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国家公務員として働く中で、多くの職員が目指す「級の昇格」。特に5級から6級への昇格は、気になる方が多いのではないでしょうか。
この記事では、昇格時にどのように号俸(基本給)が変動するのか、その仕組みや注意点を具体的に解説します。
職務の級と号俸の違いとは?
国家公務員の月々の基本給は、「俸給表」という一覧表によって定められています。
この俸給表は、いわば国家公務員の給与の設計図です。そして、その設計図には、給与額を決めるために重要な2つの柱があります。それが、「職務の級」と「号俸」です。
まず、「職務の級」は、職員が担当する職務の複雑さ、困難さ、責任の度合いに応じて定められる区分です。
イメージとしては、役職や職責のレベルに近いもので、例えば同じ俸給表でも、係員→係長→課長や看護師→看護師長→看護部長、助教→准教授→教授などといった職務の段階に対応しています。昇進すると、通常はこの「職務の級」が上がります。
では、「号俸」とは何でしょうか? 号俸は、同じ「職務の級」の中でも、さらに細分化された区分です。
俸給表を見ると、「級」ごとに縦に番号が並んでいます。この番号が「号俸」です。
同じ級の中でも、号俸が一つ上がるごとに俸給(基本給)の月額が増える仕組みになっています。
かつては勤続年数が長くなるにつれて自動的に号俸が上がる、いわゆる「年功序列」の要素が強かったですが、近年は勤務成績も号俸の上昇(昇給)に影響を与えるようになっています。
例えば、一定の年齢(55歳)を超えると、標準的な勤務成績では昇給が停止する制度もあります。
また、令和6年度の改定では、管理職について、昇進(昇格)による給与上昇を基本としつつも、成績優秀者は昇給(号俸上昇)でも大きな給与上昇が得られる制度が導入されました。
つまり、号俸とは、
- 同じ職務の級の中での給与段階を示す区分です。
- 勤務年数や勤務成績によって上昇(昇給)していきます。
- 号俸が上がると、基本給(俸給月額)が増加します。
「職務の級」が担当する仕事のレベルや責任の重さを表すのに対し、「号俸」は同じレベルの仕事をする中で、どれだけ経験を積み、あるいは貢献しているか(成績)を反映して給与を調整する仕組みと言えるでしょう。
5級→6級 昇格時の号俸対応表の見方
昇格時には、人事院が示す「昇格時号俸対応表」に基づき、前級の号俸に対応する号俸が新たに割り当てられます。
一例として以下のような対応になります。
| 5級(昇格前) | 6級(昇格後) |
|---|---|
| 5級4号俸 | 6級1号俸 |
| 5級11号俸 | 6級1号俸 |
| 5級18号俸 | 6級6号俸 |
このように、号俸は減っているように見える場合でも、級が上がることで基本給は原則として維持または増加するように設計されています。
見かけの号俸の数字が小さくなっても減給ではありません。
級ごとに給与テーブルが異なり、上位級の同号俸は下位級の高い号俸と同等以上の水準になるよう調整されています。
これは、昇格により職責が重くなる分、報酬水準も上がるという制度設計によるものです。
出典:人事院規則九―八
5級→6級 昇格時の号俸対応表
以下に、専門行政職俸給表 適用の国家公務員が 5級 から 6級 に昇格した際の、対応する号俸の一覧表を掲載します。
下記の表は人事院の昇格時号俸対応表に基づいており、該当する 6級 の欄を確認することで、昇格後に適用される号俸が一目で分かります。
| 昇格前 | 昇格後 |
|---|---|
| 5級1号俸 420,700円 |
6級1号俸 471,900円 (+51,200円) |
| 5級2号俸 422,600円 |
6級1号俸 471,900円 (+49,300円) |
| 5級3号俸 424,500円 |
6級1号俸 471,900円 (+47,400円) |
| 5級4号俸 426,300円 |
6級1号俸 471,900円 (+45,600円) |
| 5級5号俸 428,100円 |
6級1号俸 471,900円 (+43,800円) |
| 5級6号俸 429,900円 |
6級1号俸 471,900円 (+42,000円) |
| 5級7号俸 431,700円 |
6級1号俸 471,900円 (+40,200円) |
| 5級8号俸 433,500円 |
6級1号俸 471,900円 (+38,400円) |
| 5級9号俸 435,100円 |
6級1号俸 471,900円 (+36,800円) |
| 5級10号俸 436,600円 |
6級1号俸 471,900円 (+35,300円) |
| 5級11号俸 438,100円 |
6級1号俸 471,900円 (+33,800円) |
| 5級12号俸 439,600円 |
6級1号俸 471,900円 (+32,300円) |
| 5級13号俸 441,100円 |
6級1号俸 471,900円 (+30,800円) |
| 5級14号俸 442,400円 |
6級2号俸 477,200円 (+34,800円) |
| 5級15号俸 443,700円 |
6級3号俸 482,100円 (+38,400円) |
| 5級16号俸 444,900円 |
6級4号俸 486,700円 (+41,800円) |
| 5級17号俸 446,100円 |
6級5号俸 490,700円 (+44,600円) |
| 5級18号俸 447,400円 |
6級6号俸 494,100円 (+46,700円) |
| 5級19号俸 448,700円 |
6級7号俸 497,000円 (+48,300円) |
| 5級20号俸 449,900円 |
6級8号俸 499,500円 (+49,600円) |
| 5級21号俸 451,100円 |
6級9号俸 501,500円 (+50,400円) |
昇格メリットは一律じゃない?
国家公務員が昇格する際には、級が替わるため、号俸の数字が下がることがあっても基本給は原則として増加します。
これが「昇格メリット」であり、その増加額は一律ではなく、号俸の位置によって差がある点に注意が必要です。
5級21号俸(451,100円)から6級9号俸(501,500円)への昇格では、差額は+50,400円。
上位号俸帯で差額がやや大きくなる傾向も見られます。 つまり「昇格=大幅昇給」とは限らず、昇格メリットは号俸の位置により変動するという点を理解しておくことが重要です。
【FAQ】国家公務員の昇格と号俸に関するよくある質問
Q1. 国家公務員が5級→6級に昇格すると、号俸は下がるのですか?
A. 見かけ上、号俸の数字が小さくなることがありますが、6級のほうが給与表の水準が高いため、基本給が下がることはありません。制度上、同等以上の給与水準が確保されるよう設計されています。
Q2. 昇格時の号俸はどうやって決まるのですか?
A. 人事院が定める「昇格時号俸対応表」に基づいて、昇格前の号俸に応じた号俸が新しい級で割り当てられます。これにより、公平で一貫した処遇が確保されます。
Q3. 号俸が下がるのは不利益変更にならないのですか?
A. 号俸の「数字」が下がるだけで、支給される基本給は昇格前と同等かそれ以上です。そのため、法律上の不利益変更には該当しません。むしろ、級が上がることで将来的な昇給や昇任の余地が広がります。
Q4. 昇格の判断は誰が、どのように行っているのですか?
A. 各府省庁が、職員の勤務成績、職務経験などを総合的に判断し、人事院規則に基づいて昇格を決定します。近年は業績評価制度も導入されており、能力や実績が重視されつつあります。
