公務員の給料・福利厚生

公務員の年末調整2026|何が変わる?書類・控除・還付金を解説

2026年の公務員の年末調整では、基礎控除・給与所得控除の最低保障額の引上げ、扶養親族等の所得要件の見直し、23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除の特例が主な変更点です。2025年の年末調整と同じ金額で判断すると、控除額や家族の申告内容が変わることがあります。

公務員にも、給与所得者として一般の会社員と同じ所得税の仕組みが適用されます。ただし、書類の提出期限、電子申告の方法、還付金を給与に反映する時期は、所属する省庁・自治体などによって異なります。

まず確認したいのは、本人と家族の2026年1月から12月までの収入見込みです。そのうえで、保険料やiDeCoの証明書をそろえ、勤務先が指定する申告書に記入します。還付金は納め過ぎた税金の精算なので、控除が増えた額と、そのまま同額が戻るわけではありません。

この記事のポイント

2026年の変更
基礎控除は合計所得489万円以下で104万円。扶養親族等の所得要件も見直されます。
必要な準備
本人・家族の年間収入を見積もり、保険料・iDeCoなどの控除証明書を確認します。
還付金の見方
源泉徴収済みの税額と年間の税額との差額です。追加徴収になる場合もあります。

2026年は基礎控除・扶養の所得要件・生命保険料控除が変わる

2026年度の税制改正による基礎控除等の見直しは、原則として2026年12月1日に施行され、2026年分の所得税に適用されます。2026年11月までの給与等の源泉徴収事務には変更がなく、12月の年末調整で改正後の年間税額を計算して精算します。

前年と比べた主な変更は、次のとおりです。表の金額は所得税についてのもので、共済組合の被扶養者認定や扶養手当の支給基準を示すものではありません。

項目 2025年分 2026年分 確認したいこと
基礎控除 合計所得に応じて最高95万円 合計所得489万円以下では104万円 本人の合計所得で区分を判定する
給与所得控除の最低保障額 65万円 74万円 本人や家族の給与収入から所得を計算する
扶養親族・同一生計配偶者の所得要件 合計所得58万円以下 合計所得62万円以下 給与だけなら収入136万円以下が目安となる
23歳未満の扶養親族がいる場合の一般生命保険料控除 新契約のみなら最高4万円 対象となる新契約について最高6万円 扶養親族の要件と保険契約の区分を確認する

給与所得控除の最低保障額74万円には、2026・2027年分の特例が含まれています。また、生命保険料控除の特例も2026・2027年分が対象です。これらの金額が、そのまま将来も続くとは限りません。

基礎控除104万円の対象は「年収489万円以下」ではない

基礎控除は、本人の合計所得金額で決まります。給与収入しかない場合は、税引前の給与・賞与から給与所得控除を差し引いた給与所得が、判定の出発点です。手取り額や、共済掛金などを差し引いた後の金額で判断しません。

2026年分の主な所得区分を、2025年分と比べると次のようになります。

本人の合計所得金額 2025年分の基礎控除 2026年分の基礎控除 増加額
132万円以下 95万円 104万円 9万円
132万円超336万円以下 88万円 104万円 16万円
336万円超489万円以下 68万円 104万円 36万円
489万円超655万円以下 63万円 67万円 4万円
655万円超2,350万円以下 58万円 62万円 4万円

合計所得2,350万円超の基礎控除額には、今回の改正による変更はありません。表は国内居住者を前提としています。

モデルケース:給与年収600万円なら基礎控除は104万円

年間の課税対象となる給与・賞与が600万円で、給与以外の所得や所得金額調整控除がない職員を考えます。この場合、給与所得控除は164万円、給与所得は436万円です。合計所得489万円以下に入るため、2026年分の基礎控除は104万円となります。

一方、給与年収700万円なら、同じ前提で給与所得控除は180万円、給与所得は520万円です。2026年分の基礎控除は67万円となります。年収が100万円違うだけでも、適用される区分は変わります。給与収入660万円未満の実際の所得計算は、国税庁の年末調整用の表に従います。

副業などの所得がある職員は、給与所得だけで判定しないようにしてください。基礎控除申告書では、給与以外の所得も含めた合計所得の見積額を申告します。

家族の収入は「本人の所得税」「親の控除」「共済の扶養」を分けて見る

2026年分は、扶養親族や同一生計配偶者の所得要件が合計所得62万円以下になります。給与収入だけなら、給与所得控除74万円を差し引くため、給与収入136万円以下に相当します。

ただし、家族本人に所得税がかからない収入水準と、職員が家族について控除を受けられる収入水準は別です。給与のみの人について所得税の課税最低限となる178万円は、基礎控除104万円と給与所得控除74万円を合わせた金額です。

「178万円まで税法上の扶養に入れる」という意味ではありません。所得税の控除、共済組合の被扶養者認定、勤務先の扶養手当には、それぞれ別の要件があります。収入が変わったときは、年末調整の申告だけで必要な手続がすべて済むとは限りません。

19歳以上23歳未満の子は、136万円を超えても控除が残る場合がある

生計を一にする19歳以上23歳未満の親族については、通常の扶養控除に加え、特定親族特別控除を確認します。年齢は原則として2026年12月31日時点で判定し、大学に在学していること自体は要件ではありません。

次の表は、子の収入がアルバイトの給与だけで、親子が生計を一にするなど、ほかの適用要件も満たしている場合です。

子の年間給与収入 子の合計所得 親に適用される所得税の控除 親の控除額
130万円 56万円 特定扶養親族の扶養控除 63万円
150万円 76万円 特定親族特別控除 63万円
170万円 96万円 特定親族特別控除 41万円
190万円 116万円 特定親族特別控除 6万円
200万円 126万円 いずれも対象外 0円

2026年分は、給与収入136万円超159万円以下でも、特定親族特別控除によって親の控除額63万円が維持されます。その後は段階的に減り、給与収入197万円を超えると対象外です。同じ子について、両親が重複して扶養控除や特定親族特別控除を受けることはできません。

配偶者についても、給与収入136万円を超えたら必ず控除がなくなるわけではありません。配偶者特別控除の対象となる場合があります。ただし、本人と配偶者の両方の所得で控除額を判定するため、子の表をそのまま当てはめないでください。

23歳未満の扶養親族がいる職員は、生命保険料控除の特例を確認する

2026・2027年分は、23歳未満の扶養親族がいる場合、対象となる新生命保険料の一般生命保険料控除が最高6万円になります。対象は一般生命保険料の枠であり、介護医療保険料や個人年金保険料の枠がそれぞれ6万円になるわけではありません。

対象となる新生命保険料については、次の計算式を使います。新契約・旧契約の区分は、保険会社や共済などの控除証明書で確認してください。

年間の対象保険料 特例による一般生命保険料控除額
3万円以下 支払保険料の全額
3万円超6万円以下 支払保険料×1/2+1万5,000円
6万円超12万円以下 支払保険料×1/4+3万円
12万円超 6万円

例えば、対象となる新生命保険料を年間10万円支払っている場合、特例の控除額は5万5,000円です。通常の新契約の上限4万円と比べ、控除額は1万5,000円増えます。ただし、生命保険料控除全体の上限は引き続き12万円なので、ほかの区分ですでに上限に達していれば、合計控除額が増えない場合もあります。

旧契約だけの場合の一般生命保険料控除は、引き続き最高5万円です。特例の対象となる新契約と旧契約の両方を使う場合は、合算した一般生命保険料控除の上限が6万円になります。

また、この特例で確認するのは「23歳未満の扶養親族」です。所得要件は合計所得62万円以下で、給与だけなら収入136万円以下に相当します。先ほどの例で子の給与収入が150万円の場合、親は特定親族特別控除を受けられても、その子だけを理由に生命保険料控除の特例を適用することはできません。

扶養控除の対象にならない16歳未満の子も、この特例の対象に含まれます。また、同一世帯の夫婦の間に対象となる子が1人いる場合は、夫婦双方が特例を使えます。ただし、控除できる保険料は、それぞれ本人が実際に負担した分です。

必要書類は申告書と控除証明書を組み合わせて準備する

勤務先が電子申告を採用している場合も、確認する内容は紙の申告書と共通です。2026年分の様式を使い、前年から引き継がれた家族情報や収入見込みを見直してください。

主な書類と、職員側で準備する情報は次のとおりです。

書類・申告項目 主な対象 準備・確認するもの
扶養控除等(異動)申告書 主たる給与の支払者に提出する職員(扶養親族がいない場合も含む) 本人の情報、家族の生年月日、続柄、年間所得の見込み、異動内容
基礎控除・配偶者控除等・特定親族特別控除・所得金額調整控除の兼用申告書 基礎控除や、該当する家族関係の控除を受ける職員 本人・配偶者・対象親族の給与収入と給与以外の所得の見込み
保険料控除申告書 生命保険料、地震保険料、自分で支払った社会保険料、iDeCoなどを申告する職員 各種控除証明書、年間支払額、生命保険料控除の特例対象となる親族の情報
住宅借入金等特別控除申告書 原則として住宅ローン控除の2年目以降の職員 控除証明書、適用する方式に応じた年末残高情報など
前職の給与所得の源泉徴収票 年内に転職し、前職給与を合算して年末調整する職員 前職の支払金額、源泉徴収税額、社会保険料等の額

基礎控除等の申告書と保険料控除申告書は、2026年の改正に対応して変更されています。前年の用紙を流用せず、勤務先が案内する最新版で申告しましょう。

2026年分と2027年分を取り違えない

秋の手続では、2026年分の年末調整書類と、翌2027年分の扶養控除等申告書を一緒に提出する場合があります。2026年の税額精算に使う情報と、2027年の毎月の源泉徴収に使う情報は分けて確認してください。

年末調整は年度単位ではありません。2026年分は2026年1月から12月までです。4月採用の職員に1月から3月の前職給与があれば、その扱いも給与担当に確認します。単なる所属内の異動と、給与の支払者が変わる転職では、必要な対応が異なります。

共済掛金・iDeCo・保険料は、給与天引きと自分で払った分を分ける

給与から差し引かれている共済掛金や厚生年金保険料などは、通常、給与担当が把握して年末調整の社会保険料控除に反映します。同じ金額を、本人が直接支払った保険料の欄にも記入すると二重計上になるため注意が必要です。

一方、自分で支払った国民年金保険料などは、申告が必要となる場合があります。例えば、生計を一にする大学生の子の国民年金保険料を職員本人が負担した場合は、支払者である本人の社会保険料控除を確認します。国民年金保険料は控除証明書の提出・提示が必要です。

iDeCoは掛金全額が控除対象になる

iDeCoの掛金は、小規模企業共済等掛金控除の対象です。個人払込の場合は、払込証明書に基づいて申告します。給与天引きの事業主払込の場合は、勤務先の処理と重複しないようにしてください。

モデルケースとして、毎月1万2,000円を12か月拠出した場合、年間掛金は14万4,000円です。控除額は14万4,000円ですが、14万4,000円が還付されるわけではありません。所得税率10%の範囲で全額が税額計算に効くと仮定すると、所得税・復興特別所得税の軽減額は概算で約1万4,700円です。住民税への効果は別に考えます。

生命保険や団体扱いの共済についても、名称だけで控除区分を決めず、控除証明書にある一般生命・介護医療・個人年金の区分に従います。給与天引きの契約が自動反映されるかどうかは、勤務先の案内を確認してください。

還付金は「天引きされた税額」と「年間の税額」の差額

給与や賞与から毎回差し引く所得税は、年間税額の前払いに当たります。年末調整では、年間の給与と控除を確定させ、所得税・復興特別所得税の年税額と比較します。納め過ぎなら還付、不足していれば追加徴収です。

例えば、年末調整前までに源泉徴収した税額の合計が25万円で、確定した年税額が22万円なら、差額の3万円が還付になります。逆に年税額が27万円なら、2万円の追加徴収です。これは仕組みを示すモデルケースで、平均的な還付額ではありません。

基礎控除の増加額と減税額は違う

給与年収600万円の先ほどの例では、基礎控除が2025年分の68万円から2026年分の104万円へ、36万円増えます。ほかの条件を固定し、この36万円全体に所得税率10%が適用されると仮定すれば、所得税・復興特別所得税の軽減額は概算で約3万6,800円です。

これは基礎控除の変更だけを取り出した試算です。実際の還付金には、給与・賞与の増減、扶養の変更、保険料控除、住宅ローン控除、すでに天引きされた税額などが関わります。住宅ローン控除で所得税がすでに0円になるケースでは、基礎控除が増えても所得税の還付が同じだけ増えるとは限りません。

いつ戻るかは勤務先の精算日程で確認する

公務員全員に共通する還付日はありません。年末調整を行う月の給与明細や、給与担当からの案内で確認してください。明細上は「年末調整還付」「所得税調整」などの項目や、所得税欄のマイナス表示で処理されることがあります。

還付額が大きく、勤務先がその月の源泉徴収税額だけでは還付しきれない場合には、その後に順次還付する扱いもあります。前年と比べるときは、振込額だけでなく、還付・追加徴収の項目と源泉徴収票の控除内容を併せて見ましょう。

医療費控除・ふるさと納税・住宅ローン控除の初年度は別の手続になる

勤務先への年末調整書類だけでは完了しない控除もあります。自分が使いたい控除が年末調整の対象かどうか、先に分けておくと書類を提出する相手を取り違えずに済みます。

項目 年末調整での扱い 必要な対応
医療費控除 対象外 適用要件を満たす場合、確定申告する
ふるさと納税の寄附金控除 対象外 確定申告、または要件を満たす場合はワンストップ特例を利用する
住宅ローン控除の初年度 対象外 確定申告する
住宅ローン控除の2年目以降 原則として対応可能 勤務先に必要書類・情報を提出する

住宅ローン控除は、初年度に確定申告し、給与所得者は2年目以降に年末調整で適用を受けられます。書類や残高情報の提出方法は、証明書方式・調書方式などによって異なります。

医療費控除などで確定申告する場合、ふるさと納税のワンストップ特例は無効になります。ワンストップ申請済みの寄附も含め、その年のふるさと納税を確定申告に反映してください。

副業などがある場合も、年末調整を受ければすべての所得の申告が終わるとは限りません。給与以外の所得が原則20万円を超える場合などは、所得税の確定申告の要否を確認します。20万円は売上ではなく、必要経費を差し引いた所得についての基準です。

退職・再任用・育休があった年は、年間収入を見積もり直す

年末調整の対象は、原則として扶養控除等申告書を提出し、年末まで勤務している給与所得者です。年内に採用され、年末まで勤務する職員も対象になります。ただし、年間の給与収入が2,000万円を超える人などは対象外です。

退職後に再任用・再就職した場合は、給与の支払者が同じか、前の給与を合算して年末調整するかを確認します。前職給与を合算するための源泉徴収票が必要になる場合があるので、退職前後の給与担当に早めに確認しておくと手続が進みます。

退職金は給与と合算して年末調整するものではありません。ただし、基礎控除などを判定する合計所得金額には、退職所得金額も含めます。退職金の支給額をそのまま足すのではなく、退職所得控除などを適用した後の所得金額を使います。

例えば、3月末に退職して年内に再就職せず、年末調整を受けなかった場合は、翌年の還付申告によって納め過ぎた所得税を精算できることがあります。一方、12月に支給期が来る給与を受け取った後に退職する人などは、退職時に年末調整の対象となる場合があります。

育児休業、休職、短時間勤務、60歳以降の給与減額があった年は、前年の年収をそのまま申告しないことが大切です。給与明細の累計と残りの給与・賞与見込みを使い、その年の収入を見積もります。本人だけでなく、配偶者側の申告にも影響する場合があります。

提出前は家族の収入、提出後は源泉徴収票を確認する

提出前には、本人の給与・賞与の見込み、家族の年間収入、保険料等の証明書をそろえて確認します。特に子のアルバイト収入は、複数の勤務先があれば合算し、年末までの支給見込みを含めて判断してください。

申告後に家族の収入見込みが変わったり、控除証明書の申告漏れに気づいたりした場合は、給与担当に訂正の可否を確認します。勤務先で対応できない場合でも、確定申告で精算できることがあります。

源泉徴収票が交付されたら、支払金額、所得控除の額の合計額、扶養親族や特定親族の情報、生命保険料等の控除内容を確認します。還付金が多かったか少なかったかだけで判断せず、申告した控除が正しく反映されているかを見てください。

FAQ

公務員は会社員と年末調整の仕組みが違いますか?

所得税の基本的な仕組みは共通です。公務員専用の基礎控除や還付金があるわけではありません。提出期限、電子申告の方法、精算時期は勤務先の案内に従います。

扶養家族がいなくても申告書は必要ですか?

必要です。扶養家族がいない職員も、扶養控除等申告書や、本人の基礎控除を受けるための申告書を提出します。保険に加入していない場合でも、勤務先が指定する提出・入力手続を確認してください。

2026年は全員の基礎控除が104万円になりますか?

なりません。国内居住者の場合、合計所得489万円以下で104万円、489万円超655万円以下で67万円、655万円超2,350万円以下で62万円です。給与の額面年収をそのまま所得区分に当てはめないでください。

子のアルバイト収入が150万円なら、親の控除はなくなりますか?

2026年末時点で19歳以上23歳未満で、給与以外の所得がなく、生計を一にするなどの要件を満たせば、特定親族特別控除63万円の対象になります。ただし、共済の扶養や扶養手当、生命保険料控除の特例は別に判定します。

基礎控除が36万円増えたら、36万円が戻りますか?

戻る額は36万円ではありません。控除は税額計算の対象となる所得を減らすものです。減税額は税率などで変わり、実際の還付金は、源泉徴収済みの税額と年間税額との差額になります。

年末調整の還付金は住民税も含みますか?

通常、年末調整で精算するのは所得税と復興特別所得税です。住民税は別の計算・徴収となるため、所得税の基礎控除額や還付額を、そのまま住民税に当てはめることはできません。

出典・作成方針

2026年10月時点の公表資料を基に、国内居住者である給与所得者を中心に作成しています。税額のモデルケースは、記載した前提に基づく概算で、端数処理や個別の控除によって実額は変わります。提出期限・精算日は各勤務先の通知で確認してください。

SNSでシェア