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林野庁の出世コースは、一般的な本省官庁とは少し見え方が異なります。霞が関の林野庁本庁だけでなく、全国7つの森林管理局や森林管理署を持ち、政策立案と国有林の現場運営の両方を担っているからです。
トップは林野庁長官、その下に次長、さらに林政部・森林整備部・国有林野部の3部長が置かれています。2026年度の指定職の設定を見ると、長官は6号俸、次長は3号俸、本庁部長は2号俸。7人の森林管理局長もすべて指定職に設定され、北海道・関東・近畿中国・四国・九州は2号俸、東北・中部は1号俸です。地方勤務を挟みながら幹部に上がっていくルートが、給与上の格付けからも見て取れます。
そのため、「本庁だけに長くいれば出世する」というより、本庁課長、森林管理局の幹部、農林水産省内のポストなどを経験しながら、最終的に部長・次長・長官を目指すと考えると分かりやすいでしょう。
この記事のポイント
林野庁の役職序列はどうなっている?
まず、出世コースを見る前に林野庁の組織上の序列を整理します。2026年8月6日時点の幹部名簿では、長官、次長の下に林政部長、森林整備部長、国有林野部長が置かれ、その下に各課長・室長が並んでいます。
| おおまかな序列 | 主な役職 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 1 | 林野庁長官 | 林野庁のトップ |
| 2 | 林野庁次長 | 長官を補佐するナンバー2 |
| 3 | 林政部長・森林整備部長・国有林野部長 | 本庁3部門のトップ |
| 3〜4程度 | 森林管理局長 | 全国7森林管理局のトップ |
| 4 | 本庁課長 | 政策分野ごとの責任者 |
| 5 | 室長・企画官など | 課長級または課長級に近い管理職 |
| 6 | 課長補佐 | 実務を統括する中堅幹部 |
| 7 | 係長 | 担当業務の取りまとめ役 |
| 8 | 係員 | 若手職員 |
ただし、森林管理局長と本庁課長を単純に一直線の上下関係として見ることはできません。森林管理局長は地方組織のトップで、7局長すべてが指定職です。うち5局は本庁部長と同じ2号俸に設定されています。
長官・次長・部長はどのくらい上のポスト?
林野庁の幹部序列を客観的に見る材料として使いやすいのが、人事院による指定職の号俸設定です。2026年度は、林野庁に指定職ポストが合計12設定されています。内訳は長官1、次長1、本庁部長3、森林管理局長7です。
| 役職 | 2026年度の設定 | 現行の俸給月額 | 年間俸給の単純計算 |
|---|---|---|---|
| 林野庁長官 | 指定職6号俸 | 107万8,000円 | 約1,294万円 |
| 林野庁次長 | 指定職3号俸 | 85万2,000円 | 約1,022万円 |
| 本庁部長 | 指定職2号俸 | 79万4,000円 | 約953万円 |
| 森林管理局長 | 指定職1〜2号俸 | 73万6,000〜79万4,000円 | 約883万〜953万円 |
年間俸給は「月額×12」で計算した比較用の数字で、実際の年収ではありません。指定職には期末手当などもあるため、実際の額面年収はこれより高くなります。2026年8月7日には人事院勧告が出ていますが、上表は2026年4月1日時点の現行俸給表に基づく、勧告反映前の金額です。
林野庁の王道出世コース
総合職を中心とした幹部候補のキャリアを単純化すると、次のようなイメージになります。
係員 → 係長級 → 課長補佐級 → 室長・企画官級 → 本庁課長・森林管理局幹部 → 本庁部長・森林管理局長 → 次長 → 長官
もちろん全員がこの順番で昇進するわけではありません。途中で農林水産省本省、他省庁、自治体などへの出向を経験する場合もあり、本庁と地方を行き来する人事もあります。
林野庁自身も、総合職について「幹部候補生として林野庁本庁などで政策の企画・立案業務を行う機会が多い」と説明しています。一方、一般職は森林管理局・森林管理署などで森林・林業の専門家として経験を深める位置づけです。
出世を見るなら「本庁課長」をチェック
長官や次長だけを見ても、そこに至るまでのルートは分かりません。林野庁の人事を見るうえで重要なのが、本庁課長級です。
特に林政課は、林野庁全体に関わる総合調整、人事などを担う部門であり、歴代人事を追うと、その後に上位ポストへ進んでいる例が確認できます。
たとえば、清水浩太郎氏は2021年7月に林政課長となり、2022年6月に農林水産省大臣官房の環境バイオマス政策課長へ異動。その後、2024年7月に林政部長、2026年8月に林野庁次長へ進んでいます。林政課長 → 農林水産省本省の課長 → 林政部長 → 次長と、本庁内だけで完結しない昇進例です。
望月健司氏も、2023年7月に林政課長となった後、2024年7月に農林水産省大臣官房文書課長へ異動し、2026年8月に林政部長へ就任しました。近年の人事を見ると、林政課長は重要ポストの一つですが、その後に農林水産省本省の要職を挟むケースもあります。
注意:「林政課長になれば必ず長官になる」という意味ではありません。人事は採用区分、専門分野、過去の勤務経験、年次、本人の適性などを総合して決まります。ここでいう「出世コース」は、実際の幹部人事から見える典型的なルートを整理したものです。
技術系は専門分野を上がるルートも強い
林野庁は森林・林業行政を所管するため、技術系総合職の存在感が大きい官庁です。そのため、事務系官庁のように官房系ポストだけを追えばよいわけではありません。
森林計画、治山、造林、木材利用、国有林などの専門分野で課長級まで上がり、そこから森林整備部長や国有林野部長などへ進むルートがあります。
実際、齋藤健一氏は2022年に木材産業課長、2024年には森林整備部計画課長を務め、2025年には森林整備部長へ就任しました。2026年8月現在も同職です。専門分野の課長 → 主要課長 → 部長という、林野庁らしい技術系幹部の昇進イメージを示す例です。
森林管理局長は「地方のトップ」であり重要な幹部ポスト
林野庁には北海道、東北、関東、中部、近畿中国、四国、九州の7森林管理局があります。森林管理局長は、それぞれの地域における国有林野行政を統括するポストです。林野庁の採用情報でも全国7局が案内されています。
2026年度の指定職を見ると、北海道・関東・近畿中国・四国・九州の森林管理局長は指定職2号俸、東北・中部森林管理局長は1号俸に設定されています。5局は本庁部長と同じ2号俸であり、森林管理局長は給与上の格付けでも上位の幹部ポストです。
このため、林野庁の出世を考える際には「霞が関から地方へ出たからコースを外れた」と見るのは適切ではありません。森林管理局幹部や局長を経験し、その後に本庁幹部へ戻る人事も十分考えられます。
一般職はどこまで出世できる?
一般職は総合職とは採用後のキャリア設計が異なります。林野庁は、一般職について森林管理局・森林管理署などを中心に現場経験を深める職員と説明しています。
さらに2026年度の一般職大卒程度採用では、「行政」「教養」区分について本庁採用はなく、採用時の配属先は森林管理局と明記されています。官庁訪問自体は本庁でも行えますが、採用後はいったん地方組織からスタートする仕組みです。
その後は、森林管理署や森林管理局で係長、課長補佐、課長などへ昇進し、本庁勤務や他機関との人事交流を経験する可能性があります。総合職と一般職の交流もあるため、完全に別々のキャリアではありません。
ただし、長官・次長など最上位幹部への昇進可能性を考える場合、制度上の任用可能性と、実際の人事慣行は分けて見る必要があります。林野庁自身が総合職を「幹部候補生」と位置づけていることから、長官などを目指す典型的なルートは総合職と考えるのが自然です。
課長・課長補佐は何級くらい?
林野庁の一般職員には、行政職俸給表(一)などが適用されます。2026年度の級別定数を見ると、本庁・地方組織を含め、役職に対応する級が設定されています。
2026年度の級別定数では、本庁課長13人は10級1人・9級12人、本庁室長27人は8級25人・7級2人、本庁課長補佐292人は7級41人・6級160人・5級91人となっています。森林管理局では課長51人が7級10人・6級36人・5級5人、課長補佐59人が5級49人・4級10人です。
森林管理署長98人は8級18人・7級69人・6級11人に設定されています。同じ「課長」「署長」でも所属や職務によって級が違うため、役職名だけから級を一律に決めることはできません。
2026年度は、本庁部長3人と森林管理局長7人が指定職に設定されています。通常の行政職俸給表(一)ではなく指定職俸給表に入ることが、一般の管理職と最高幹部層を分ける一つの目安になります。
モデルケースで見る林野庁の出世
実際の昇進年齢は採用年度や人事によって異なりますが、総合職職員が幹部候補として進む場合をイメージすると、次のようなモデルケースが考えられます。年齢は制度上決められているものではなく、あくまで理解のための目安です。
| 年齢の目安 | ポスト例 | キャリア上の意味 |
|---|---|---|
| 20代 | 係員・係長級 | 本庁・地方・出向先などで基礎的な政策実務を経験 |
| 30代 | 係長・課長補佐級 | 政策立案や組織内調整の中心を担う |
| 40代 | 企画官・室長・課長級 | 管理職として担当分野を統括 |
| 50代前半〜半ば | 本庁課長・森林管理局幹部 | 部長級候補が絞られてくる段階 |
| 50代半ば〜後半 | 本庁部長・森林管理局長 | 指定職を含む最高幹部層 |
| 50代後半 | 次長 | 長官候補となる最上位ポスト |
| 50代後半〜60歳前後 | 長官 | 林野庁トップ |
重要なのは、30代や40代の役職そのものより、どの部署を経験しているかです。本庁の主要課、森林管理局、農林水産省本省など複数の立場から森林行政を経験し、課長級以降で主要ポストに就けるかどうかが、最終的な幹部登用を見るうえでは大きなポイントになります。
結局、林野庁の「出世コース」はどう見ればいい?
林野庁の場合、単純に「係長、課長補佐、課長」と役職名だけを追うより、本庁の主要課長を経験しているか、3部長または森林管理局長まで上がっているかを見るのが分かりやすいでしょう。
特に長官候補を考えるなら、次長、林政部長、森林整備部長、国有林野部長といったポストが重要です。近年の人事でも、林政課長から林政部長、さらに次長へ進む例や、専門分野の課長から森林整備部長へ進む例が確認できます。
一方、一般職では森林管理局・森林管理署を軸としたキャリアが中心です。同じ「林野庁職員」でも、総合職の幹部候補ルートと一般職の現場・管理職ルートを分けて考えると、出世構造がかなり見えやすくなります。
FAQ
林野庁長官になる典型的な出世コースは?
地方勤務になると出世コースから外れますか?
森林管理局長と本庁部長はどちらが上ですか?
一般職でも林野庁本庁で働けますか?
林野庁は技術系でも長官を目指せますか?
出典・作成方針
- 林野庁「林野庁幹部名簿」(令和8年8月6日現在)
- 林野庁「本庁組織と担当業務」
- 林野庁「採用情報」「採用FAQ」
- 林野庁「2026年度国家公務員一般職試験官庁訪問」
- 人事院「指定職俸給表の適用を受ける職員の号俸の定め並びに職務の級の定数の設定及び改定に関する意見(令和8年度)」
- 人事院「国家公務員の給与制度(令和8年4月1日現在)」
- 農林水産省「幹部職員名簿」各年版
役職序列は法令上の単純な序列表が存在するものではないため、組織図、幹部名簿、指定職の号俸設定、実際の人事異動をもとに整理しています。年齢別の昇進モデルは特定個人の昇進時期を示すものではなく、キャリアを理解するためのモデルケースです。給与額は2026年4月1日時点の現行俸給表を基準としており、2026年人事院勧告による改定は反映前です。



