昇格時号俸対応表

国家公務員が1級から2級へ昇格したら号俸はどうなる?昇格時の基本給の変化をわかりやすく解説

国家公務員として働く中で、多くの職員が目指す「級の昇格」。特に1級から2級への昇格は、一般職で採用された職員にとっては最初の昇格です。

この記事では、昇格時にどのように号俸(基本給)が変動するのか、その仕組みや注意点を具体的に解説します。

職務の級と号俸の違いとは?

国家公務員の月々の基本給は、「俸給表」という一覧表によって定められています。

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ほとんどの一般行政職員に適用されるのが「行政職俸給表(一)」です。この俸給表は、いわば国家公務員の給与の設計図です。そして、その設計図には、給与額を決めるために重要な2つの柱があります。それが、「職務の級」と「号俸」です。

まず、「職務の級」は、職員が担当する職務の複雑さ、困難さ、責任の度合いに応じて定められる区分です。

イメージとしては、役職や職責のレベルに近いもので、例えば同じ行政職俸給表(一)でも、係員、係長、課長といった職務の段階に対応しています。昇進すると、通常はこの「職務の級」が上がります。

では、「号俸」とは何でしょうか? 号俸は、同じ「職務の級」の中でも、さらに細分化された区分です。

俸給表を見ると、「級」ごとに縦に番号が並んでいます。この番号が「号俸」です。

同じ級の中でも、号俸が一つ上がるごとに俸給(基本給)の月額が増える仕組みになっています。

かつては勤続年数が長くなるにつれて自動的に号俸が上がる、いわゆる「年功序列」の要素が強かったですが、近年は勤務成績も号俸の上昇(昇給)に影響を与えるようになっています。

例えば、一定の年齢(55歳)を超えると、標準的な勤務成績では昇給が停止する制度もあります。

また、令和6年度の改定では、管理職について、昇進(昇格)による給与上昇を基本としつつも、成績優秀者は昇給(号俸上昇)でも大きな給与上昇が得られる制度が導入されました。

つまり、号俸とは、

  1. 同じ職務の級の中での給与段階を示す区分です。
  2. 勤務年数や勤務成績によって上昇(昇給)していきます。
  3. 号俸が上がると、基本給(俸給月額)が増加します。

「職務の級」が担当する仕事のレベルや責任の重さを表すのに対し、「号俸」は同じレベルの仕事をする中で、どれだけ経験を積み、あるいは貢献しているか(成績)を反映して給与を調整する仕組みと言えるでしょう。

1級→2級昇格時の号俸対応表の見方

昇格時には、人事院が示す「昇格時号俸対応表」に基づき、前級の号俸に対応する号俸が新たに割り当てられます。

一例として以下のような対応になります。

2級(昇格前) 3級(昇格後)
22号俸 6号俸
23号俸 7号俸
24号俸 8号俸

このように、号俸は減っているように見えますが、級が上がることで基本給が維持または増加するように設計されています。

実際には、号俸の数字が小さくなることから「減給された?」と誤解されることもあります。

しかし、級ごとの給与テーブルは異なるため、3級15号俸は2級20号俸と同等またはそれ以上の基本給になるよう調整されています。

これは制度上、昇格によって職責が重くなる分、報酬水準も上がる設計になっているからです。

【最新】行政職俸給表(一)の昇格時号俸対応表の見方をグラフでわかりやすく紹介国家公務員の俸給(基本給)は、「俸給表」「職務の級」「号俸」により設定されます。(例:行政職俸給表(一)5級10号俸) 昇格とは、...

出典:人事院規則九―八(初任給、昇格、昇給等の基準)|e-Gov 法令検索

1級→2級 昇格時の号俸対応表

以下に、行政職俸給表(一)適用の国家公務員が1級から2級に昇格した際の、対応する号俸の一覧表を掲載します。

この表は人事院による昇格時号俸対応表に基づいており、該当する2級号俸の欄を確認することで、昇格後に適用される2級号俸が一目で分かります。

昇格前
昇格後
1級1号俸
183,500円
2級1号俸
230,000円
(+46,500円)
1級2号俸
184,600円
2級1号俸
230,000円
(+45,400円)
1級3号俸
185,800円
2級1号俸
230,000円
(+44,200円)
1級4号俸
186,900円
2級1号俸
230,000円
(+43,100円)
1級5号俸
188,000円
2級1号俸
230,000円
(+42,000円)
1級6号俸
189,700円
2級1号俸
230,000円
(+40,300円)
1級7号俸
191,300円
2級1号俸
230,000円
(+38,700円)
1級8号俸
192,900円
2級1号俸
230,000円
(+37,100円)
1級9号俸
194,500円
2級1号俸
230,000円
(+35,500円)
1級10号俸
196,200円
2級1号俸
230,000円
(+33,800円)
1級11号俸
197,800円
2級1号俸
230,000円
(+32,200円)
1級12号俸
199,400円
2級1号俸
230,000円
(+30,600円)
1級13号俸
201,000円
2級1号俸
230,000円
(+29,000円)
1級14号俸
202,700円
2級1号俸
230,000円
(+27,300円)
1級15号俸
204,400円
2級1号俸
230,000円
(+25,600円)
1級16号俸
206,100円
2級1号俸
230,000円
(+23,900円)
1級17号俸
207,400円
2級1号俸
230,000円
(+22,600円)
1級18号俸
209,000円
2級1号俸
230,000円
(+21,000円)
1級19号俸
210,600円
2級1号俸
230,000円
(+19,400円)
1級20号俸
212,100円
2級1号俸
230,000円
(+17,900円)
1級21号俸
213,600円
2級1号俸
230,000円
(+16,400円)
1級22号俸
215,200円
2級1号俸
230,000円
(+14,800円)
1級23号俸
216,800円
2級1号俸
230,000円
(+13,200円)
1級24号俸
218,400円
2級1号俸
230,000円
(+11,600円)
1級25号俸
220,000円
2級1号俸
230,000円
(+10,000円)
1級26号俸
221,700円
2級1号俸
230,000円
(+8,300円)
1級27号俸
223,000円
2級1号俸
230,000円
(+7,000円)
1級28号俸
224,300円
2級1号俸
230,000円
(+5,700円)
1級29号俸
225,600円
2級1号俸
230,000円
(+4,400円)
1級30号俸
226,700円
2級1号俸
230,000円
(+3,300円)
1級31号俸
227,800円
2級1号俸
230,000円
(+2,200円)
1級32号俸
228,900円
2級1号俸
230,000円
(+1,100円)
1級33号俸
230,000円
2級1号俸
230,000円
(+0円)
1級34号俸
231,100円
2級2号俸
231,500円
(+400円)
1級35号俸
232,200円
2級3号俸
233,000円
(+800円)
1級36号俸
233,300円
2級4号俸
234,500円
(+1,200円)
1級37号俸
234,400円
2級5号俸
236,000円
(+1,600円)
1級38号俸
235,400円
2級6号俸
237,500円
(+2,100円)
1級39号俸
236,400円
2級7号俸
239,000円
(+2,600円)
1級40号俸
237,300円
2級8号俸
240,500円
(+3,200円)
1級41号俸
238,200円
2級9号俸
242,000円
(+3,800円)
1級42号俸
239,100円
2級10号俸
243,400円
(+4,300円)
1級43号俸
239,900円
2級11号俸
244,800円
(+4,900円)
1級44号俸
240,700円
2級12号俸
246,200円
(+5,500円)
1級45号俸
241,400円
2級13号俸
247,400円
(+6,000円)
1級46号俸
242,000円
2級14号俸
248,600円
(+6,600円)
1級47号俸
242,600円
2級15号俸
249,800円
(+7,200円)
1級48号俸
243,200円
2級16号俸
251,000円
(+7,800円)
1級49号俸
243,800円
2級17号俸
252,100円
(+8,300円)
1級50号俸
244,400円
2級18号俸
253,200円
(+8,800円)
1級51号俸
245,000円
2級19号俸
254,300円
(+9,300円)
1級52号俸
245,500円
2級20号俸
255,400円
(+9,900円)
1級53号俸
246,000円
2級21号俸
256,400円
(+10,400円)
1級54号俸
246,400円
2級21号俸
256,400円
(+10,000円)
1級55号俸
246,700円
2級22号俸
257,400円
(+10,700円)
1級56号俸
247,000円
2級22号俸
257,400円
(+10,400円)
1級57号俸
247,300円
2級23号俸
258,400円
(+11,100円)
1級58号俸
247,600円
2級23号俸
258,400円
(+10,800円)
1級59号俸
247,900円
2級24号俸
259,400円
(+11,500円)
1級60号俸
248,200円
2級24号俸
259,400円
(+11,200円)
1級61号俸
248,500円
2級25号俸
260,400円
(+11,900円)
1級62号俸
248,800円
2級25号俸
260,400円
(+11,600円)
1級63号俸
249,100円
2級26号俸
261,300円
(+12,200円)
1級64号俸
249,400円
2級26号俸
261,300円
(+11,900円)
1級65号俸
249,700円
2級27号俸
262,200円
(+12,500円)
1級66号俸
250,000円
2級27号俸
262,200円
(+12,200円)
1級67号俸
250,300円
2級28号俸
263,100円
(+12,800円)
1級68号俸
250,600円
2級28号俸
263,100円
(+12,500円)
1級69号俸
250,900円
2級29号俸
263,900円
(+13,000円)
1級70号俸
251,200円
2級29号俸
263,900円
(+12,700円)
1級71号俸
251,500円
2級29号俸
263,900円
(+12,400円)
1級72号俸
251,800円
2級30号俸
264,700円
(+12,900円)
1級73号俸
252,100円
2級30号俸
264,700円
(+12,600円)
1級74号俸
252,400円
2級30号俸
264,700円
(+12,300円)
1級75号俸
252,700円
2級31号俸
265,500円
(+12,800円)
1級76号俸
253,000円
2級31号俸
265,500円
(+12,500円)
1級77号俸
253,300円
2級31号俸
265,500円
(+12,200円)
1級78号俸
253,600円
2級32号俸
266,300円
(+12,700円)
1級79号俸
253,900円
2級32号俸
266,300円
(+12,400円)
1級80号俸
254,200円
2級32号俸
266,300円
(+12,100円)
1級81号俸
254,500円
2級33号俸
267,000円
(+12,500円)
1級82号俸
254,800円
2級33号俸
267,000円
(+12,200円)
1級83号俸
255,100円
2級33号俸
267,000円
(+11,900円)
1級84号俸
255,400円
2級34号俸
267,800円
(+12,400円)
1級85号俸
255,700円
2級34号俸
267,800円
(+12,100円)
1級86号俸
256,000円
2級34号俸
267,800円
(+11,800円)
1級87号俸
256,300円
2級35号俸
268,600円
(+12,300円)
1級88号俸
256,600円
2級35号俸
268,600円
(+12,000円)
1級89号俸
256,900円
2級35号俸
268,600円
(+11,700円)
1級90号俸
257,200円
2級36号俸
269,300円
(+12,100円)
1級91号俸
257,500円
2級36号俸
269,300円
(+11,800円)
1級92号俸
257,800円
2級36号俸
269,300円
(+11,500円)
1級93号俸
258,100円
2級37号俸
270,000円
(+11,900円)

出典:人事院規則九―八(初任給、昇格、昇給等の基準)|e-Gov 法令検索

昇格メリットは一律じゃない?



国家公務員が昇格する際には、給与表が切り替わるため、号俸の数字が下がることがあっても基本給は原則として増加します。これが「昇格メリット」と呼ばれるものですが、その増加額は一律ではなく、号俸の位置によって差があることに注意が必要です。

たとえば、1級33号俸(230,000円)の職員が2級1号俸(230,000円)に昇格した場合の差額は+0円。一方、1級69号俸(250,900円)から2級29号俸(263,900円)へ昇格すると、+13,000円と大きく跳ね上がります。

しかし、1級の最高号俸である93号俸(258,100円)から2級37号俸(270,000円)への昇格では、差額は+11,900円にとどまります。

このように、号俸が中間層までは昇格メリットが大きくなり、上位層では差額が抑制される傾向があります。これはすでに高水準の報酬を得ている職員に対し、急激な昇給を抑える制度設計となっているためです。

つまり「昇格=大幅昇給」とは限らず、昇格メリットは号俸の位置により変動するという点を理解しておくことが重要です。

【FAQ】国家公務員の昇格と号俸に関するよくある質問

Q1. 国家公務員が1級から2級に昇格すると、号俸は下がるのですか?

A. 見かけ上、号俸の数字が小さくなることがありますが、3級のほうが給与表の水準が高いため、基本給が下がることはありません。制度上、同等以上の給与水準が確保されるよう設計されています。

Q2. 昇格時の号俸はどうやって決まるのですか?

A. 人事院が定める「昇格時号俸対応表」に基づいて、昇格前の号俸に応じた号俸が新しい級で割り当てられます。これにより、公平で一貫した処遇が確保されます。

Q3. 号俸が下がるのは不利益変更にならないのですか?

A. 号俸の「数字」が下がるだけで、支給される基本給は昇格前と同等かそれ以上です。そのため、法律上の不利益変更には該当しません。むしろ、級が上がることで将来的な昇給や昇任の余地が広がります。

Q4. 昇格の判断は誰が、どのように行っているのですか?

A. 各府省庁が、職員の勤務成績、職務経験などを総合的に判断し、人事院規則に基づいて昇格を決定します。近年は業績評価制度も導入されており、能力や実績が重視されつつあります。