帰宅途中、東急田園都市線の深夜の車内でかなり酒に酔った状態だった。

ある乗客から「体がぶつかった」と注意され、その直後に殴る蹴るの暴行を加えた。

暴行を受けた乗客にけがはなかった。調べに対し「覚えていない」と供述した。

財務省は同日、Aを大臣官房付に異動させる人事を発令した。

2022年5月21日午後

Aが留置先から釈放された。

2022年5月24日

鈴木俊一財務大臣は、閣議後記者会見で、「組織として規範となるべき幹部職員が逮捕されたのは遺憾で残念。世間をお騒がせし、おわびさせていただきたい」と述べた。

2022年10月25日

東京区検察庁は、Aを傷害罪で略式起訴したと発表した。

財務省は同日、Aを減給10分の1(9か月)の懲戒処分にした。

Aは処分に対し、「このたびは私の軽率な行為により被害者の方に傷害を負わせてしまい、心よりおわび申し上げます」などと話したという。

2022年10月28日

東京簡易裁判所は、Aに罰金10万円の略式命令を出した。

2022年11月18日

財務省は、Aを財務総合政策研究所の副所長に宛てる人事を発令した。

財務総合研究所は財務省のシンクタンクで、財政経済に関する調査・研究のほか、法人企業統計などの統計調査を行っている。

次官コースの財務省幹部

総括審議官は大臣官房に置かれた局長級ポストで、他省庁との政策調整を担う要職だ。過去の事務次官経験者の多くが総括審議官を経験しており、いわゆる「次官コース」との見方も多かった。

産経新聞によれば、Aは税制改正などでの手堅い仕事ぶりに定評があり、毎年度の税制改正を決める自民党税制調査会の大物議員に対しても物おじしない人柄で知られていたという。

またデイリー新潮の担当記者は、「6月に官房長、来年には主計局長就任が確実視され、次官をほぼ掌中に収めていると言われていただけに、省内もショックに包まれました」と語った。

Aは酒に強いタイプで、酔って乱れたところを見たことがないとの評もあっただけに、省内で一連の愚行は驚きを持って受け止められたという。