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共済組合とは?

公務員が加入する「共済組合」は、公務員同士の相互扶助を目的とした公的な健康保険・年金制度です。
国内の公務員共済組合は国家と地方で別れ、国家公務員共済組合連合会(KKR)には国会議員や各省庁職員が、地方公務員共済組合には都道府県・市町村職員や公立学校教職員が加入します。
国や地方自治体が運営する制度であり、労働組合や営利目的の保険とは全く異なります。
共済組合の掛金は扶養家族が無料で加入できるなど優遇され、掛金率も一般的な健康保険に比べて割安になることが多いと言われています。
また、共済組合では出産費や傷病手当金などの各種給付が充実しており、たとえば公務員の出産費は約53万円(出産費50万円+付加金)とされているなど、手厚い制度内容となっています。
共済組合は必ず加入しなければならないの?
公務員として採用されると、共済組合への加入は法律で義務付けられています。
国家公務員の場合は採用と同時に無条件に組合員となって掛金を納めることとなり、地方公務員でも常勤職員は強制加入です。
つまり、要件を満たしている限り「共済組合に加入しない」という選択肢はなく、加入を拒否することはできません。
ただし、新規採用者の場合は組合員登録を勤務先(人事担当)が代行するため、本人が加入手続きを意識する必要はありません。
不安に感じる必要はなく、「公務員になる=自動的に共済組合へ加入する」と理解してください。
共済組合と労働組合・JA共済・こくみん共済・教職員共済との違い

共済組合は公的医療保険であり、労働組合、JA共済、こくみん共済、教職員共済などとはまったく別物です。
共済組合と労働組合の違い
労働組合(職員組合)は賃金や勤務条件の改善を目指す任意団体で、交渉やストライキが主な手段です。加入は自由で、活動費は組合費として徴収されます。
一方、共済組合は公務員の健康保険・年金を担う公的保険制度で、法律により常勤職員は強制加入となります。
掛金は給与から天引きされ、医療費補助や出産手当、退職後の年金給付など生活保障が中心です。
つまり「労働条件を守るのが労働組合」「医療と年金を支えるのが共済組合」という違いを理解しましょう。
共済組合とJA共済・こくみん共済の違い
JA共済やこくみん共済(全労済)は、全国共済農業協同組合連合会・全国労働者共済生活協同組合連合会が運営する任意加入の共済保険で、自動車・医療・火災など必要な保障を商品ごとに選択します。
一方、公務員の共済組合は法律で強制加入となる健康保険・年金制度で、掛金は給与天引き、扶養家族も自動カバー。
つまり「民間の保険商品=JA共済・全労済」「公的社会保険=共済組合」という構図を押さえれば、加入義務・保障範囲・給付内容の違いが一目瞭然です。
共済組合と教職員共済の違い
「共済」と名がついても、教職員向けの教職員共済とは別物です。
教職員共済は、教職員共済生活協同組合が運営する任意加入の共済保険で、自動車共済や任意の医療共済など保険商品を扱っています。加入は任意であり、加入・脱退とも個人の自由です。
つまり、「教職員共済は任意加入型の保険商品」、「共済組合は強制加入の社会保険制度」と覚えておけば混同しません。
共済組合に加入するメリット

共済組合は加入が強制ですが、多くのメリットがあります。
保険料が安い
扶養家族は追加保険料が不要で、掛金率も一般的な健康保険に比べて割安(約1割安い場合も)。
例えば子どもや配偶者を扶養している場合でも、家族全員が無料でカバーされ、世帯全体の負担が軽減されます。
手厚い給付内容
出産一時金・傷病手当金・育児・介護休業手当金などが受けられ、医療費が高額になった場合の付加給付も充実しています。
これらにより、万一の病気・ケガや出産時の経済負担が軽減されます。
福利厚生制度
共済組合専用の医療施設、保養所、住宅貸付、給付事業など、独自の福利事業が利用できます。
例えばKKRホテルズ&リゾーツといった宿泊施設を会員価格で利用できたり、低金利で住宅購入の資金援助が受けられたりします。
退職後の対応
退職後も条件を満たせば共済組合の任意継続が可能で、年金給付の計算上も共済加入期間が反映されます(旧共済年金は厚生年金に統一)。
退職前に積み上げた共済期間は、将来受け取る年金額にもつながります。
共済組合に加入するデメリット

デメリットとして大きなものはほとんどありませんが、しいて挙げるなら加入を拒否できない点です。
共済組合は社会保険の一環として制度化されているため、個人の意思で「入らない」と選ぶことはできません。
しかしこの制度には公務員向けの利点が多く、加入自体が不利益になることはほとんどありません。
なお、インターネット上には「公務員で組合に加入するのはやめとけ」「組合には入らないほうがいい」といった情報がありますが、これは共済組合ではなく職員団体(労働組合)への加入に関する話題です。
共済組合の加入義務は法律で決められたものであり、そのような誤解に惑わされる必要はありません。
詳しい制度内容や最新情報は、各共済組合の公式サイトで確認できます。
公務員共済組合連合会(KKR)や地方共済組合のサイトには、新規加入者向けの案内も掲載されていますので、安心して参考にしてください。
民間企業から転職した場合の違い

会社員から公務員に転職する場合、健康保険と年金の加入先が切り替わるだけです。
これまで会社で協会けんぽや健康保険組合に入っていた人は、公務員になると雇用開始日から新たに共済組合の組合員資格が自動取得します。
掛金率は下がる場合が多く、保険料負担が軽くなるケースもあります。
厚生年金については変更なく従来どおり「第2号被保険者」として加入し続け、年金記録も引き継がれます。
つまり、実務上は健康保険証の名称と掛金率が変わるのみで、それ以外の手続きや給付内容に大きな違いはありません。
まとめ

公務員の共済組合加入は法律で定められた義務であり、「入らない」という選択肢は基本的に存在しません。
一方、共済組合は安い掛金と充実した給付で知られており、将来の年金給付にも関わる重要な制度です。
教職員共済などと混同せず、公務員として安心して制度のメリットを享受しましょう。