公務員のキャリア・出世・仕事術

工芸官の給料・年収はいくら?仕事内容・採用・キャリアを解説

工芸官は、国立印刷局でお札などのデザインや原版の彫刻を担う専門職員です。精密な図柄を作る技術は、お札の美しさだけでなく、偽造を防ぐ機能にも関わっています。

工芸官だけの平均年収は公表されていません。給与を調べるときは、国立印刷局の工芸職群に適用される俸給表と、公表されている職種別平均を分けて見る必要があります。

採用も毎年同じ形とは限りません。過去の工芸職募集を手掛かりに、仕事内容、給料、応募時に確認したい点を見ていきます。

この記事のポイント

給料
給与規則上、「工芸官」は工芸職群2等級で、俸給表Hの1号俸は月28万8,200円。ただし、実際の号俸は職歴や昇格前の俸給などによって異なります。
年収
工芸官単独の平均は非公表。工芸的業務を含む「技能職種」の2025年度平均年間給与は738.3万円ですが、自動車運転業務の職員も含まれます。
採用
2026年4月採用では、美術系大学の卒業者・卒業見込み者などを対象に工芸職を若干名募集しました。募集区分は年度ごとに確認が必要です。

工芸官の給料は、職名だけでは決まらない

国立印刷局の給与規則は、図案作成や原版彫刻などを行う職務を「工芸職群」としています。工芸職群の中にも等級と号俸があり、担当する職務や格付けによって俸給月額が変わります。

次の表は、2026年8月31日改正の給与規則から、各職務に対応する俸給表の1号俸を抜き出したものです。いずれも手当を含まない俸給月額であり、「その職名の職員は全員この額」という意味ではありません。

工芸職群の等級標準職務の例適用俸給表1号俸の月額
3等級工芸官補E25万6,100円
2等級工芸官H28万8,200円
1等級上席工芸官I38万2,700円
特1等級特別工芸官J45万5,900円
特別等級特定の特別工芸官K49万2,200円

例えば、工芸官に対応する俸給表Hでは、1号俸が28万8,200円、25号俸が33万3,800円です。ただし、工芸官へ昇格した人が必ず1号俸から始まるわけではありません。給与規則では、昇格前の俸給月額などを踏まえて昇格後の号俸を決める仕組みになっています。

月給には勤務地に応じた地域手当などが加わり、年収には賞与も入ります。俸給表の数字だけを12倍して実際の年収と考えることはできません。

年収はいくら?工芸官単独の平均は非公表

国立印刷局が公表した2025年度の職種別給与では、「技能職種」は33人、平均年齢47.4歳、平均年間給与738.3万円でした。内訳は所定内給与が平均530.7万円、賞与が平均207.6万円です。年間給与額には時間外手当が含まれていません。

区分公表値
人員33人
平均年齢47.4歳
平均年間給与738.3万円
うち所定内給与530.7万円
うち賞与207.6万円

ただし、この「技能職種」は工芸官だけを集計した区分ではありません。国立印刷局は、図案作成・原版彫刻などの工芸的業務に加え、自動車の運転業務を行う職員も含むと説明しています。738.3万円をそのまま「工芸官の平均年収」とすることはできません。

工芸官個人の年収は、工芸職群の等級と号俸、地域手当、賞与、扶養手当や住居手当などによって変わります。工芸官の年収を考える際は、738.3万円を近い職種区分の参考値として見つつ、本人の俸給月額とは分けて考えるのが適切です。

仕事内容は、お札の図柄から原版まで幅広い

国立印刷局は、工芸官の仕事を四つの部門に分けて紹介しています。製品デザイン部門は、偽造防止の機能と見た目を両立させる原図を作ります。その原図は、彫刻や線画、すき入れの作業を進めるための設計図にもなります。

部門主な仕事
製品デザイン図柄の配置や技術的条件を踏まえ、製品の原図を作る
彫刻金属板に細かな点や線を彫り、凹版印刷の原版を作る
線画デザイン「彩紋」と呼ばれる幾何学模様や、印刷原版用の画線を作る
すき入れ偽造防止力と芸術性を備えた、紙のすき入れを作る

四つの仕事はつながっています。例えばお札の肖像や背景は、絵を描いて終わりではありません。限られた紙面に図柄を配置し、彫刻や線画、すき入れに展開できる形にしていきます。過去の工芸職募集では、凹版彫刻やデザイン作成でデジタル機器を使用する場合があることも明記されていました。

採用は「工芸職」の募集要項を確認する

2026年4月採用の工芸職募集は若干名でした。応募対象は、所定の期間内に美術系大学を卒業した人・卒業見込みの人、または美術系大学院の修了見込みの人です。応募書類にはポートフォリオが含まれ、自作品の提出も求められていました。一般的な製造部門の「技能職」募集とは、職種と応募条件を区別して確認する必要があります。

募集年度に注意

2027年度の本局採用・大卒向け募集要項は「技能職」で、日本銀行券などの製造、印刷機の操作、多色印刷の色管理などを仕事として挙げています。これは工芸職の募集とは別です。工芸官を志望する場合は、募集要項の職種欄に「工芸職」とあるかを確認してください。

過去の工芸職募集では、採用後の就業場所を国立印刷局本局としつつ、研究所や各工場への異動、事務・管理部門などへの配属の可能性も記していました。採用後ずっと同じ制作業務だけを担当する前提で考えず、応募する年度の職務内容と異動範囲を確かめる必要があります。

キャリアは専門技術を磨き、上位の職務を担う形

給与規則の標準職務表には、工芸官補、工芸官、上席工芸官、特別工芸官などが掲げられています。これは工芸職群の職務と等級を示すもので、全員が決まった年数で順番に昇任するという表ではありません。職務の内容や責任、格付け、号俸によって給与が決まります。

国立印刷局は、専門知識や技術を学ぶ研修に加え、国内外の大学や民間企業へ1~2年程度職員を派遣する制度も紹介しています。ただし、個々の工芸官がどの研修を受け、どの部門を経験するかは一律ではありません。

FAQ

工芸官は国家公務員ですか?

はい。国立印刷局は行政執行法人で、工芸職の募集要項でも採用者の身分を国家公務員としています。

工芸官の平均年収は738.3万円ですか?

そうは言えません。738.3万円は2025年度の「技能職種」33人の平均で、図案作成・原版彫刻などの工芸的業務だけでなく、自動車運転業務の職員も含む数字です。工芸官だけの平均年収は公表されていません。

美術系大学を出れば、毎年応募できますか?

募集の有無や応募資格は年度ごとに確認が必要です。2026年4月採用では工芸職として美術系大学などの卒業者・卒業見込み者を対象に募集していましたが、2027年度の本局採用・大卒向け募集は「技能職」で、仕事内容や応募条件が異なります。

出典・作成方針

金額は額面です。俸給表の1号俸と、工芸的業務以外も含む職種別平均を区別して記載しました。募集状況と給与額は更新されるため、応募時には国立印刷局の最新資料をご確認ください。

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