公務員のキャリア・出世・仕事術

公務員の同人活動は副業になる?許可・販売・税金を解説【2026】

公務員でも、漫画や小説を描いたり、同人イベントに参加したりすることは可能です。ただし、同人誌の販売、ダウンロード販売、有料の制作依頼などで収入を得る場合は、活動の実態によって兼業の承認・許可が必要になります。「趣味だから」「少額だから」という理由だけでは判断できません。

国家公務員については、内閣人事局・人事院のQ&Aで、単発的な制作物の売却・出版と、継続的な制作・販売を区別しています。また、2026年4月からは、知識・技能をいかした著作物の創作・販売について、自営兼業の承認を受ける道が広がりました。

同人活動を続けるうえでは、勤務先の兼業手続、税金の申告、二次創作の著作権をそれぞれ確認する必要があります。販売方法や金額を具体的に整理すると、所属先にも相談しやすくなります。

この記事のポイント

同人活動と兼業
創作そのものと、継続的に収入を得る活動を分けて判断します。
2026年の国家公務員制度
著作物の創作・販売も、基準を満たせば自営兼業の承認対象になります。
20万円の意味
所得税の申告に関する基準であり、無許可で活動できる金額ではありません。

公務員の同人活動は、収入の得方によって扱いが変わる

「同人活動」には、趣味で作品を描くことから、通販サイトで継続的に販売することまで含まれます。勤務先が確認するのは、同人活動という名称よりも、何を、どのような方法で、どれくらい継続して行うかです。

次の表は、活動内容を整理するための目安です。個別の許可・承認を保証するものではありません。

活動例 確認する点 対応の考え方
趣味で漫画・小説・イラストを制作する 報酬や販売収入を伴うか 収入を伴わない私的な創作と、有償の活動を区別する
一般参加者としてイベントに行く 販売・運営の仕事を引き受けていないか 作品の購入・鑑賞と、報酬を受ける業務を区別する
自作の同人誌を一度頒布する 単発の出版・販売といえるか 国家公務員のQ&Aを参考に、活動全体を説明して確認する
通販・ダウンロード販売を続ける 販売期間、更新頻度、注文対応、収入規模 事業としての継続性があるか、開始前に相談する
有料でイラスト・漫画の依頼を受ける 契約内容、受注頻度、納期、制作時間 定期的な受注は兼業に該当する可能性を踏まえて確認する
月額支援の対価として作品を提供する 更新・特典提供などの義務と収入の継続性 「支援金」という名称だけで判断せず、提供内容を伝える

国家公務員のQ&Aでは、単発的な制作物の売却・出版は兼業に該当しないとする一方、定期的な依頼制作や、ネットを含む店舗での継続販売などは、承認・許可が必要な兼業に該当する場合があるとしています。イベントや販売サイトの名前だけで、一律に可否が決まるわけではありません。

国家公務員と地方公務員では、確認する規定が異なる

国家公務員は、自営と報酬を受ける業務を確認する

一般職の国家公務員では、国家公務員法第103条が営利企業の役員等との兼業や自営を、第104条が報酬を受ける事業・事務への従事を規制しています。自分で作品を販売する場合と、依頼元の業務として制作する場合では、必要な手続が異なることがあります。

地方公務員は、所属自治体の許可基準を確認する

地方公務員法第38条では、原則として任命権者の許可なく、自ら営利企業を営むことや、報酬を得て事業・事務に従事することなどを制限しています。地方公務員の同人活動は、この法律に加えて、所属自治体の規則や運用基準に照らして判断されます。

国家公務員について公表されたQ&Aや制度改正は、地方公務員の許可を直接保証するものではありません。「国家公務員では可能と説明されていた」という場合も、自分の任命権者の基準を確認する必要があります。

非常勤職員などは適用関係が異なります。国家公務員の非常勤職員や地方公務員の会計年度任用職員などは、任用形態によって兼業規制の適用が異なります。「公務員」という呼び方だけで判断せず、勤務条件通知書や所属先の規程を確認してください。

2026年4月から、国家公務員の著作物販売も自営兼業の承認対象に

2026年4月1日から、国家公務員の自営兼業では「職員の有する知識・技能をいかした事業」と「社会貢献に資する事業」が新たに承認可能となりました。創作活動に関係するものとして、知識・技能を活用した著作物の創作・販売や、物品の製造・販売が規定されています。

これにより、継続的な作品販売が自営に該当する場合にも、承認を申請する制度上の選択肢が広がっています。ただし、同人活動全般が手続なしで認められたわけではありません。

新たな事業区分では、開業届の提出、事業計画書等の作成、公務との特別な利害関係やその発生のおそれがないこと、職務に支障が生じないこと、公務の公正性・信頼性を損なわないことが承認基準です。承認期間は2年以内とされています。具体的な申請書類や提出の順序は、所属先の人事担当に確認します。

なお、趣味として単発の出版をする人まで、必ずこの自営兼業制度を利用するという意味ではありません。まずは活動が兼業に該当するかを確認し、該当する場合に必要な申請へ進みます。

「赤字」「実費頒布」「年1回」だけでは、許可不要と決められない

同人誌は、印刷代やイベント参加費を差し引くと赤字になることもあります。それでも、赤字という結果だけで兼業規制の対象外になるとは限りません。継続的に制作・販売しているか、事業として運営しているかなど、活動全体の確認が必要です。

「販売」ではなく「頒布」と呼んでいても、代金を受け取り作品を渡す実態は説明する必要があります。実費相当額であれば、その価格設定と費用の内訳も伝えると判断材料になります。

また、イベントへの出展が年1回でも、残部を一年中通販していれば、販売活動はその日に限られません。反対に、過去の作品から入金が続いていることだけで、現在も制作や販売業務に継続して従事していると決まるわけでもありません。制作、宣伝、注文対応、発送などに、現在どの程度関わっているかを整理します。

ダウンロード販売にも、作品登録、更新、問い合わせ対応などの作業があります。「発送がないから兼業ではない」とは判断せず、実際の運営方法を確認してもらうのが適切です。

モデルケースで見る、単発頒布と継続販売の違い

以下は、相談時に整理する事項を示した架空のモデルケースです。金額や回数は、許可不要となる基準を示したものではありません。

ケース 活動と金額の例 判断に必要な情報
A:一度だけ自作冊子を頒布 50冊を1冊600円で頒布。売上3万円、印刷代・参加費等4万円 本当に単発か、残部の通販や次回出展の予定があるか
B:通販サイトで継続販売 毎月作品を追加。年間売上60万円、必要経費35万円と仮定 更新頻度、運営時間、販売計画、自営兼業の承認の要否
C:有料の制作依頼を受注 月2件、1件1万円で受注し、年間収入24万円 契約内容、納期、作業時間、継続性、報酬を受ける業務としての扱い

Aは、国家公務員のQ&Aにある単発的な出版等の考え方が参考になります。ただし、赤字だから手続不要になるという説明ではありません。

Bは、継続的な販売を行う計画として、開始前に自営兼業の該当性を相談するケースです。Cも、収入が少額かどうかに加え、定期的な受注制作であることを伝える必要があります。

相談する際は「趣味の範囲です」とだけ伝えるより、販売方法、予定回数、年間売上、作業時間まで示すほうが、必要な手続を確認しやすくなります。

同人活動の所得が20万円以下でも、兼業手続の要否は別に判断する

よくある誤解が、「年間20万円までなら公務員でも副業できる」というものです。20万円という数字は、一定の給与所得者について、所得税の確定申告が必要かを判断する際の基準です。勤務先の兼業承認・許可とは関係がありません。

国税庁は、給与収入が2,000万円以下で、1か所から給与の支払を受け、その給与の全部が源泉徴収の対象となる人などについて、給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円を超える場合に、原則として確定申告が必要としています。

売上と所得を分けて計算する

同人活動の税金を考える際は、購入者から受け取った売上と、必要経費を差し引いた所得を区別します。次の例では、記載した費用がその年の必要経費として全額認められるものと仮定しています。

項目 金額 内容
年間売上 300,000円 イベントと通販の販売代金の合計
必要経費 180,000円 売上に対応する印刷費、販売手数料など
所得 120,000円 売上300,000円-必要経費180,000円

このモデルでは所得は12万円です。ただし、20万円の判定では、同人活動以外にも給与所得・退職所得以外の所得があれば合算します。印刷した本の在庫、私用と共用する機材などは、支出額をそのまま全額経費にできるとは限りません。

所得税の申告が不要でも、住民税は確認する

所得税の確定申告が不要となる場合でも、住民税の申告が必要になることがあります。また、医療費控除などのために所得税の確定申告をする場合は、20万円以下の副業所得も原則として申告に含めます。

税金の申告と、勤務先の承認・許可は別の手続です。確定申告を済ませても、無承認・無許可の兼業が認められるわけではありません。勤務先の承認・許可を得た場合も、必要な税務申告は行います。

販売を始める前に、活動計画を人事担当へ伝える

相談先は、所属する組織の人事・服務担当です。直属の上司への相談が必要か、申請様式があるかも含め、所属先の手順を確認します。承認・許可が必要と判断された場合は、申請しただけで販売を始めず、承認・許可を受けてから開始してください。

相談用のメモには、次の内容をまとめておくと、説明の行き違いを減らせます。

  • 作品の内容と、一次創作・二次創作の別
  • イベント頒布、通販、ダウンロード販売、依頼制作などの方法
  • 開始時期、年間の活動回数、継続予定
  • 年間売上・経費の見込みと、週当たりの作業時間
  • 職務との利害関係や、職場の情報・設備を利用しない運営方法

例えば、「自作漫画を年2回のイベントで各100冊頒布し、残部は通販する予定です。年間売上は15万円程度、制作・発送は休日に行います」と伝えれば、具体的な検討につながります。これは相談内容の例であり、承認される条件を示したものではありません。

確認した内容は、メールや申請書などで残しておくと、後の活動変更時にも役立ちます。当初は一度だけの頒布でも、常設通販や定期受注を始める場合は、変更前に改めて確認してください。

FAQ

公務員はコミケに参加できますか?

一般参加者として作品を購入・鑑賞することは可能です。サークルとして作品を販売する場合は、回数、継続性、通販の有無などを整理し、兼業手続の要否を確認してください。

印刷代を回収するだけなら、許可は不要ですか?

実費相当の頒布という事情は判断材料になりますが、それだけで手続不要とは決まりません。価格と費用の内訳に加え、制作・販売の継続性や運営方法を説明する必要があります。

BOOTHなどで少額販売する場合も確認が必要ですか?

サービス名や少額という理由だけでは判断できません。常設の販売ページで継続販売する場合は、作品の追加頻度、注文対応、予定収入などを示して、開始前に相談するのが適切です。

家族名義のサークルなら、兼業になりませんか?

名義だけでは判断されません。国家公務員の自営に関する運用通知は、他人名義であっても、本人が営利企業を営むと客観的に判断される場合を含めています。制作、受注、販売管理など、本人の関与を説明してください。

公務員になる前に制作した作品の使用料は受け取れますか?

国家公務員のQ&Aでは、採用前に制作した作品について、現在は制作活動を行っておらず、使用・許諾に関連する労務等も生じない場合は、契約行為を除き、承認・許可なしで使用料等を受け取れるとしています。自分で通販や発送を続ける場合は、同じ条件とは限りません。

出典・作成方針

2026年10月時点で確認できた公表資料に基づき、主として一般職の常勤公務員を想定して作成しています。同人活動への当てはめは資料の考え方をもとに整理したものであり、個別の承認・許可を保証するものではありません。モデルケースの金額・回数は架空の例です。適用される規定や必要な手続は、所属先に確認してください。

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