公務員の給料・福利厚生

2025年の人事院勧告はいつ?内容を徹底予想&公務員への影響をわかりやすく解説

人事院勧告は、国家公務員の給与や勤務条件を国会や内閣に対して提案する年1回の制度です。国家公務員は労働基本権に制約があるため、人事院が民間水準とのバランスを保つ役割を担っています。

特に令和7年(2025年)の人事院勧告では、2025年3月にまとめられた人事行政諮問会議の最終提言が強く影響すると見られています。人事管理の抜本的改革を掲げた同提言は、給与・評価・勤務制度の大幅見直しを求める内容であり、若手職員をはじめとする広い層に影響を与える可能性があります。

本記事では、令和7年人事院勧告の発表時期の見通しに加え、反映が見込まれる提言内容や改革の方向性をわかりやすく整理します。

今勧告でも同様に、国家公務員の処遇改善を目的として給与や手当、働き方制度の見直し案が示される見込みです。

令和7年人事院勧告の発表時期(過去の傾向・予想)

人事院勧告の発表時期は例年8月上旬です。

直近では令和4年(2022年)8月8日(月)、令和5年(2023年)8月7日(月)、令和6年(2024年)8月8日(木)に勧告が発表されています。

したがって令和7年(2025年)勧告も、過去の傾向から例年どおり8月上旬ごろの発表になると予想されます。※あくまで傾向に基づく見通しです。

出典:人事院>人事院勧告

勧告に含まれる可能性が高い項目

2025年3月に人事行政諮問会議がまとめた最終提言では、「公務が危機に瀕している」として、若手職員の離職増や人材確保難を踏まえた人事管理の構造的な見直しが求められました。

提言のポイントは以下のとおりです。

  • 給与は職務や能力に応じた「職務基準型」に
  • 人事評価を登用・給与に連動させ、納得性を高める
  • 時間や場所に縛られない柔軟な勤務制度の整備
  • 採用試験の見直しと広報強化による人材確保

これらは人事院勧告の対象である給与・手当・勤務条件にも深く関係しており、勧告内容に反映される可能性が高いと見られています。

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また人事院は国家公務員と民間従業員の4月給与を比較し、その差を埋めるよう月例給の改定を勧告します。

令和6年(2024年)勧告では、月例給を平均11,183円(2.76%)引き上げ、一時金(ボーナス)を0.10月分増額する案が示されました。

令和7年勧告でも、物価高騰や賃金上昇を受けて追加の月給引上げやボーナス増加案が検討される可能性があります。

出典:人事院>人事院勧告

令和6年(2024年)勧告との比較

令和6年勧告では、約30年ぶりの大幅引上げとなる月例給の改定と、若年層への重点配慮が注目されました。

給与制度の抜本改革(いわゆる「給与制度のアップデート」)として、新規採用者の初任給大幅引上げや、地域・職責に応じた俸給表の改編、扶養手当の構造改革など多岐にわたる提言が盛り込まれました。

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令和7年勧告では、これら前回の改革措置の実施状況を踏まえつつ、物価上昇や経済動向を勘案した追加措置が求められることになるでしょう。

たとえば前回の扶養手当見直しの効果や地域手当の広域化の動向を見つつ、さらなる調整や新たな提案が検討される可能性があります。

なお、勧告はあくまで人事院の提言であり、最終的な給与改定は政府・各自治体の判断で行われます。

出典:人事院>人事院勧告

国家公務員と地方公務員への影響の違い

人事院勧告は国家公務員(一般職)を対象としていますが、地方公務員にも間接的な影響があります。

地方公務員は地方公務員法に基づき各地の人事委員会が給与改定を決定しますが、勧告を参考にする自治体が多いのが実情です。

例えば京都市人事委員会(令和6年)では「本年の人事院勧告等を勘案し」て給与改定案をまとめ、「月例給、ボーナスともに引上げ」と報告しています。

このように多くの自治体では人事院勧告の内容を踏まえ、自主的に独自の勧告を策定します。

したがって国家公務員の給与が改定されると、多くの地方公務員給与にも同様の改定が波及する傾向があります。

就職活動中の学生にとっても、国家公務員志望だけでなく地方公務員志望の場合も、勧告による給与動向は今後の初任給や待遇に影響を与えるため注目点となります。

出典:京都市情報館>職員の給与に関する報告及び勧告>令和6年 職員の給与等に関する報告及び勧告

今後のスケジュール(勧告後の対応・制度改正時期)

勧告発表後は政府が対応を協議し、給与改定法案を国会へ提出します。

過去の例では、令和6年(2024年)の勧告発表(8月8日)の後、同年8月8日と11月29日に給与関係閣僚会議が開かれ、閣議で「人事院勧告どおりの給与改定」を行うと決定されました。

同時に給与法改正案が閣議決定され、国会審議を経て令和6年12月に成立・公布。ベースアップのあった俸給月額については令和6年(2024年)4月1日に遡って適用されています。

令和7年勧告後も同様に、内閣・国会での審議を経て法律改正が行われ、2025年4月1日に遡ってベースアップの給与改定が実施されるかもしれません。

地方公務員の場合も各自治体の人事委員会が秋までに改定案をまとめ、概ね同時期から改定が適用されます。

今後、人事院勧告を受けて、政府と労働団体・自治体の間で本格的な協議や制度調整が行われる予定です。

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出典:内閣官房>給与関係閣僚会議

まとめ

令和7年人事院勧告では、例年通り給与・手当・勤務制度の見直しが行われる見込みです。特に、2025年3月にまとめられた人事行政諮問会議の最終提言がどこまで反映されるかが注目点です。

公務員制度の抜本改革が進む中で、国家公務員だけでなく、地方公務員や就職活動中の学生にとっても重要な転換点となる可能性があります。

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