定年引き上げ

国家公務員は60歳以降に週4日勤務できる?定年前再任用を解説

国家公務員は、60歳以降に「週4日勤務」を選べる制度があります。代表的なのが、2023年度から導入された定年前再任用短時間勤務制度です。

たとえば、月曜日から木曜日まで1日7時間45分ずつ働き、金曜日を週休日にすると、週31時間勤務になります。通常のフルタイム勤務は週38時間45分なので、勤務時間はちょうど80%です。

ただし、単純に「60歳になったら今の身分のまま週休3日に変更できる」という制度ではありません。いったん退職したうえで、短時間勤務の官職に改めて採用される仕組みです。給与の決まり方や退職金、定年後の暫定再任用との違いまで理解しておく必要があります。

この記事のポイント

週4日勤務
可能。1日7時間45分×4日なら週31時間
対象
60歳以降、定年前に退職して短時間勤務の官職に再任用される職員
給与
週31時間なら基準俸給月額の80%。退職前給与の80%とは限らない

国家公務員は60歳以降に週4日勤務できる

定年前再任用短時間勤務職員の勤務時間は、週15時間30分以上31時間以下の範囲で設定されます。また、1日の勤務時間は7時間45分以内です。

このため、フルタイムと同じ7時間45分を1日単位として、週4日勤務する形が制度上可能です。土日に加えて、平日の1日を週休日にすることができます。

曜日 勤務例
7時間45分
7時間45分
7時間45分
7時間45分
週休日
土・日 週休日
合計 週31時間

上表は分かりやすいモデルケースです。必ず金曜日が休みになるわけではなく、実際の勤務時間や勤務日の割振りは、業務の事情などを踏まえて各省各庁で決められます。

週3日なら7時間45分×3日で23時間15分とすることもできます。このほか、1日の勤務時間を短くして複数日に分けるなど、制度上は比較的柔軟な設定が可能です。

実際にも「週4日」が大半を占める

週4日勤務は、制度上可能というだけではありません。実際の利用状況を見ても中心的な勤務形態になっています。

人事院によると、2024年度の給与法適用職員では、定年前再任用短時間勤務職員が1,052人いました。そのうち勤務時間を見ると、給与法適用職員全体で87.2%が週4日勤務でした。

さらに、一般的な事務系職員が多い行政職俸給表(一)では、91.8%が週31時間の週4日勤務となっています。週3日勤務は7.3%でした。

行政職(一)の勤務時間 2024年度の割合
週31時間(週4日) 91.8%
週23時間15分(週3日) 7.3%
その他 約0.9%

60歳以降に短時間勤務を選択する国家公務員については、「毎日少しずつ短く働く」というより、1日の勤務時間は大きく変えず、勤務日を週4日に減らす形が実務上の中心とみてよいでしょう。

定年前再任用短時間勤務とは

定年前再任用短時間勤務は、単に現在の勤務時間を短くする制度ではありません。

対象になるのは、原則として60歳に達した日以後にいったん退職し、本来の定年退職日をまだ迎えていない職員です。その後、本人の希望を踏まえ、短時間勤務の官職に選考採用されます。

項目 定年前再任用短時間勤務
対象 60歳以降、定年前に退職した職員など
勤務時間 週15時間30分~31時間
1日の上限 7時間45分
任用方法 勤務成績、経験、資格などを踏まえた選考採用
任期 定年退職日相当日まで
対象官職 短時間勤務の官職(指定職を除く)

したがって、「自分が週4日にしたいと言えば必ず認められる」という意味ではありません。短時間勤務の官職への採用が前提となり、具体的な勤務日も職場側との調整が必要です。

2026年度の定年は62歳。60歳から何年間使える?

国家公務員の定年は、2023年度から段階的に65歳まで引き上げられています。

年度 原則定年
2023~2024年度 61歳
2025~2026年度 62歳
2027~2028年度 63歳
2029~2030年度 64歳
2031年度以降 65歳

2026年度の原則定年は62歳です。したがって、対象となる職員の生年月日などによりますが、60歳以降に退職して定年前再任用短時間勤務を選択した場合、本来の定年退職日相当日まで短時間勤務することになります。

定年が今後63歳、64歳、65歳へと引き上げられるにつれて、「60歳以降、定年まで短時間で働く」という選択肢を利用できる期間も変わっていきます。

定年前再任用と暫定再任用は何が違う?

60歳以降の制度を調べると、「定年前再任用短時間勤務」と「暫定再任用短時間勤務」の2つが出てくるため、混同しやすいところです。

最も簡単に整理すると、定年前か、定年後かの違いです。

項目 定年前再任用短時間勤務 暫定再任用短時間勤務
利用する時期 60歳以降~本来の定年前 原則として定年退職後
制度の位置付け 高齢期の多様な働き方 65歳までの雇用確保の経過措置
短時間勤務 週15時間30分~31時間 週15時間30分~31時間
フルタイム 制度上は短時間勤務のみ 週38時間45分も選択肢
任期 定年退職日相当日まで 原則1年以内、更新により65歳到達年度末まで可能

たとえば2026年度に原則定年62歳の職員であれば、60歳以降に定年前再任用短時間勤務を利用し、本来の定年に達した後は、要件を満たせば暫定再任用によって65歳まで働くという流れも考えられます。

週4日にすると給与はいくらになる?

定年前再任用短時間勤務の俸給月額は、退職前の給与を単純に4日分へ減らす計算ではありません。

再任用後の職務の級ごとに設定された「基準俸給月額」に、フルタイムに対する勤務時間の割合を掛けて計算します。

週4日・週31時間の場合、フルタイムの38時間45分に対する割合は80%です。

モデルケース 金額・割合
基準俸給月額 30万円
勤務時間 週31時間
フルタイムに対する割合 80%
再任用後の俸給月額 24万円

この表は制度を理解するためのモデルケースです。実際の基準俸給月額は、適用される俸給表と再任用後の職務の級によって異なります。

「60歳以降は給与7割、さらに週4日だから56%」とは限らない

60歳以降も常勤職員として定年まで勤務する場合には、俸給月額を原則として60歳前の7割水準とする仕組みがあります。一方、定年前再任用短時間勤務では、いったん退職して再任用され、職務の級ごとの基準俸給月額から給与を計算します。

そのため、「60歳前の給与×70%×80%=56%」と機械的に計算するのは適切ではありません。

ボーナスや手当もある

短時間勤務になるからといって、基本給だけになるわけではありません。

地域手当、通勤手当、住居手当、超過勤務手当などは、それぞれの支給要件を満たせば対象となります。また、期末・勤勉手当も支給されます。

2026年度の例では、行政職俸給表(一)6級以下で成績良好(標準)の定年前再任用短時間勤務職員について、期末・勤勉手当は年間合計2.41月分とされています。これは通常の常勤職員の支給月数とは異なります。

したがって年収を比較するときは、「俸給月額×12」だけではなく、地域手当やボーナスなども含めて見る必要があります。

週4日勤務の年休はどうなる?

定年前再任用短時間勤務職員にも、年次休暇、病気休暇、特別休暇、介護休暇などがあります。

毎週の勤務日数と1日の勤務時間が同じ「斉一型」の場合、年次休暇の日数は、20日を基準に勤務日数に応じて計算されます。

1暦年を通じて在職する週4日勤務の斉一型であれば、基本となる計算は20日×4日÷5日=16日です。ただし、定年前再任用として年の途中から採用される場合は、その年の在職期間と勤務日数に応じて付与日数が決まるため、必ず16日になるわけではありません。

退職前の年休残日数は引き継がれない

定年前再任用は、いったん退職した後に改めて採用される制度です。そのため、退職日の翌日に再任用された場合でも、退職前の年次休暇の残日数は原則として引き継がれません。

週4日勤務なら社会保険はどうなる?

週31時間勤務の場合は、フルタイム週38時間45分のちょうど80%です。週4日勤務であれば勤務日数も通常の週5日に対して80%となるため、勤務時間・勤務日数ともフルタイムの4分の3以上という基準を満たします。

人事院の案内では、週の勤務時間と月の勤務日数がフルタイムの4分の3以上となる場合、厚生年金保険の対象となり、医療保険についても共済組合の対象となります。雇用保険についても、週20時間以上などの要件を満たせば加入します。

一方で、週2日など勤務時間を大きく減らす場合は加入条件が変わるため、実際に選択する際は勤務時間だけでなく、社会保険料や将来の年金への影響まで確認した方がよいでしょう。

退職金との関係も重要

定年前再任用短時間勤務へ移るためには、60歳以降にいったん退職します。

国家公務員には、60歳に達した日以後に定年前退職を選んだ職員について、当分の間、退職手当を「定年」を理由とする退職と同様に算定する仕組みがあります。

一方、定年前再任用短時間勤務職員として勤務した期間については、再任用終了時に新たな退職手当は支給されません。

したがって、60歳以降の働き方を考えるときは、「毎月の給与がいくらになるか」だけでなく、退職金を受け取る時期、年金開始までの収入、週5日勤務を続けた場合との総収入差まで含めて見る必要があります。

モデルケース|61歳から週4日勤務を選ぶとどうなる?

2026年度に61歳で、本来の定年が62歳となる一般的な国家公務員を例に考えてみます。

項目 モデルケース
年齢 61歳
2026年度の原則定年 62歳
働き方 定年前再任用短時間勤務
勤務日 月~木
週休日 金・土・日
勤務時間 7時間45分×4日=31時間
給与計算 再任用後の基準俸給月額×80%
年休 勤務日数・採用時期に応じて付与。1暦年を通じる週4日斉一型なら16日
定年到達後 条件を満たせば暫定再任用で65歳まで勤務可能

このモデルでは、平日に毎週1日の自由時間を確保しながら、公務員としての収入を得続けることができます。通院、家族の介護、趣味、資格取得、定年後の生活への移行などに時間を使いやすくなる点は大きな特徴です。

一方で、フルタイム勤務と比べれば給与は下がります。また、定年前再任用では退職前と同じポストや給与が保証されるわけではありません。

見るべきポイントは「週4日になるかどうか」だけではなく、どの級の短時間勤務官職に再任用されるのか、その結果として年収がいくらになるのかです。

週5日を続けるか、週4日にするか

60歳以降の選択肢は、大きく分けると「定年まで通常勤務を続ける」か、「いったん退職して定年前再任用短時間勤務へ移る」かです。

比較 定年まで通常勤務 定年前再任用・週4日
勤務時間 週38時間45分 モデル例:週31時間
平日の休み 原則なし 週1日設けることが可能
身分 常勤職員を継続 一度退職後、短時間勤務官職へ再任用
俸給 60歳超は原則7割水準 基準俸給月額×勤務時間割合
向いている考え方 収入を重視したい 時間と収入のバランスを取りたい

特に60歳以降は、「1年間の給与差」だけを見るとフルタイム勤務が有利でも、週1日の自由時間を年間約50日確保できる価値をどう考えるかで判断は変わります。

週4日勤務は、完全に仕事を辞めるほどではないものの、60歳以降は少しずつ仕事の比重を下げたい人にとって現実的な選択肢といえます。

FAQ

60歳になれば誰でも週4日勤務にできますか?
自動的に週4日へ変更できるわけではありません。定年前再任用短時間勤務の場合、60歳以降にいったん退職したうえで、勤務成績や経験などを踏まえて短時間勤務の官職へ選考採用されます。
週4日なら金曜日を必ず休みにできますか?
必ず金曜日を選べるとは限りません。平日に週休日を設定することは可能ですが、具体的な勤務日の割振りは業務の事情などを踏まえて決められます。
週3日勤務もできますか?
可能です。たとえば1日7時間45分を週3日勤務すれば、週23時間15分になります。制度上の勤務時間は週15時間30分から31時間までです。
週4日にすると給与は今の80%になりますか?
退職前の給与をそのまま80%にするわけではありません。再任用後の職務の級ごとに設定された基準俸給月額に、週31時間なら80%という勤務時間割合を掛けて俸給月額を計算します。
62歳以降も週4日で働けますか?
2026年度の原則定年は62歳です。定年退職後は、要件を満たせば暫定再任用短時間勤務によって65歳到達年度末まで働ける可能性があります。

出典・作成方針

制度内容は2026年8月時点で確認できる人事院資料を基に整理しています。給与のモデルケースは制度の計算方法を示すための参考例であり、実際の俸給月額・手当・年収は適用俸給表、職務の級、勤務地、勤務時間、手当の支給要件などによって異なります。年次休暇についても、採用時期やその年の在職期間によって実際の付与日数は変わります。

SNSでシェア
SNSでシェア