公務員の給料・福利厚生

土曜日と祝日が重なる場合、なぜ振替休日がないのかを徹底解説

日曜日と祝日が重なった場合、月曜日が振替休日として休みになりますが、一方で、土曜日と祝日が重なった場合は、振替休日がありません。

土曜日と祝日が重なってしまうと、休日が1日減ったような気がして、なんだか勿体ない感じがします。

そこで、なぜこのような仕組みになっているのか、その背景や理由を調べてみました。

土曜日と祝日が重なると損?

そもそも、祝日が休日となるのは、国民の祝日に関する法律(祝日法)が大きな根拠です。

同法第3条第1項において、「「国民の祝日は」は、休日とする。」とあり、さらに第2項では「「国民の祝日」が日曜日に当たるときは、その日後においてその日に最も近い「国民の祝日」でない日を休日とする。」と定められています。

そして、祝日法により休日とされた日については、各法令により、国家公務員や地方公務員が仕事を休める日とされています。

ちなみに、民間企業の社員が、法律で休日とされた日に仕事を休めるかどうかは、その企業によって異なります。労働基準法では、最低週1日は休日とするように定められているものの、何曜日が休日とは決まっていません。

しかしながら、公務員と同じように土日祝日が休みの会社は、多く存在しますので、土曜日と祝日が重なった時に「損した」と感じる方も、きっと多いのではないでしょうか。

土曜祝日の振替休日がない理由は?

もし条文が、「土曜日及び日曜日に当たるときは、」というふうになっていれば、土曜日と祝日が重なった場合も振替休日がありました。いったいなぜ日曜日だけが振替休日になっているのでしょうか?

それは、祝日法が制定された時期と週休二日制が定着した時期が関係します。

祝日法は、昭和23年7月、第2回国会において制定された法律です。そして昭和48年に祝日法が改正され、国民の祝日が日曜日に当たるときは、その日後においてその日に最も近い国民の祝日でない日を休日とする、と定められました。

これにより、祝日と日曜日が重なった場合は、いわゆる振替休日が主に月曜日に設定されることとなりました。

週休二日制は、平成3年12月の閣議において、国家公務員の完全週休二日制について、平成4年のできるだけ早い時期の実施が決定されたことがきっかけとなります。これにより、国家公務員の完全週休二日制が平成4年5月1日から実施され、全国の民間企業にも広まっていきました。

ちなみに、平成3年の就労条件総合調査によると、当時、完全週休二日制が導入されていた企業は33.6%だったそうです。

つまり、祝日法が制定された当初は週休一日制で、土曜日は普通に働く日だったので、振替休日を設ける必要がなかったということです。

なぜ法律を改正しないのか?

土曜日と祝日が重なった場合に、振替休日が設定されない理屈はわかりました。

しかし、令和4年の就労条件総合調査によると、完全週休二日制が導入されている企業は48.7%まで上昇しています。

更に、完全週休二日制を含む何らかの形で、週休二日制を行っている企業は83.5%で、完全週休二日制よりも休日が実質的に多い制度を実施している企業の8.6%を加えると、92.1%の企業が週休二日以上の休日となっています。(令和五年五月十日 井坂信彦提出「土曜日の祝日の振替休日に関する質問主意書」より一部加工して抜粋)

このように、現代はすっかり週休二日制が定着しています。いったいなぜ法律を改正しようとならないのでしょうか?

それは、政府が「祝日法の制定及び改正は、基本的に議員立法に行われてきたものであり、まずは国会において十分議論して、広く国民の理解を得るべきものと考えている」と考えているからです。(令和5年5月19日に閣議決定された、「衆議院議員井坂信彦君提出土曜日の祝日の振替休日に関する質問に対する答弁書」を一部加工して抜粋)

つまり、政府だけでは勝手に決められないので、もっと国会で議論して、国民の理解が得られれば、祝日法が改正され、土曜日の祝日が振替休日になる可能性もあるということですね。

とはいえ、最近の国会は、新型コロナウイルス、領土問題、防災、税金、LGBTQなど様々な重要課題が審議されています。

また、月曜日の休日が増えることで、工業生産への影響や、病院や介護施設などの営業日が減少すること、学校の月曜日時程の進捗が滞るなどの問題点も挙げられているそうです。

祝日法の改正は、比較的優先度が低いため、国会で審議される日はまだまだ先になりそうですね。

e-gov法令検索「昭和二十三年法律第百七十八号 国民の祝日に関する法律」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC1000000178

参議院法制局「法律で「休日とする」とされた日」
https://houseikyoku.sangiin.go.jp/column/column086.htm

内閣府「(参考情報)祝日法制定の経緯」
https://www8.cao.go.jp/chosei/shukujitsu/gaiyou/kaku/keii.html

国立国会図書館レファレンス協同データベース「週休二日制が定着しているが、土曜日が休日になったのはいつからか。」
https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000286072

令和五年五月十日 井坂信彦提出「土曜日の祝日の振替休日に関する質問主意書」
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a211061.htm