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国家公務員は60歳で管理職を外れる?役職定年と給与7割を解説

国家公務員は、定年そのものが65歳まで段階的に引き上げられている一方、管理職については別に「役職定年制」が設けられています。そのため、「定年が65歳になるなら、管理職も65歳まで続ける」という仕組みではありません。

原則として、管理監督職の職員は60歳に達した後、最初の4月1日までに管理監督職以外の官職へ降任・転任します。つまり、60歳の誕生日を迎えた瞬間に必ず役職を外れるわけではありませんが、通常は61歳となる年度の4月1日以降、管理職を続けない仕組みです。

さらに、61歳となる年度からは、原則として俸給月額が60歳前の7割水準になります。ただし、「年収も手取りも一律に30%減る」という意味ではありません。役職定年によるポスト変更と給与7割措置を分けて見ることが重要です。

この記事のポイント

役職定年
原則60歳。60歳到達後、最初の4月1日までに管理監督職以外へ異動
給与
61歳となる年度から、俸給月額は原則として60歳前の7割水準
2026年度の定年年齢
原則62歳。ただし、2026年度に60歳になる人が62歳定年という意味ではない

国家公務員は60歳で管理職を外れる?

結論からいえば、一般的な国家公務員の管理監督職には、原則60歳の「管理監督職勤務上限年齢」が設定されています。一般には「役職定年」と呼ばれている制度です。

対象となるのは、指定職や俸給の特別調整額の支給対象となる官職などの管理監督職です。管理監督職に就いている職員が60歳に達すると、60歳の誕生日から、その後最初に迎える4月1日までの期間に、管理監督職以外の官職へ降任するか、降給を伴う転任をすることが基本となります。

時点 原則的な扱い
60歳になる前 管理監督職として勤務可能
60歳の誕生日 直ちに全員が管理職を外れるとは限らない
60歳到達後、最初の4月1日まで 管理監督職以外の官職へ降任・転任するのが原則
61歳となる年度 原則として非管理監督職で勤務

たとえば2026年10月1日に60歳になる課長であれば、原則として2027年4月1日までに管理監督職以外へ異動します。「60歳になった10月1日に即座に課長ではなくなる」とは限らない点がポイントです。

役職定年後は何の役職になる?

役職定年後のポストは、全国一律に「課長は必ず課長補佐になる」と決められているわけではありません。

任命権者は、人事評価、勤務状況、これまでの職務経験、適性、人事計画などを踏まえて異動先を決定します。制度上は、非管理監督職の中で、できる限り上位の職制上の段階に属する官職へ異動させることが基本です。

一方で、異動先となるポストの数や組織の人員構成によっては、必ずしも最上位の非管理職ポストに配置されるとは限りません。

注意点:「60歳=課長補佐になる」という制度ではありません。どのポストに移るかは府省や職種、人事配置によって異なります。

役職定年60歳と「定年」は別の制度

特に混同しやすいのが、「役職定年」と「職員としての定年」です。

国家公務員の定年は2023年度から2年に1歳ずつ引き上げられており、2026年度の原則的な定年年齢は62歳です。2031年度から原則65歳となります。

定年年齢の段階的な変化は次のとおりです。

年度 原則的な定年年齢
2022年度まで 60歳
2023~2024年度 61歳
2025~2026年度 62歳
2027~2028年度 63歳
2029~2030年度 64歳
2031年度以降 65歳

ここで注意したいのは、表の「2026年度は62歳」が、2026年度に60歳になる職員の定年年齢を示しているわけではないことです。2026年度に定年退職を迎える一般的な職員の定年年齢が62歳という意味で、本人の定年は生年月日と定年に達する年度を合わせて確認する必要があります。

2031年度以降は定年が65歳となるため、原則的な制度が続く場合、60歳で役職定年を迎えてから65歳まで勤務する期間が生じることになります。

国家公務員の「給与7割」とは何が7割になる?

60歳以降の給与については、民間企業における高齢期雇用の実情などを踏まえ、当分の間、60歳前の7割水準とする措置が設けられています。

より正確には、原則として61歳となる年度から俸給月額を60歳前の7割水準とする仕組みです。俸給月額を基礎として計算される地域手当などについても、その影響を受けます。

項目 考え方
俸給月額 原則として60歳前の7割水準
地域手当など 俸給を算定基礎とするため、7割措置の影響を受ける
期末・勤勉手当 算定基礎となる給与額の変化の影響を受ける
管理職としての手当 役職定年で管理監督職を外れれば、同じ条件で続くとは限らない
手取り額 一律に60歳前の70%になるわけではない

したがって、「月収50万円だった人は必ず35万円になる」と単純計算するのは正確ではありません。

7割措置の中心となるのは俸給月額です。実際の給与明細では、地域手当、扶養手当、住居手当、通勤手当などそれぞれの支給条件があり、さらに役職定年となった管理職はポスト変更による給与への影響もあります。

管理職は「役職定年」と「7割」で二重に下がる?

管理職の場合、ここが制度上かなり重要です。

仮に課長から課長補佐へ降任した場合、新しい課長補佐の級・号俸だけを基準にしたうえで、さらにその俸給を70%にすると、役職定年による降任と60歳超の7割措置が重なり、基本給が大幅に下がってしまいます。

そこで設けられているのが「管理監督職勤務上限年齢調整額」です。一定の要件を満たす場合、役職定年前に管理監督職として受けていた俸給月額の7割水準になるよう、調整額が加算されます。

人事院が示している2026年度のモデルケース

人事院の2026年4月版FAQでは、本府省の課長(行政職(一)9級2号俸)が2026年10月1日に役職定年による降任等で課長補佐(6級73号俸)となり、2027年4月1日の特定日に7割措置が適用される例が示されています。

段階 俸給月額等
役職定年前 課長・行政職(一)9級2号俸:532,000円
役職定年後のポスト 課長補佐・6級73号俸:427,000円
6級73号俸に7割措置 298,900円
管理監督職勤務上限年齢調整額 73,500円
特定日以後の基本給 372,400円

532,000円の70%は372,400円です。このモデルでは、課長補佐の俸給を単純に70%にした298,900円ではなく、73,500円の調整額を加えることで、役職定年前の課長としての俸給月額532,000円の70%に相当する372,400円となっています。

ここで示している372,400円は基本給に相当する部分のモデルケースであり、手取り月収や年間の総収入ではありません。地域手当などが加わる場合があり、社会保険料や税金を差し引いた手取り額とも異なります。

モデルケースで見る「2026年度に60歳になる職員」

たとえば2026年10月1日に60歳になる一般的な管理職を例にすると、定年までの流れは次のようになります。この生年月日の職員は、原則的な定年年齢が64歳となる世代です。

年齢・時期 働き方のイメージ 給与の考え方
59歳 管理職として勤務 通常の俸給・手当
2026年10月1日・60歳 誕生日当日に必ず管理職を外れるとは限らない 7割措置はまだ始まらない
2027年4月1日まで 原則として非管理監督職へ降任・転任 2027年4月1日から俸給月額は原則60歳前の7割水準
61~63歳 非管理監督職として常勤勤務 7割措置後の給与
64歳 定年まで常勤勤務 7割措置後の給与
2031年3月31日 原則64歳で定年退職 退職後は暫定再任用の対象となり得る

つまり、「2026年度の定年年齢は62歳」と「2026年度に60歳になる職員の定年年齢」は同じ意味ではありません。定年引上げの過渡期では、60歳を迎えた年度だけでなく、生年月日ごとの定年年齢を確認する必要があります。

また、現在の制度は「60歳で退職して再任用」という旧来のイメージとは異なります。60歳を過ぎても定年前であれば、原則として任期の定めのない常勤職員のまま勤務を続け、定年退職後は経過措置として暫定再任用の対象となり得ます。

給与7割になっても「再任用職員」ではない

もう一つ誤解しやすいのが、61歳年度から給与が7割になる職員と、再任用職員との違いです。

定年引上げ後は、60歳を過ぎたというだけでいったん退職するわけではありません。定年前であれば、原則として通常の常勤職員として勤務を続けます。

一方、「定年前再任用短時間勤務」は、60歳以降に本人がいったん退職したうえで短時間勤務の官職に採用される別制度です。また「暫定再任用」は、段階的な定年引上げ期間中に定年退職した後、65歳まで働くための経過措置です。

働き方 いったん退職するか 勤務形態
定年引上げ後の通常勤務 しない 常勤
定年前再任用短時間勤務 する 週15時間30分~31時間
暫定再任用 定年退職後に採用 フルタイムまたは短時間

「給与7割=再任用になった」と考えないことが、現在の制度を理解するうえで大切です。

全員が60歳で役職定年になるわけではない

役職定年年齢は原則60歳ですが、例外もあります。

人事院は、一部の官職について60歳を超える管理監督職勤務上限年齢を設定しています。たとえば、従来62歳の特例定年が設定されていた事務次官等については62歳、一定の研究機関の官職などでは63歳となるケースがあります。

また、役職定年によって管理職から外すことで公務の運営に著しい支障が生じる場合には、一定の条件の下で管理監督職として勤務を続けさせる「特例任用」もあります。

「国家公務員は全員60歳で役職を失う」と断定するのは正確ではありません。原則は60歳ですが、官職ごとの上限年齢や特例任用があります。

結局、60歳以降の給与はどう見ればいい?

60歳以降の給与を考えるときは、「今の年収×70%」だけで計算するのではなく、次の順番で確認すると分かりやすくなります。

1つ目は、役職定年の対象か。管理監督職であれば、原則60歳で役職定年の対象となり、ポストそのものが変わります。

2つ目は、役職定年後の級・号俸。どのポストに降任・転任するかによって、新しい給与上の格付けが変わります。

3つ目は、60歳超の7割措置。61歳となる年度以降、原則として俸給月額が60歳前の7割水準となります。

4つ目は、管理監督職勤務上限年齢調整額。管理職から降任した職員については、役職定年と7割措置で給与が二重に低下する影響を緩和する仕組みがあります。

5つ目は、各種手当。地域手当、扶養手当、住居手当、通勤手当などを含めた実際の額面給与は、個々の支給条件によって変わります。

そのため、最も正確な理解は「60歳で役職が変わる制度」と「61歳年度から俸給を7割水準にする制度」が同時期に動く、と分けて考えることです。

FAQ

国家公務員は60歳になった日に管理職を外れますか?
原則として役職定年年齢は60歳ですが、60歳の誕生日当日に必ず異動するわけではありません。通常は60歳に達した後、最初の4月1日までに管理監督職以外の官職へ降任・転任します。
2026年度に60歳になる人は62歳で定年ですか?
一律に62歳定年ではありません。2026年度の「原則62歳」は、その年度に適用される定年年齢です。たとえば2026年10月1日に60歳になる職員は、原則的な定年年齢が64歳となる世代です。本人の定年は生年月日で確認する必要があります。
管理監督職勤務上限年齢調整額はボーナスや地域手当に反映されますか?
人事院FAQでは、管理監督職勤務上限年齢調整額は俸給月額とは別に「俸給」として支給され、地域手当、超過勤務手当、期末・勤勉手当など、算定基礎に俸給や俸給月額を含む手当の算定基礎に含まれるとされています。
給与7割になると再任用職員になるのですか?
いいえ。定年前であれば、給与7割措置の対象となっても原則として任期の定めのない常勤職員のままです。定年前再任用短時間勤務や、定年退職後の暫定再任用とは別の制度です。

出典・作成方針

制度内容は2026年8月時点で確認できる人事院の公表資料をもとに整理しています。給与の372,400円等は人事院FAQに掲載された2026年4月1日時点の俸給表によるモデルケースであり、個々の職員の手取り額や実際の年収を示すものではありません。役職定年年齢、定年年齢、適用される俸給表などには官職による例外があります。

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