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2020年10月7日、人事院は人事院勧告の第一弾を発表し、民間企業のボーナスの支給状況について調査を行った結果、国家公務員の水準が民間の水準を上回っていたことから、ボーナス(期末・勤勉手当)を0.05か月分引き下げるよう国会と内閣に勧告しました。
勧告は例年8月に実施してきましたが、今年は新型コロナウイルスの影響で調査が遅れ、10月の発表となりました。
例年、勧告どおりの給与の改定が行われているため、ボーナスカットが実質的に決まった格好となります。
人事院が6月から実施した民間給与調査で、民間企業のボーナス支給額が4.46か月と、2019年度の国家公務員のボーナス4.5か月を0.4か月下回りました。
今回のボーナスの下げ幅は0.05か月(月給の100分の5)で、平均すると約2.1万円の年収ダウンとなります。
これにより年間のボーナス支給月数は4.45か月(月給の4.45倍)となり、2018年度と同水準になります。
ちなみにこのボーナスの引き下げは2020年12月のボーナスから適用されます。
過去のボーナス支給状況
2020年 | 4.45か月 ※今回の人事院勧告 |
---|---|
2019年 | 4.5か月 |
2018年 | 4.45か月 |
2017年 | 4.4か月 |
2016年 | 4.3か月 |
2015年 | 4.2か月 |
2014年 | 4.1か月 |
2013年 | 3.95か月 |
2014年 | 3.95か月 |
2013年 | 3.95か月 |
2012年 | 3.95か月 |
月例給はどうなるのか?
今回の発表では月例給に関する勧告はなく、今月中にも第二弾の勧告を実施する見通しとのことです。
なお、これまでボーナスと月例給の勧告を分けた前例はありません。
人事院は2020年人事院勧告の第二弾を10月29日に発表し、月例給(月給)を据え置きするよう国会と内閣に勧告しましたので追記します。
都道府県庁や政令市はどうなる?
都道府県庁や政令市などの地方自治体については人事院勧告が直接適用されませんが、重要な参考資料としつつ各自治体の人事委員会が必要な勧告を出すことになっています。この人事委員会の勧告のことを「人事委員会勧告」と呼んだりもします。
今年は43都道府県と全政令市でボーナスの引き下げを求める人事委員会勧告が出されました。
国の人事院勧告と同様に、新型コロナウイルスにより民間の支給水準が下がったことを踏まえたとみられます。
各自治体の下げ幅は以下のとおりで、41道府県と19政令市で0.05か月、東京都・奈良県・浜松市で0.1か月の引き下げを求めました。岩手県、高知県、宮崎県、沖縄県の4県は民間との格差が小さいとのことで引き下げを見送りました。
自治体 | 改定幅 |
東京都、奈良県、浜松市 | -0.1か月 |
岩手県、高知県、宮崎県、沖縄県 | 据え置き |
上記以外の41道府県と19政令市 | -0.05か月 |
人事院勧告とは?
公務には利潤の追求という企業目的が存在せず、給与が肥大化する恐れがあることから、経済・雇用情勢等を反映して労使交渉等によって決定される民間の給与水準に準拠して、公務員の給与水準を定めることが最も合理的であると考えられます。
多くの地方公務員や一部の民間企業についても、人事院勧告に倣って給与の改定が行われます。
日本経済新聞「公務員ボーナス10年ぶり下げ 0.05カ月分、人事院勧告」(2020年10月7日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64710720X01C20A0EAF000/