地域手当とは何か？支給金額やもらえる条件について解説

国家公務員の給与は、民間の水準と均衡を図りつつ、全国一律の俸給表とこれを補完する諸手当から成る給与体系が法定されており、適正な水準を確保するように設計されています。

地域手当は、公務員が勤務する地域の経済状況や物価に応じた給与調整を行うための重要な手当です。この記事では、地域手当の概要について解説します。

地域手当の概要

地域手当は、公務員の給与に地域の民間給与を適切に反映させるために設けられた手当です。地域ごとの物価や賃金水準の違いを考慮して、各市町村単位で支給割合が決まります。

地域手当が導入されたのは、平成18年4月です。それ以前は、「調整手当」という制度がありましたが、地域間の賃金格差や生活コストの違いを十分に反映していないという問題が指摘されていました。特に都市部では、高い生活費にも関わらず給与差が小さいことから、大都市圏における公務員の待遇改善が求められていました。

新設された地域手当は、民間賃金の高い地域では手当を増額し、賃金水準が低い地域では補正を行うことで、給与の公平性とバランスを目指しています。

地方自治体も、国の地域手当の指定基準を基本にして、それに基づき支給地域と支給割合を設定しています。総務省は、国の基準を超える支給割合を設定した地方自治体に対して、特別交付税の減額措置を行うことがあります。これは、全国的な財政の公平性を保つための措置です。

地域手当の計算方法

地域手当の支給額は、以下の計算式によって算出されます。

支給割合は勤務地によって設定され、例えば東京都特別区で勤務する場合は20％となります。

この計算式によって、俸給が20万円で東京都特別区に勤務する職員の地域手当は、20万円の20％に相当する4万円が支給されます。

地域手当の支給割合一覧

地域手当の主な支給割合は以下のとおりです。

級地	主な地域	支給割合
1級地	東京都特別区	20%
2級地	大阪市、横浜市	16%
3級地	さいたま市、千葉市、名古屋市	15%
4級地	神戸市	12%
5級地	水戸市、大津市、京都市、奈良市、広島市、福岡市	10%
6級地	仙台市、宇都宮市、甲府市、岐阜市、静岡市、津市、和歌山市、高松市	6%
7級地	札幌市、前橋市、新潟市、富山市、金沢市、福井市、長野市、岡山市、徳島市、長崎市	3%

総務省の地方公務員給与実態調査（令和5年）における国基準の支給率（R5.4.1現在）のデータを基に、全国の支給割合をまとめました。

地域手当の見直し

地域手当は、民間の賃金水準を基に算出され、10年ごとに見直しが行われます。次回の見直しは令和7年4月に予定されています。

地域手当については「市町村単位での支給割合の差が不均衡を生む」との指摘がありました。令和6年8月の人事院勧告では、地域手当の「大くくり化」による支給地域の広域化が提案されています。

詳細については、以下の記事をご覧ください。

【2024人事院勧告】地域手当の見直しまとめ【支給地域の広域化】地域手当の見直しと再編 令和6年8月、人事院は国会と内閣に対して国家公務員の給与等に関する勧告を行いました。 勧告では、民間企業...

まとめ

地域手当は、民間給与水準との均衡を図るため、平成18年から導入されました。この手当は、地域ごとの物価や賃金水準を反映し、公務員の給与を公平に調整することを目的としています。

例えば、東京都特別区の職員には20％の地域手当が支給され、これは大都市の高い生活費に対応するためのものです。一方、札幌市では支給割合が3％で、生活コストに応じた調整が行われています。

支給割合は勤務地によって異なり、今後も定期的に見直しが行われる予定です。